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別世界で俺は体感バーチャルTPSの才能がとてもあるらしい。  作者: 風祭 風利
第6章 学校対抗交流戦
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第50節 試合観戦と次に向けて、お礼

「あ、おかえり。 遅かったじゃない。」


 席に戻ってくるとジュースを持って観戦体制の紅梨と白羽がそこにはいた。


「ちょっとね。 それどうしたの?」

「観戦する人は、無料でくれるんです。 あ、飛空さんもどうぞ。」

「ありがとう。」


 お手洗いに行ってきたばかりなのに飲むのもどうかとは思ったが喉も乾いていたのでそのまま大きめのコップを貰う。 飲んでみると口の中で「シュワシュワ」っと来たので炭酸入りのジュースのようだ。 美味い。


「で? 教えなさいよ。 どっちが勝つのか。」

「それはいいんだけど、多分今言っても理由が分かんないだろうから試合を観ながら説明するよ。」

「むう。もったいぶるわね。 せめてどっちが勝つかだけでも教えなさいよ。」


「まあそれくらいならいいか。 試合に勝つのは軟瑠女子高校の方かな。」

「どうして、そう思うの、ですか?」

「湾健男子高校はガタイがいい故にスーパーアーマー持ちなのはもう言わずもがななんだ。それを生かしてゴリ押しするのが、湾健高校のやり方だろう。 一方軟瑠高校はパワーがない分手数で押すタイプだ。 つまり弾幕量ならあちらがかなり有利だろう。」


「さっき、相性が悪いと言っていましたが、それはどういう意味ですか?」

「そのままの意味だよ。 今回は」

「さあいよいよ第二試合、湾健男子高校と軟瑠女子高校の戦いが間もなく始まります!!」


 会話を遮り高花先輩のコールが入る。 お、始まるか。


「丁度いいや。 試合が始まるから試合をおって説明するよ。」


 両者がステージに送られた。 モニターではステージの全体像と個人の第三者目線のモニターがある。 今回のステージは廃墟ビル。 丁度俺と幸坂先輩で戦ったステージと似ていた。


「それで? 相性が悪いってのは結局なんなのよ。」

「さっきも言った通り、湾健高校の奴らはガタイがいい故にスーパーアーマー持ちだ。 そして軟瑠高校は手数で押すって言ったよな。 この段階でまずはなにを考える?」


「基本的に、スーパーアーマーは自分が体にかかる、攻撃を気にせずに、動くことの出来る、性能です。」

「白羽の言う通り。 で、ここから予測される展開としては」


「数で押し切られる前に重たい一撃を与えるんでしょ? スーパーアーマーならハンドガン程度なら3、4発は関係ないわ。」

「それが見解としては正しい。 だけど、この時点で大半の人は気付きにくい、ある変化が出てくる。」


「「気付きにくい変化?」」


「見てみると分かるよ。 しっかりとね。」


 双子のハモりの疑問をモニターというもので解決する。

 3人でモニターの試合を見ていると変化が現れてきた。


「・・・・・・・・あれ? あのマント着てる人、いつの間にあんなに体力減ったのかしら?」

「あ、ホントだ。 でも、まだ1回も、倒れてないよね? なのにあんなに減ってるのに気付かないなんて。」


 2人の疑問に俺は口角が上がる。 そこに気付けるなら次の試合は大丈夫だな。


「あのマントは知らず知らずのうちに相手の攻撃を受けていたんだよ。 でもスーパーアーマーがそれを邪魔して体力の減少にほとんど気が付くことが出来てないのさ。」


「そっか! ダウンって自分の体力が減ったっていう信号みたいなものだから。」

「ダウンをしてないまま、試合を続けると、その危険信号が分からなくなって、いつの間にかってことになるんですね?」

「多分相手はそれを計算してる可能性もあるけどね。」


 軟瑠女子高校、次の試合も一筋縄では行かなさそうだ。


「あ、今自分の体力みて気づいたみたいよ。 焦ってる焦ってる。」

「ありゃ焦ってるって言うよりはなんでそうなってるのか分かってないって感じだな。 カラクリが分かってないみたいだ。」

「あんな感じの、傲慢な人程、陥りやすい、罠かも知れないです、ね。」

「言えてる。 あ、1人倒した。」

「でもああなっちゃったら、もう巻き返せないだろ。」


 そんな感じで3人でモニターを観察していた。


 さて、相手はどんな戦術で来るだろうか? やはりダウン値ギリギリを保ちながらじわじわと削りに来る戦法か? いや少なくともこの試合を観てガタイのいいやつを連れてくることはないと考えるだろう。 湾健男子高校ほどガタイがいいのがいないのも知ってる可能性もある。 なら別の戦い方にシフトしてくるだろう。 向こうも俺らの手の内を少し知っている。 なら考えられる戦法は騙し討ち系の奇襲タイプか、一対多の集団戦か、もしかしたらこっちと同じくトリッキーな戦い方をするメンバーを選んでくるかも。 晒してない手の内が向こうにもあるはずだ。 だから


「・・・・・ら。 ・・・ぇ、飛空!」


 紅梨の大声にはっ!っと我に返る。


「ちょっと、1人で考え事しないでよ。 見てるこっちが心配になるじゃない。」

「凄い剣幕、でしたよ? 大丈夫、ですか?」


 そう2人に言われてしまった。 むぅ、良くないなぁ。


「ごめん。次の試合の事をちょっとね。」

「ちょっと所じゃ無かったわよ。 あの形相は。」

「どうしても勝ちたい、んですね。」

「提案校として負ける訳にはいかないでしょ。」


 それにそれは了平も同じだろう。 だから負ける理由にはいかないってことで。


「そうだ。 そこで2人にお願いがあるんだけど。」

「なに?」

「次の試合、一緒に出てくれないかな?」

「え? 試合に出るメンバーって固定じゃ無いんですか?」

「代表が変わらなきゃいいんだとさ。 次の相手は多分前の試合のメンバーじゃ分が悪い可能性があるから。」


「へぇ。 なら任せてよ。 ね? 白羽?」

「飛空さんのお役に、立てるなら私も、頑張ります。」

「頼りにしてるよ。2人とも。」

「ところで、もう1人はどうするの?」

「それももう考えてある。 後で連絡は取るよ。 あ、ジュースってどこで貰える?」

「今は配っていない、みたいなので、供給所に行けば貰えるかと。 そんなに遠くにはないので、すぐに見つかると、思いますよ。」

「ありがとう。」


 そういって席を立ち上がって供給所に向かう。 供給所でジュースを貰って戻ろうと振り返った時、先程まで戦っていた軟瑠女子高校の翁 霞美がそこに立っていた。 彼女もジュースを貰いに来たようだ。


「あなたには改めてお礼を言いたいと思っていたのよ。丁度良かった。」

「なにかお礼をされる事はしてないと思うけれど。」


「あの時、あたしの事を庇ってくれてありがとう。 あのままの調子だったら前の試合は勝ててなかったから。」

「俺は思った事を言っただけだよ。 あとは湾健高校の代表に腹が立っただけだ。」


「軟瑠女子高校は、男女間の交流が多くない。 たまに近くの男子高校と交流会をするのだけれど、その男子高校の男子達はどうも下心が見え見えで私的にもあまりいけ好かなかったんだよ。」

「それは俺も湾健高校のやつも同じなんじゃないのか?」


「湾健高校の奴はそうだったけど、あなたは違った。 あんな圧倒的に不利だった私に救いの手を差し伸べてくれた。 だから感謝している。」


 まあ感じ方は人それぞれだから肯定する事も否定する事も出来ない。


「まあ、第一回戦勝利おめでとう。 対戦相手である以上は、手加減なしで行くから。 その所は覚悟しておいてよ。」

「あぁ、我々軟瑠女子の力を見せつけてあげよう。」


 そういって俺は翁と別れる。 席に戻ると先程呼び出しをした人物が桃野姉妹と共に待っていた。


「おーい 遅いやないか飛空。 お前やろ? 俺を呼び出したんわ。」

「悪い悪い。 ちょっと話をしていてな。」


 そんなことを言っているとアラートが鳴る。


「続いての試合を行うので、ステージ近辺までチームを引き連れて来てください。」


「飛空、今の何?」

「アラートだよ。 さ、ステージまで行こうか。」


 そういって桃野姉妹と輝己を連れてステージまで行く。


「あら、やっぱりメンバーは変えたのね。」


 ステージに登ると、志摩川先輩と鉢合わせた。 どうやらメンバーを変えてくることは想定内だったようだ。


「次の相手はさっきとは別の意味で長期戦に持ち込みたくないので。」

「そう。 みんな頑張ってきなさいな。」


「「はい!!」」「うすっ!」


 桃野姉妹と輝己が志摩川先輩に対して返事を返して、ステージへと登る。 すると、軟瑠女子高校の代表である翁の他にもう1人、知り合いを見つけた。


「あれ? 青坂さん。 チームに選ばれたんだ。」

「あ、津雲・・・さん。」

「あら? 知り合いだったの? 瑛奈。」

「ホテルの・・・同じ・・・・・部屋の人・・・。」


「へぇー 凄い偶然じゃない。」

「でも、手は抜いちゃダメよ?」


 青坂さんが他二人の女子に挟まれてアワアワしている。 向こうでもあんな感じなのか。


「あれは仲がいいからまだ出来ること。 あの子はうちの女子高ではその臆病さからよく標的にされるんだよ。」

「イジメとは感心せんなぁ。 同じ人間やろが。」


 だからこそこのメンバーに呼ばれたのかもしれないな。


「でも不思議。 あの子普通に女子にも喋ることもままならないのに、あなたを見た途端になんだかちょっと表情が和らいだ気がしたもの。」


「津雲さんには・・・・優しく・・・・してもらい・・・ましたから・・・・。」


 その青坂さんの言い分に俺に視線が集中する。 え?なに?


「いえ、いいのよ? あの子が明るくなろうとしているのは。 でも、もうちょっと、段階がないかしら?」


 ・・・・・・ん? あれ? なんか勘違いされてます? そう思った時、右肩をグッと引っ張られた。 振り返るとなんかお面でも付けたような笑いを見せてる桃野姉妹がいた。


「飛空? この戦いが終わったら話を聞かせてね?」


 あれ? これ勝っても負けても関係ない感じですか?


「さあ、色んな思いが交差する中、試合の合図を出したいと思います! 両者ミーティングルームに入って下さい!」


 高らかな高花先輩の声とみんなミーティングルームに入った。


 俺だけなんか爆弾を抱えるような形で入ったけれど。 怖いんだよ、紅梨と白羽の笑顔が!

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