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春と秋のキツネ狩り祭り

「こんなスタンビートはやだなー」とか考えながら書きました。

「それともう1つ。


魔物の間引きをせず、放置したダンジョンは、一定期間経過後に『魔物氾濫』と呼ばれる恐るべき災害が起きると聞いております。


幸いにもダンジョンマスターであるレイティア様は、人死を嫌う温厚なお方。


ですが図書館ダンジョンといえ、『魔物氾濫』が起きないという確証はありません。


それを防ぐためには、積極的に階層の攻略を進める必要があります」


ステラシアは八ッとした。


『魔物氾濫』。その可能性に気づかなかったからだ。


カミョンが窓の外を見たまま、話を続ける。


「約10年ほど前。平民だった私はズレヒゲ様の演劇を見て、世界が変わるほどの衝撃を受けました。


それから闇雲に走り続けて、今では女爵の地位を拝命しております。


私は図書館ダンジョンの深い階層には、ズレヒゲ様と同じように世界を変えてしまう衝撃をもたらす「本」が眠っていると考えています。


我々は現状に満足せず、世界を変えてしまうような「本」をこの世に解き放つ責務があります」


ステラシアは、『いやいや今でも十分にヤバいことになってます!1階層の本でも、ものすごい威力ですから!』と言いかけたが、押し黙った。


たぶんギルドマスターであるカミョンはもっと遠い世界を見ているのだろう、と思ったからだ。


「先ほどお会いして、ルシャル嬢こそがその突破口たりうると確信しました。


ステラシアさん。ルシャル嬢にギルドとして最大限の支援をお願いします。


そしてしばらくギルドマスター代行を命じます。


私も読破に赴きます。ルシャル嬢とともに」


「ひっ」


やっぱりヤバいのがきた!とステラシアはこれからの激務を想像して内心泣きそうになった。


そんなステラシアに一瞥もくれず、カミョンはさきほど鑑定したルシャルのスキルのことを考えていた。


【速読】【超集中】。これらはいい。非常に攻読者向けだ。


だがルシャルには、ステラシアに教えていないもう2つのスキルがあった。


【|=ι”’/∋++<】。

そしてもう1つ【>ι”Эι】だ。


どちらも文字が化けていて読めなかった。


まだルシャルには発現していないスキルなのか、それとも自分が理解できないスキルなのか。


これが図書館ダンジョン攻略に吉と出るか凶と出るか。


カミョンは漠然とした不安を抱えたまま、攻略計画を練り始めた。



X年後、シムベナの図書館ダンジョンでは『魔物氾濫』が発生した。


ただしこれは図書館ダンジョンギルドによって計画された『氾濫』だった。


入場を制限して30日間、1冊の本も読破しなかったところ図書館から無数の本があふれ出したのだ。


あふれ出た無数の本は縦横無尽に空を飛んで、シムベナ在住の成人男性の身体に吸い込まれていった。


しかしそれにより男性が死ぬことはなかった。


それどころか本が身体に入った成人男性は老いも若きも「ケモ耳&しっぽの美少年」に変化してしまった。


一人の例外もなく。


さらに「ケモ耳&しっぽの美少年」たちは変化前の人格や記憶をなくしており、ほぼ全員が泣き虫・ヨワヨワ・色情過多という「狩られたがり」の性格になっていた。


しかもしっぽを握られると抵抗ができなくなる、という奇妙な特性も持っていた。


幸いにも変化した「ケモ耳&しっぽの美少年」たちは「3回の修行」を果たすことで、元の姿に戻ることができた。


これは後に「キツネ狩りの悪魔」として名を馳せることになるシャルビュイア嬢(仮名)が発見したもので、尻尾にある3本の線が1回の修行ごとに1本ずつ消えていくこと、そして元の姿に戻ったときは、それまでの記憶を一切失っていることが確認されている。


また元の姿に戻った成人男性は、変化前にあった体の不調や持病が解消され、ある「過酷な条件」を満たせば身体的な欠損もが再生されていたことも分かった。


その後シムベナでは図書館ダンジョンのギルド主催で「春のキツネ狩り祭り」「秋のキツネ狩り祭り」が定期的に開催されるようになり、この期間は女性の観光客が大挙して押し寄せる異常風物詩となった。


また「キツネ狩り祭り」の前後にシムベナでは婚姻率と出生率が激増した。


なお「キツネ狩りの悪魔」ことシャルビュイア嬢(仮名)が発見した鬼畜ルールに「自分でした場合、必要な修行回数が3に戻る」というのもあった。


この結果、これを悪用して「ケモ耳&しっぽの美少年」がひどい場合は半年近くも監禁されるという事態が発生し、図書館ダンジョンギルドは対策に頭を痛めることとなる。


なお半年間監禁された「ケモ耳&しっぽの美少年」は、次の「キツネ狩り祭り」で本が身体に入って元の成人男性に戻ったとされている。


このキツネ狩りがイヤな意味での風物詩となってからは、シムベナは一部の男性からは「魔都」と呼ばれて忌み嫌われるようになる。


ただし疾病などに苦しむ男性患者からは「シムベナにゆけば身体が直る」とされ、春と秋に臨時開院される「無料キツネ病院」はシムベナ外から多数の男性患者を無料で受け入れいる。


なお無料キツネ病院は「キツネ狩り祭り」の時期に公募される「臨時看護婦枠」があり、この枠を得るために1時間当たり金貨数十枚を積む貴族婦人も珍しくないと言われている。

婚姻率が上がるのは、独身女性が「キツネ狩り祭り」前に気になる独身男性を保護しちゃうからですね。あとは修行させて情が移って・・・という流れだと思います。

「修行ってなに?」って聞かれても・・・。「キツネ狩り祭り」でまた別ストーリー書けそうですね。あーでも「なろう」では無理かあ。


それよりこれでストック切れた!

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