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X線人間標本(仮)——人間観察掌編集  作者: 冬木香
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宇宙を目指した男

 努力は必ず報われるという。

 だから僕は宇宙に行くために山を作り続けたんだ。


 穴を掘って山を積み上げる。それは確実に目標に近づく、とても充実した作業だった。

 少しずつだけれど、空との距離は着実に縮まっている。星に手を伸ばせばそれが実感できた。

 一歩一歩進み続ければ、夢はきっと叶う。

 そう信じていた。だけどその夢は突然打ち砕かれることになった。


 ある日、穴を掘っていたら突然なにか固いものにぶつかった。

 最初は岩盤かと思ったけれど、周りを掘っているうちに崩落とともに地下帝国の遺跡が姿を現した。


 崩落の音を聞きつけて集まった近所の人たちに遺跡が見つかってからは本当に大変だった。

 すぐに噂は広まって国じゅうを巻き込む大騒動になってしまったからだ。

 結局政府や富豪に目をつけられて、穴は大金で買い叩かれてしまった。

 札束を積まれた僕に、選択肢は存在しなかった。


 結局僕は自力で宇宙に行くことは叶わず今はスペースシャトルの中に座っている。

 努力は報われない、世の中はそういうふうにできている。


 窓の外には、広大な宇宙が広がっていた。

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