チャプター1 監禁船の四月は君の虜 (非)日常編三日目
《ピンポン、パンポーン! 朝8時を迎えました。みーんな、朝だよ~!
オマエラ、今日も一日元気にコロシアイましょう! ぐふふ……!》
ユキワリ・キョウヘイ「んっ、んんっ……」
朝を告げるアナウンスを聞いて、ぼくはゆっくりと目を覚ます。起き上がろうとすると、ズキズキとするようなひどい頭痛がする。頭を押さえてなんとか起き上がると、昨日は全然開かなかったカウンセリングルームの扉が開いていた。どうやらぼくはカウンセリングルームの目の前で、あの白般若面の人に襲われて、その場で眠ってしまったみたいである。
ユキワリ・キョウヘイ「扉が開いてる……?」
ミツルギ・ヒイロ「おぅ、杏平じゃないか? こんな朝早くにどうした?」
と、さっぱりとした顔で現れた御剣さんはタオルで顔を拭きながら、ぼくにそう尋ねて来る。その後ろには常盤木さんが爽やかな顔で嬉しそうな顔で、タオルで汗を拭いていた。
ミツルギ・ヒイロ「と言うか、今起きたのか? 今起きたって事は、ここで寝ていたって事か?」
トキワギ・トオカ「えっ!? キョウヘイッチ、こんな所で寝てたの? ちゃんと個室で寝るべきだよ! ちゃんと寝ないと、朝から元気でないよ?」
と言うよりも、どうして御剣さんと常盤木さんがこんな所に居るのだろう? ぼくがそう聞くと、2人は朝早くに起きてしまったから、トレーニングを兼ねてランニングをしていたんだそうだ。
ミツルギ・ヒイロ「と言うより、俺は杏平がここに居る理由が知りたいんだが? ここは確かカウンセリングルームの前だろう? まさかこんな所で、寝てまで祐樹を待っていたのか? 普通にノックすれば良いだろう?」
そう言って御剣さんが扉を開け……って、止めなきゃ!
ユキワリ・キョウヘイ「(だって、相川さんはあの時血を流して……) 待って……!」
止めようと声をかけるも、既に御剣さんは扉を開けて中を見ていた。そして驚きの表情のまま固まっていた。
ミツルギ・ヒイロ「んっ? こ、これはどういうことだ?」
トキワギ・トオカ「ど、どうかしたのぉ? こ、これは……!」
御剣さんが扉の中を覗いて、常盤木さんも気になってカウンセリングルームの中を覗いていた。扉の中を覗いた彼女は御剣さんと同じように驚いた顔をしていて、そして口にする。
トキワギ・トオカ「えっ? ち、血塗れ!? なに、この部屋!?」
血塗れの部屋を見て驚いた常盤木さんだったが、その次に続く言葉は……。
ユキワリ・キョウヘイ「なんで相川さんが倒れてる、かな?」
トキワギ・トオカ「なんでだれも居ないの! ユウキッチはどこ!?」
えっ……?
常盤木さんの言葉がぼくの考えていたものと逆であって、ぼくは慌ててカウンセリングルームの中を覗きこむ。
そこには壁も、床も、全てが血で染まった部屋。
しかし、そこにカウンセリングルームで待っていた相川さんの姿はなかった。
《ピン・ポン・パンポーン! 死体が発見されましたぁ~! 死体が発見されましたぁ~!
オマエラ、今すぐ体育館の方に集まってくださぁい!》
ユキワリ・キョウヘイ「体育館? 死体?」
アナウンスの内容に戸惑っていると、すぐさま2人がガシッとぼくの身体を両脇から掴んでいた。
ミツルギ・ヒイロ「体育館に死体だと!? 杏平、十香、今すぐ体育館に行くぞ!」
トキワギ・トオカ「そうだよね! 早く行こうね!」
がしっと2人に掴まれたぼくは、そのまま体育館へと連れて行かれるのであった。
ユキワリ・キョウヘイ「ちょっ! 2人とも、速すぎぃぃぃぃ!」
体育館へと移動すると、ぼくはそこで目撃する。
――――それは、死体だった。既に人間ではなく、ただの死体となっていた。
元はヒトだったモノはコードによって両手両足を縛られて十字架に張り付けられており、その胸には長い日本刀が突き刺さっていた。
相川さんは、そうして死んでいた。
ゲシュタルト《ぐふふぅ! オマエラが好きなコロシアイの時間だよぉ~! こうしてヒトが死んで、ボクは満足だよぉ! 絶望の時間のハジマリだよぉ、ぐふふぅ!》
死体の横にすっと現れたゲシュタルトは、自分が望む展開になって不気味に笑っていた。
《Chapter1.監禁船の四月は君の虜 (非)日常編》 《End》
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《Chapter1.監禁船の四月は君の虜 非日常編》
とりあえず、今完成されている分の投稿完了です。
次の更新はまた活動報告にて追って連絡いたします。