1.寒くないの?
「自分は世界で一人だけだから」
そう何考えてんだか分かんない気味の悪い顔でつぶやく、俺の好いている人。それは、あなたがひとりぼっちで生きてきたって事? なんでそんな顔するんだよ。
柄じゃない事を始めてみた。スーパーのレジ。なんで好きでもない奴にニコニコしなきゃいけないのか、分からない。今俺は高校3年生、進学先は決まった。大学に入ってからもバイトは続けていくつもりだ。中学の時に悪さをしていた。警察のご厄介になった。万引きだったり、他校の奴らと喧嘩したり、学校も行かずに連んでる奴らと遊んで。彼女が高1の冬に出来た。それまでも体目的の付き合いはあったけど。顔の偏差値も高くて、細くて、優しくて、1ヶ月前までその子と一緒にいた。どこに出掛けても2人でいれば視線を釘付ける。自慢になる以前に、こんなに幸せな事が人生で無かった。俺が笑えば嬉しそうで、細やかに俺の変化に気付く。よく一緒に勉強した。その子は、家から近いから高校を選んだので、学力が俺よりも遥かに高くて、届いたのが不思議なくらいの成績で入学した自分とは比べられない。
「一番かっこいい奴かー」
「それは人によるくないですか?」
「確かにー」
その子が、4つのグラフから解答を選ぶ問題で放つ一言が今でも忘れられない。色んな事に興味を持つ子で、学ぶ事が楽しい事だと思ってた。すぐに分かったと思うけど、天然だ。この子がいれば、生きていける。そんな馬鹿デカいスケールで、自分の不運さがどうでもよくなるくらい、共にいれば癒し合えた。そんな風に、俺は、彼女を想っていた。なんで仲良くなったかは、また今度にする。そう、そんな女の子に、何も不満など無かったのに。
「おはよう、みぞれくん」
「おはようございます、みつさん」
目の前の、この男を愛したいから別れた。




