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Das Heldenlied Neu ヘルデンリート・ノイ  作者: Siberius
Neu Zwei Proserpina
39/196

メッセージ

ディオドラは思った。

ここはどこだろうか? 

ディオドラは夢を見ていた。

神の言葉は夢によって伝達される。

ディオドラは夢の中にいた。

まるで水中にいるかのように感じる。

「お久しぶりですね、ディオドラ」

「あなたは……レミエル様」

ディオドラの前には女の天使がいた。

大天使レミエル。

神の前に立つことができる七大天使の一人だ。

彼女は雷と幻視を司る。

「どうしてレミエル様がいらっしゃるのでしょうか?」

「それはあなたに神の言葉を伝えるためです」

レミエルは金髪のロングヘアに桃色の衣を着ていた。

「神の言葉?」

「そうです。セリオンに危機が訪れる。これは試練である。彼は苦しむ。苦しんで、苦しんで、苦しんでそして答えを出す。彼は答えを求めるであろう。それは彼にとって必要なこと。彼は闇と戦う。それこそが、彼の宿命であるから」

ディオドラは涙を流した。

「ディオドラ、どうして泣いているのですか?」

「息子の幸せを願わない母親がいるでしょうか? 私はセリオンに普通に生きてほしいと思っているのです。せめて愛する人と共に。あの子はエスカローネちゃんを愛しています。エスカローネちゃんもあの子を愛しています。私の息子には不幸にはなってほしくありません」

「ディオドラ、彼は普通の人生を歩むことはできません」

「レミエル様、どうしてでしょうか? あの子だけどうして普通の幸せを奪われなくてはいけないのですか?」

「ディオドラ、あなたもわかっているはずです。あなたが産んだ息子は『神の子』です。彼は闇と戦い、世界をあまねく光で照らすでしょう。彼は英雄です。彼は希望であり、未来なのです。彼は世界と多くの人々を救うでしょう。セリオンは救世主です。彼によって人と世界が救われるからです。彼は不滅の名誉を成し遂げ、その名声は世に広く知れ渡るでしょう」

「私は神の子を産みました。私が産んだ息子は『神の子』です。神が私に、来るべき英雄の母になることを望まれたからです。でも、あの子も人間です。神の子であっても、普通の人間なんです。私はセリオンを愛しています。愛していますし、これからも愛し続けます。レミエル様、セリオンはどうして苦しまなくてはならないのでしょうか?」

「セリオンは、英雄にして神の子、それゆえ彼は自らの実存に悩むでしょう。これはセリオンが特別な存在だからです。彼は世界に光をもたらすために、そして闇から世界を救うために生まれました。セリオンは自分の本質や実存、存在意義……つまり生きる意味について悩み、苦しむのです」

「セリオンの生きる意味?」

「そうです。今までこの問いにまともに答えられた人はいません。ですが、セリオンは精神の戦いをしなければならないのです。この問いの答えはセリオンといえども、容易に答えを出すことはできないでしょう。自分は何者か? 自分が生きている目的は何か? セリオンは悩み、かつ苦しむでしょう。ですが、苦しみを通して救いへと至るのであって、苦しみなしではいかなる境地にもたどり着くことはできません」

「レミエル様、私はあの子を信じています。私にできることはないのでしょうか?」

「それはあなたにできることをしてあげればいいだけです。彼はもう大人です。子供ではありません。しかし、大人であるがゆえに、彼は精神的危機に陥るのです。彼は根底から覆されるほどの危機に陥ります。でも、それは彼の成長にとっては必要なこと。今回だけではありません。彼は生きているあいだ中自分の存在について悩むでしょう。それは彼が英雄であるがゆえに。彼は普通の人生を生きることはできないのです。神はセリオンを見守っておられます。神はセリオンを愛しておられます。セリオンが戦っているときも、休んでいるときも見ておられるのです。ディオドラ、あなたはあなたができることをしておやりなさい。それがセリオンのためになるでしょう。あなたはセリオンの母。この世界でとてもかけがいのない存在なのです。あなたも神を信頼しなさい。主なる神がセリオンを導き、助けてくれるでしょう。そしてセリオンを見守り続けなさい。セリオンは孤独です。彼は特別な存在であるがゆえに、自分が孤独だと感じるでしょう。ですが、彼は一人ではありません。彼は多くの人から愛されています。それは彼がほかの人たちを愛しているからです。その愛を教えたのはほかならぬ、ディオドラ、あなたなのですよ? そろそろ時間のようですね。さあ、ディオドラ、現実に戻りなさい。私はいつでもあなたと共に在るでしょう。それでは……」

「待ってください! レミエル様!」

ディオドラは手を伸ばした。

その時ディオドラは寮の部屋にいた。

ディオドラは右手を前に突き出していた。

朝だった。

小鳥がなく声が聞こえる。

日が窓から差し込んでいる。

「夢? レミエル様からのお告げだわ……セリオン……」

ディオドラのほおに一筋の涙がこぼれた。

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