暗黒の大魔女アルテミドラ
セリオンは階段を登ると、エレベーターのようなリフトを見つけた。
それに乗って上を目指す。
「アルテミドラのことだ。どうせ高いところから、高みの見物でもしているんだろう」
リフトは頂上まで到達するとドアが開いた。
そこでは塔のような建物があり、道が続いていた。
「あの円形の建物がアルテミドラの居城か?」
セリオンは大きなドアを開けた。
そこには玉座で脚を組んでいる赤い魔女と、黒い縄で縛られたエスカローネがいた。
「エスカローネ!」
「セリオン!」
「無事でよかった!」
「セリオンこそ無事でよかったわ」
「フフフ……よく来たな、青き狼、そして英雄よ」
「アルテミドラ……おまえの目的はなんだ?」
「ウッフフフフフ! それを教えてやろう。それはな、闇で世界を支配することだ! 闇があまねく世界を統べるのだ! 闇の理、闇の原理、闇の力、これらはすべて真理なり! 世界は闇に染まるのだ! 闇こそがすべての人間を支配する普遍的な原理なのだ! ゆえに、私は闇を愛する! Deshalb liebe ich die Finsternis!」
「そんなことはこの俺が許しはしない! この俺の手で必ずそれを止めて見せる!」
「フフフフ! そうこなくてはな! では、戦おうではないか、英雄よ!」
アルテミドラは立ち上がった。
アルテミドラが魔法を使う。
「炎撃!」
炎が吹き出てセリオンに浴びせられる。
セリオンは神剣の力で炎撃を斬った。
「火炎弾!」
アルテミドラは炎の弾を撃ってきた。
セリオンは魔法を斬ってやり過ごす。
「火炎槍!」
アルテミドラが炎の槍を出してきた。
炎の槍はセリオンを貫くべく飛んできた。
セリオンは神剣で炎の槍を斬り払った。
「フフフ……よくやり過ごすな? だが、これはどうだ?」
アルテミドラは火球を五発ほど作り出した。
五つの火球は正確な狙いでセリオンに向かって行く。
セリオンは神剣の光、銀光斬でそれを斬り開く。
「フフフ……この火球、受けられるか?」
セリオンの上に巨大な火球が形成された。
炎が熱い力を発する。
セリオンは銀光の斬撃で火球を迎撃した。
「フン、少し強くいくぞ? 双連・火炎槍!」
火炎槍の二発同時発射。
セリオンは銀光の斬撃で火炎槍を斬り捨てた。
「火炎波!」
炎の波がセリオンに迫る。
セリオンは銀光の剣で火炎波を破った。
「灼熱砲!」
アルテミドラの手から炎のビームが放たれた。
セリオンはそれをスライドしてよけた。
「多弾・火炎弾!」
いくつもの数の火炎弾がセリオンに出された。
セリオンは蒼気を全開して、それらをすべて迎撃した。
「火炎噴!」
セリオンの足元から炎が噴き上がる。
とっさにセリオンは後退してかわした。
「火炎昇!」
活火山のような炎が上へと上昇する。
セリオンはサイドステップでこの攻撃をかわした。
「これを迎撃できるか? フフフ、災炎!」
アルテミドラが炎属性大魔法を発動した。
小型の太陽ができて、それがブロックと化してセリオンに降り来る。
セリオンは氷粒剣を出した。
氷の粒子が災炎を凍らせる。
「ほう……おまえがここまでやるとは思わなかった。ゆえにそれに敬意を表し、私の魔法の真髄を見せてやろう。紅蓮鳥!」
アルテミドラは鳥の姿をした炎を放った。
セリオンは横にはねてそれを回避する。
「フフフ……まだまだだ」
アルテミドラはより大きな紅蓮鳥を出した。
今度はかわせそうもない。
セリオンは正面から受けることにした。
セリオンは氷粒剣を出した。
セリオンは氷の大剣で紅蓮鳥を斬りつける。
すさまじい熱量が周囲に放たれた。
その中からセリオンが現れた。
「なっ!? この私の魔法が!?」
「どうする? ここでやめておくか?」
「フフフフ……よもやここまでやるとはな。だが、私は一人ではない。アスモデウス(Asmodeus)!」
床から魔法陣が現れた。
その中から一体の悪魔が現れた。
ライオンのような顔、黒い体、赤いたてがみ、それにしっぽと、鋭い爪。
大悪魔アスモデウスである。
「さあ、アスモデウス! 青き狼の相手をして差し上げろ!」
アスモデウスが咆哮してきた。
「こいつ、強いな!」
アスモデウスは空中に浮遊した。
アスモデウスの重粒子球。
人間ほどの大きさを誇る、重粒子の球だ。
それをアスモデウスはセリオンに発射した。
「なめるな!」
セリオンは光の刃、光波刃を放って重粒子球を迎撃する。
アスモデウスは重粒子でセリオンに圧力をかけた。
セリオンはその場からただちに移動した。
圧力がかかった位置が爆ぜた。
セリオンは移動していなかったら、押しつぶされていただろう。
アスモデウスは口に闇をたくわえた。
アスモデウスは口から闇の息をはいた。
闇が深く染まる。
セリオンは光輝刃を出して、アスモデウスの闇の息を斬り裂いた。
セリオンは大きくジャンプした。
セリオンは光の大剣でアスモデウスを斬りつける。
アスモデウスの顔に傷がついた。
アスモデウスは怒り狂った。
アスモデウスは両手の爪でセリオンを切りつけてきた。
セリオンは後退して回避する。
その戦いを見守っていたアルテミドラは指を引いた。
アスモデウスがアルテミドラの前に移動する。
「このままではアスモデウスがおまえに倒されていただろうな。ゆえに後退させた。さあ、では私の真の力を見せてやろう! アスモデウス!」
「!? いったい何をするつもりだ?」
アルテミドラはアスモデウスに吸収された。
そしてアスモデウスの頭から上半身だけをアルテミドラは出した。
「フッハハハハハハ! これが私だ! 暗黒の大魔女アルテミドラだ! 私はドミナ=アルテミドラ(Domina-Artemidora)だ! 蛇炎!」
アルテミドラは上方から蛇の形をした炎を出した。
蛇炎はセリオンに上方から襲いかかった。
「うおおおおお!?」
セリオンは氷粒剣を出して、この炎を受け止めた。
「これを受けるがいい! 我が究極の闇! 堕天の闇!」
二つの闇の球がセリオンの前でぶつかった。
二つの球は邪悪な闇で満ちていた。
中心から闇が広がる。
闇は広がってセリオンを呑み込んだ。
圧倒的な闇が空間を支配する。
「フハハハハハー! ハーハハハハハ! 見よ! そして思い知れ! これこそ闇の本質なり!」
アルテミドラが哄笑する。
闇は潮のように引いていく。
とたんに大きな銀光の刀身が見えた。
それは闇を斬り裂いた。
「なっ、なんだと!?」
アルテミドラが驚愕する。
「この銀色の光はあらゆる魔法を斬ることができる。おまえの闇は敗れた!」
「クッ、まさか私がここまで追いつめられるとは……よかろう。これを思い知れ! 我が最強の闇! タルタルス(Tartarus)!」
「何だ?」
セリオンは黒い闇に包含されて呑み込まれた。
五感が正常に働かない。
この空間……闇の中には光も物も音もなかった。
精神レベルでは意識が崩壊してもおかしくなかった。
それほど深く暗い闇だった。
ただ闇しかない空間……
だがセリオンは生きていた。
「閉じ込められたか……だが、俺の意思がある限り、光は決して消えはしない! くらえ! これが光の輝きだ! 光在れ! 閃光剣!」
その瞬間闇の中で光が爆ぜた。
光は周囲に広がり、闇を斬り裂いていく。
「? どうした?」
アルテミドラはいぶかしんだ。
タルタルスにひびが入る。
「何!?」
タルタルスは砕け散り、光が、まぶしい光が一気にタルタルスの中からあふれ出た。
アルテミドラの全身に光が降り注ぐ。
「ぎいやああああああああ!?」
光は闇を退ける。
いつでも、どこでも、光は闇の中で輝き続ける。
セリオンはアルテミドラに肉迫した。
そして光の大剣でアルテミドラの胸のあいだを貫いた。
「ぐぎゃああああああああああああああああ!!??」
アルテミドラが叫び声を上げる。
その時、アルテミドラとアスモデウスが分離した。
アルテミドラは床に倒れた。
「光が……光がまぶしい……闇よ、永遠なれ……」




