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いちにちひとつぶ ~迷える君への贈りもの~  作者: おじぃ
高校生活 夏

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修善寺に行ってみた

「やぁやぁやぁ! ヒタッチとこんなところで会うなんてね! 呼ばれて嬉しくなってビンボーなのに特急に乗って追いかけてきちゃったよ」


「ごめんごめん、なんだかきょうは未砂記と行動する気分になった」


「ぅおおおおおお!! ヒタッチがそんなことを言ってくれる日がくるなんて! おいちゃん涙ちょちょぎれちゃうよぉ!!」


 小鳥のさえずり、崖の上から見渡す広大な海のきらめき。自然が織りなす音や色は人混みの中で育った私にとってはどこか寂しく感じてしまい、騒がしい未砂記が恋しくなって海を眺めながら電話をしたら、二つ返事で来てくれた。


 しかも私が呼び出したのは根府川よりずっと先、静岡県中伊豆なかいずエリアの修善寺しゅぜんじという場所。


 伊豆やその近辺といえば神奈川から近い馴染みの場所で、温泉リゾート地の熱海あたみ、海がきれいで海の幸が豊富な沼津ぬまづ河津桜かわづざくらでその名を全国に轟かす河津かわづ、には何度か足を運んでいたけれど、いずれも海に面した地域。


 なので今回は趣向を変えて内陸部の修善寺に来てみた。茅ヶ崎からは電車で片道約1500円。特急に乗ればプラス600円以上かかるのに、私のわがままにいやな顔一つせず、むしろとてもハッピーな様相を全身で体現しながら来てくれて、本当に良い友だちを持ったと思った。


「えっ、ちょっ、駅で大声出さないの……」


 修善寺駅は伊豆箱根鉄道いずはこねてつどう駿豆線すんずせんの終着駅で、4本並ぶ線路の先端に改札口のある小さな駅。JR東海道線からの特急『踊り子』も乗り入れている。改札口を出ると、小ぎれいな駅舎内にはコンビニや駅弁屋、土産屋、観光案内所などがあり、現在構内にいる利用者は百名に及ぶか及ばないかといったところ。つまるところ、未砂記の号泣が良く響く。


「チッチッチッ、ヒタッチはわかってないなぁ。感情を押し込めるのはからだに毒。日本人くらいだよ? こんなに静かなの。大阪は別として。あそこは私みたいなのがぎょうさん居った」


 いつものように人差し指をメトロノームのように振り、正論だけど何か違うような気がする持論を展開する未砂記。


「わかったわかった。気持ちはすんごく嬉しいけど、ここは静岡だから静かにしておいて」


「……なに、もしかしてダジャレ? うわー、夏なのになんだか一気に冷え込んできたわ」


 出た。出たよこの絶対私のペースには持って行かせないヤツ。


「……さて、来てみたはいいけど、どこ行こうか?」


「うーん、どうしよう。とりま観光案内所で訊いてみよう」


 言って、未砂記は私を置いて正面20メートルほど先の観光案内所にスタスタと駆け込んだ。

 お読みいただき誠にありがとうございます!


 いつも更新遅くなり申し訳ございません。


 ただいま連載各作品の構成見直しを実施中です。

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