チャプター1 監禁船の四月は君の虜 クロ探し裁判編(9)
ゲシュタルトの号令に合わせて、ぼく達の前にボタンが現れる。ぼく達の前に突如として現れたそのモニターには、自分を含めた16人の名前が記載されており、その上で【投票】というボタンがその横に作られていた。
ゲシュタルト《さぁ! モニターに表示されている名前の中から犯人と思われる人物の名前を選んで、お手元の投票ボタンを押してください。投票は多数決によって選ばれまして、その結果によってクロが決定しますよ。あっ、そうそう。投票は誰でも良いですけれども必ず誰かには投票してくださいね。
……おっ! どうやら投票は終わったようだねぇ。
投票の結果、選ばれたその人物は本当にクロなのか? クロじゃないのか、ワックワクのドッキドキだね!》
そうすると、ゲシュタルトの後ろからいきなり巨大モニターが現れ、巨大モニターにぼく達15人、いや相川さんのも含めて16人の名前が……いや、何故かゲシュタルトの名前まで書かれていた。
【倉中りぼん……十三票
相川祐樹……一票
ゲシュタルト……一票
他生徒……零票なりけり】
ゲシュタルト《ぐふふぅ! どうやら君達の投票は終わったみたいだね! さぁ、果たしてオマエラが選んだクロは、正解なのか? あるいは不正解なのか?
ワックワクで、ドッキドキの正解発表でぇ~す!》
そして、巨大モニターが消えると同時に、モニターに新しい映像が映し出されていた。
【==Congratulation!==】
モニターに映し出されたのはただその言葉一言のみ、しかしなにが伝えたいかははっきりしていた。
ゲシュタルト《ぐふふぅ! どうやら当たったみたいだねぇ、オマエラ。
そう! 【超逸材のカウンセラー】の相川祐樹くんを殺したクロは、【超逸材のイラストレーター】こと倉中りぼんさんだったのです!》
クラナカ・リボン「う、うぅ……」
ゲシュタルト《さて、ボクはこれからやる事があるから失礼するね。精々、オマエラは最期の別れとやらを楽しんだらいいんじゃない? ぐふ、ぐふ、ぐふふふっ! あーははははっ!》
そう言ってゲシュタルトはどこかへと消えて姿を消し、ぼく達の初めての学級裁判は終わりを告げた。
クラナカ・リボン「…………」
ミツルギ・ヒイロ「どうしてだ! どうして祐樹を殺したんだ、りぼん! 答えろよ!」
頭に血がのぼった御剣さんは、怒りを強く現したまま、倉中さんの首根っこを掴んでいました。それを止めようと、ショコラティッシュさんと平和島さんが2人を近くで、「いつ、止めようか? 止めようか?」と悩んでいたが、2人とも直接的に止めようとしてはいなかった。
直接的な暴力はいけないと思っているのだろうが、それでも倉中さんという犯罪者を許す事は出来ないのだろう。
ヤマト・アユム「でも、なんで相川さんを殺したの? まぁ、オレとしてはその理由が、コロシアイ動機ビデオにある……と思うんだけど」
ショコラティッシュ「え、えっと……お菓子食べれば、教えてくれる?」
スズキ・シーサー「……さか……な……食べる?」
ヘイワジマ・ノゾミ「う、占いはヒツヨウありますかネー?」
と、皆は倉中さんに話しかけて、倉中さんは息を全部吐き出すと、こちらに顔を向ける。その顔はどこかすっきりとした、良い顔だった。
クラナカ・リボン「……お菓子は要りますが、そんなのなくても説明しますよ。きっかけは大和ちゃんの言う通り、コロシアイ動機ビデオです」
ナカヨシダ・サユリ「にゃにゃ! あのびっくりどっきりビデオメカを信じちゃたのにゃ?」
クノ・タマキ「……あんなの、シンジツなんかじゃないデス。ワタシが皆に信じられてたとか、ウソばっかりデス」
クラナカ・リボン「でも、私にとってはあれこそが真実なんです。
……ちょうど良いですね。今から私のコロシアイ動機ビデオを見せますね。そこに私の動機も一部……ありますので」
ユキワリ・キョウヘイ(……いち、ぶ?)
ゲシュタルト《丁度良いやぁ、それならばボクもその手助けをしてあげましょうかねぇ。さぁ、皆様! モニターをご覧くださいませ! バカで、愚かな、倉中さんの映像をご覧くださいませぇ! うぷぷぷっ!》
なんか妙な言い方をするなと思いながらも、倉中さんはゲシュパットを操作してコロシアイ動機ビデオを映す前に、ゲシュタルトの手によって巨大モニターへと映し出される。
☆
ゲシュタルト【くふふぅ! これは【超逸材のイラストレーター】である倉中りぼんさんのためのコロシアイ動機ビデオだよぉ~! 君が外に出る理由はなんなのかなぁ~?
【超逸材のイラストレーター】である倉中りぼんさんはイラスト、それに漫画などで読者達、とりわけ子供達に人気のイラストレーター! そんな彼女は実は、"倉中共同院"という孤児院に拾われた孤児であり、彼女には12人の血の繋がらない妹が居たのです。
今回はそんな君の大事な12人の妹の1人、倉中飛翔さんからメッセージが届いているよぉ~!】
ゲシュタルトがそう言うと映像が途切れ、そこに映し出されたのは黒い肌と青い瞳の、20歳くらいの女性。彼女の着ているのは所々が破けた白い肌シャツで、どこか薄汚れた場所であった。そして彼女の後ろからはバンッと、何度も銃撃音が聞こえていた。
クラナカ・ジャンプ【お、お姉ちゃん? 僕様ちゃんだよ? りぼんお姉ちゃんの最愛な妹の1人、倉中飛翔だよ。お姉ちゃんはどこに居るの? 僕様ちゃんは他の11人も心配してるんだよ。倉中電撃、倉中四角、倉中きらら、倉中琉、倉中ファンタジー……後の5人もりぼんお姉ちゃんの事を心配してるんだよ。お姉ちゃんがあの女と男に連れて行かれてから数年、私達の中では大きな事が起きたんだよ。私達の親である孤児院長の倉中創院長が――――】
――――プツンッ!
ユキワリ・キョウヘイ(えっ……?)
と、ビデオを見ていたぼく達ではあったが、いきなり映像が消えた事に驚いていた。彼女の妹と名乗る倉中飛翔が孤児院長の事を話し始めようとしたその瞬間、ビデオが消えた。それはもう既に、ビデオの続きはないと言っているようなものだった。
そのビデオが終わると同時に、倉中さんはがくりと崩れ落ちた。
クラナカ・リボン「……ははっ、何度見てもつらいですね。守るべき、楽しませるべき、妹たちがそんなピンチになっていたなんて知ったらね。
私はね、元々イラストにも、漫画も好きなんかじゃないですよ。さっきのコロシアイ動機ビデオでもちょっと語られたと思うけど、私って孤児なんですよ。倉中共同院、そういう名前の孤児院の前に漫画雑誌を毛布代わりにして捨てられた孤児。私の名前も、倉中は院長からで、りぼんという名前もその毛布代わりの漫画雑誌の名前から付けられたんですよ」




