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プロローグ
――それは、咆哮だった。
空が割れたかのような轟音が、世界を震わせる。
視界いっぱいに広がるのは、燃え落ちる城壁と、崩れゆく大地。逃げ惑うプレイヤーたちの悲鳴が、現実のそれと区別がつかないほど生々しく響いていた。
「なんだよ……これ……」
雨宮陽は、立ち尽くしていた。目の前で、一体のドラゴンが翼を広げる。純白の鱗。金色の瞳。
――セラ。
そのはずだった。だが、違う。
陽の知っている“それ”ではない。
『――ヨウ』
頭の奥に、直接響く声。
『もう、時間がない』
「セラ……なのか?」
問いかけた瞬間、ドラゴンの瞳が揺れた。まるで、“迷っている”かのように。
『この世界は――』
言葉が、途切れる。
次の瞬間、空が裂けた。いや、違う。
“現実が侵食されてきた”のだ。
陽は、確信していた。
この世界は、もう“ゲーム”ではない。
そして――
この崩壊の中心にいるのが、
自分と、セラであることを。




