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別世界で俺は体感バーチャルTPSの才能がとてもあるらしい。  作者: 風祭 風利
第10章 告白、告白、告白
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第85節 その後と帰り道、伝える想い

「それで、あの後「ブラッド」はどうなったんです?」


「ブラッド」を拘束して一夜明け、病室の仮眠室を使って眠った後、志狼先輩や警察官の関係者がきたので話を色々と聞こうと思っていたのだ。


「とりあえず「ブラッド」は未成年だから、処罰としては少年院に入ってもらうことになっている。」


 年季が入った警察官がそのように説明する。 良かったあの時はこの世界に少年院があるのか分からなかったから正直勝手に言ってしまって不安があったのだ。


「しかし期間は短いと思いますよ。 「ブラッド」が行ってきたのはあくまでも障害事件。 しかも最後の長楽 文香の傷害事件以外は軽傷であるものが多いことから、「心的障害による暴力的な行動」と捉え、少年院でしっかりと更正すればすぐに釈放されることでしょう。」


 そういうのは若き警官。 もしかしたら1番の新人かもしれない。


「もちろん罪は罪だ、償うものは償ってもらうつもりだ。 彼の身辺調査をしたが、彼の両親は共に彼をまともに見ておらず、それはおろか至極たまに彼にも当たっていたこともあり、まあ簡単に言えば親権剥奪も視野に入っている。」


 鑑識の人だろうか? しかし「ブラッド」が心情を察してくれと言ったのにも納得が行く。


「だから彼も言っていた。 「更正出来たならそれをさせてくれた、道を踏み外そうとした自分を助けてくれた恩人に感謝したい。」とね。」


 志狼先輩がそう最後に「ブラッド」が話していたこと語ってくれた。


「とにかく今回の事で事件が収束した。 今はまた平和が訪れましたが、まだ安心は出来ない。 それに今回の事で秩序の乱れが発生してもおかしくはない。 より一層巡回は厳しくするように!」


 年季の入った警官の一言に他警官は「押忍!」と言った。


「あとは彼らに任せよう。 それよりもこの後のことなんだけれど、すこしいいかな?」


 志狼先輩の一言に「なんです?」と返す。


「長楽君と別の病室に移動する時に少し話をしてね。 面白い話を聞けたよ。」

「面白い話?」

「本当はその時になるまで話さない、と言うよりも話すつもりはなかったんだけど、せっかくだと思ってね。 彼女、退院したら君に告白するそうだよ?」


「・・・・・・・・・・・・・・・え?」


 理解が追いつかない、と言うよりも理解が出来ていない。


「まあ後は本人から直接聞きなよ。 どうするかは君次第だよ。」


 告白されると言われてどうすると言われても・・・ 一体何人に告白されるんだ? 俺は。


 悶々と考えていたら長楽の退院時間になった。


「飛空君。」


 仮眠室にわざわざ来てくれた長楽の声で我に返る。


「や、やあ長楽。 もう肩は動かせそうか?」

「うん。 大丈夫だよ。」

「そっか。・・・・・・寮に帰ろうか。」

「そうだね。」


 病院を出て、寮へと足を並べる。


「今日までありがとうね。 犯人も捕まえるのも手伝ったんだって?」

「ああ、 捕まえたって言うのは正しいのか分かんないけれど、とにかくこれで「ブラッド」はもう動かないよ。」


 そう促したのは俺だ。 改心してくれるならもうそこに「ブラッド」は現れない。


「というかなんか性格が・・・」

「あ、うん。 プライベート用と学校用を足して2で割った感じの性格にしてみた。」

「うん。 それなら違和感は無くなるかな?」


 詳しくは分からないが、これから少しずつ明るくなってくれればそれでいいんだろう。


 なにも会話のないまま寮へと着々と近づく。このまま寮へと戻って明日に備えたいところ


「あのね、飛空君。 私、あなたに話したいことがあるの。」

 まあ、そうはならないよね。 とりあえず覚悟は決めて、「何?」とだけ返す。


「まずはこんなことになってしまったことに対して、謝らせて? 心配をかけてごめんなさい。」

「気にするな。 事件も終わったんだし、これで良かったんだよ。」

「それで、もうひとつ、あなたに伝えたい事があるの。」


「伝えたい事」、その言葉にもう一度固唾を飲む。


「私、最初はあんなんだったけれど、それでも最初に声をかけてくれたよね。あんなどんくさい私の演技でもしっかりと見てくれる人がいるんだって。 しかも男子によ? それで、あの時感じたの。 あぁこの人なら私の本当の姿を見せても大丈夫だろうって。」

「それで買い物に行かないかって誘ったのか。」

「おかしな話よね? 普通そういうのって女子同士で行くのが最初じゃない?」


 そう思わんでもないが、友達だけなら買い物もしないだろうがな。


「そして本当の私を見ても驚かれはしたけど、それでもちゃんと私だって見てくれた。 だからこう思ったの。」


 そういうと長楽は深呼吸をして、こちらを振り返り、


「私、あなたのこと、好きになっちゃった。」


 そう告白を受ける。 そうこれが志狼先輩が言っていた「告白」。 改めて聞くと恥ずかしいものだな。


「・・・君の返事はまだ、返してもらわなくて大丈夫。 色んなところから、告白をされてるんでしょ? それからどうするかはちゃんと教えて? それと、明日からでいいから、私の事、文香って、呼んで欲しいな。」

「考える時間をくれてありがとう、文香。 どんな答えになっても文句言わないでよ?」

「うん。 待ってる。 それじゃあ寮に先に帰ってるわ。」


 そういってそそくさと学校の正門を抜けて寮に走っていく文香。

 さて、これで文香からも告白を受けてしまった。 この時点で3人か。 ・・・断ってもいいんだろうかと正直疑問に思っている。 しかしそれは誰かに絞ることになるんだよな。 なるべくなら悲しませたくはないし・・・でも・・・


「飛空。」


 名前を呼ばれてハッと見ると、そこにはイバラがいた。 いつの間にか俺も寮に来ていたようだ。


「飛空、なにを考えていたの?」


 なにを考えていたのか、か。 文香に告白をされたことを考えていたに過ぎない。


「うん。 ちょっとね・・・」

「文香が気分よく帰ってきたこととなにか関係しているの?」


 その言葉にギクリと体をビクつかせる。 バレてる!? なんで?


「・・・ほんとになにかあったの?」


 やべ、カマかけられた。 まじかよ。 うーん、イバラだし、隠し事をしてもあまり意味はないかな。 そう思ったので、先程までの文香とのやり取りを話した。


「・・・・・・そっか。 文香、告白出来たんだ・・・。」

「知っていたのか? 文香が告白をすることを。」

「うん。 飛空に一目惚れしちゃったって言ってた。 だけど、ライバルは多いよって言ったら「じゃあ、早く告白しなきゃね。」って言ってたから。」


 うーん。そこまで言われておいてなにも感じなかった俺も俺だな。反省。 しかしライバルが多い、ねぇ。 確かに女子の絡みは多いけれど、そこまでフラグはたてて無いはずだぞ? 多分。


「だから飛空は鈍いの。 もう少しみんなを見た方がいい。」


 むぅ、そこまで言われるとはキツイな。


「文香も言ったのなら私も言わなきゃいけないかも。」


 ? 言わなきゃいけない? いったいなにを言うつもりなのだろうか?


「飛空、私はね、 知ってると思うけれど、私は飛空に見つけられなかったらずっと電脳体のままだったの。」


 なにを今更と言った感じで聞いている。


「飛空が私を見つけてから私は今のこの時が楽しいの。 もちろん15年前に出来なかったことも今ではたくさん出来ているから本当に楽しいの。」


 感情の少ないイバラだが、今は嬉しそうな表情をしている。


「だから飛空には感謝してもしきれない。 もう一度私に人として生きる道を記してくれた。 だから私も私の気持ちを飛空に伝える。」


 その言葉に2度目の固唾を飲む。 なんでこんなに緊張をするんだ。


「私は・・・私も飛空のことが好き。 友達としてじゃなくて、異性として、好き。」


 本日2度目の女子からの告白。 異世界に来て、色んなことをやってきたが、まさか半年近くで女子からこんなに好かれるとは夢にも思わなかった。 もちろんみんな嫌いじゃないだけに、想いは伝わる。


「飛空が誰と付き合うことになっても私は文句は言わないよ? 私はアンドロイドなのだから。」

「付き合わない事と想いを無下にするのは違う。 だから俺にも時間をくれないか? 俺にも整理する時間が欲しい。」

「ん。 それは問題ないよ。 さあ、寮に入って。 このままじゃ体が冷えちゃう。」


 そういって寮へと入る。 その時に外から感じた視線がなにやら好奇の目に晒されていると思ったのは気の所為じゃ無いはずだ。

ここからの章は甘ったるくなるかも知れませんがストーリー上の展開として許してください。

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