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128 他称鋼の心を持つ男の全力言い訳

誤字報告ありがとうございます!

 

 推理とか綿密な計画とか俺には向いてない。

 解決までの道のりを楽しめないタイプなんで。

 考えてるフリは得意なんだけどな。


 ということで、この件はシロネとアーシュレシカに任せよう。


 あ、いや、丸投げとかではないです。

 信頼です。

 本当です。


 俺が余計なことするより二人に任せた方がよりよい結果になると思うのですよ。はい。

 ほら、俺が出張ったところでね、クソの役にも立たないとかね。……うん。自分の言い訳にちょっぴり傷ついちゃうとかね。




 アーシュレシカが連絡し、北の冒険者達と子供達はこっちに戻ってくることに。

 戻りながら子供達にはざっくりした説明を北の冒険者達にしてもらう。

 こちらと合流したらアーシュレシカにより詳しい事情を話してもらう。


 シロネのほうはシロネとアイラでもう少し何とかしてみるようだ。

 シロネはともかくアイラはなー。


 まあいいか。


 シロネ達に任せるとなったら急に気分が楽になった。

 ふう、これで心置きなくゴロゴロできるぜ。





 そうして俺は2、3日ゆっくりした。


「お前の精神は鋼か何かなのか?」


 ゴロゴロしてたらハルトがやってきた。

 急にやってきて俺しか宿にいないことを不思議に思ったのか、聞いてきたのでカクカクシカジカしたらそんなことをいわれた。


「自分にできないとわかっていることを無理にやらず、できるやつに任せることは大事なんだぞ」


 絹ごしのお豆腐の角メンタルの俺に向かってなんてひどい言いぐさの勇者に大事なことを教えてやる。


「それ、ダメなやつがもっともらしいこと言って自分を正当化しようとするいいぐさだな」


 ジト目で言われた。ひどい。


「そんなことないはずだ!」


「“はず”とか言っちゃってるし」


「いいんだよ! このガチスキル社会、適したスキル持ちが動いた方がうまくいくもんなんだよ」


 たぶん。


「いや、それ言ったらお前が行きゃあ即丸くおさまるだろ」


「え?」


 ハトマメ顔してる自覚がある程度には意外なことを言われた。


「あの【聖女の微笑み】ってやつと【純真なる聖女】とかいうスキルコンボで完勝だろ」


 他人のスキル、スキル名やらスキル効果までよく覚えてるな、こいつ。


 てかそもそも領主とか貴族とか面倒臭そうなモノとは関わりたくないので関わらないに越したことはないさ。

 あの領主城見ればわかると思うけど、ここの領主、まるで国王気取りじゃね? すごく面倒じゃね?


 うんざりした眼差しでハルトを見たらうんざりされ返された。


「お前なあ。もしかしてオレとマモルのスキル覚えてないわけ? もうちょっと他人に興味持てよ。ここにきてさらにひどくなってないか? 取り繕わなくなりすぎだっての。てかその様子だと自分のスキルも理解してないんじゃねえの?」


 お、おう。プチ説教のコンボがエグいな。

 まるで俺がダメ人間のようだ。

 でも話題そらすことに成功したかも。

 ラッキー。


 よし、こうなりゃ本気出して言い訳しよう。


「今までは母さんと妹の手前、社会に溶け込む努力ができてたんだけど、母さんも妹もいないと頑張れないよな。張り合い的なさ」


「え、お前、アレで努力してたのか。テキトーだったじゃん! この世界に来たときもうちょっとあったやる気どこ行ったよ?!」


 異世界だししょうがないよね! という作戦にしようと思ったら、もとの世界のからの時点でダメ出しとか。


 そうか、俺、そんな風に思われてたんだ。

 でもほら、母さんと妹が第一だし。それはそれでしょうがない。

 ハルトの言い分を受け入れよう。

 よし、次。


「ああ、うん。それね。うん。俺はほら、お前らより頭悪いからさ」


「家族に心配かけない最低限の成績とかいいつつ他のクラスの平均成績より良かったけどね!」


 こちらは意外に高評価。

 だが今じゃない。

 今は「頭悪いからしょうがないですね」が欲しい言葉!


「考えるのは考えられるやつに任せて、俺は俺にできることをしようと思ったわけだよ」


 何もしないわけではないですよ、できることはさせていただきますよのアピール。


「え、そんな建設的思考できたの? 家族に会えないから自暴自棄になってたわけじゃなかったんだ」


 ぐっ、やっつけの浅知恵がバレてる!

 それに自暴自棄とまではいかないけど、母さんと妹がいない世界に鬱屈してどうでもいいやと思ってることもなんとなくわかられてたようだ。


 でももう少し食い下がってみるか。


 まて、食い下がるってなんだよ、俺。

 俺は俺でできることをしてきただろうが!

 それを今こそアピールだ!


「でな、お前やマモルが勧めてくれたように【異世界ショップ】で荒稼ぎでもしようと思ったんだ」


 何食わぬ顔で会話を続けてみる。


「結局はシロネ任せになったやつな」


 ツッコミが的確。

 勇者ってボケ担当じゃなかったっけ?


「俺には向いてなかった。歴戦の商人(プロ)と交渉は無理だった。だから交渉は無理でも野菜育てるのならいけんじゃね? って思ったわけよ」


 あ、自分で言っててダメなヤツの言い訳に聞こえてきた。どうしよう。オロオロしちゃう。


「ああ、そこからその迷走が始まったわけか。俺達がお前に余計なこと言ったせいだったのか。でも異世界来たら1つくらいテンプレこなしといた方がいいとおもったんだよ。悪かったよ」


 お? 風向きが変わってきたか?


「うん、まあ、野菜づくりもテンプレも俺には向いてなかった。だから闇雲に帰る方法を探すことにしたんだ」


「“闇雲”ってなんだか脳筋をバカにしたようないいぐさだな」


 今日の勇者は厳しいな。

 異世界に揉まれてお調子者が鳴りを潜めたか?

 頑張れ! 勇者の中のお調子者! 戻ってこい!


「でもそれには先立つものが必要だった」


「いわゆるカネか」


「イエス」


「つづけて」


 どこのプロフェッサー気取りですかね。


 でもいいぞ。

 お調子者が調子を取り戻してきたようだな。


「それで、どうせフラフラ移動するなら貿易なんてできんじゃね? と思った」


「すげー安易」


 知ってる。


「ありがとう」


「褒めてねえ」


 うん。それも知ってる。


「そこで俺が参考にしたのはマップ情報誌だ」


 ここ異世界において何よりも信頼と実績と安定のおけるマップ情報誌。大好き。


「お前が異常なまでに信頼を寄せるアレな。確かに役に立つけど、現地着いたときの観光や宿評価の指標くらいだろ」


「戦う術のあるやつにとってはそうかもしれないが、俺みたいな小物にとっては攻略本に等しいんだよ」


 てか、もうあれ異世界攻略本でいいと思う。

 世界地図版には勢力図とかも載ってるし。

 少数民族のいる地域まで載ってる。

 さらにその少数民族とどう接すればいいかとか、どんな交易すれば喜ばれるとか、コラムにはちょっとした民族作法なんかもあったりする。


 マップ情報誌様々である。


 そんな意味も込めてキリッとした顔で言い切った。


「お、おう」


「そして俺は見つけたんだよ。俺にできる、楽してカネを稼ぐ方法が」


「貿易云々言ってたわりに貿易してる風でもない。なるほど。これもシロネに任せたのか」


「そ、それはそれだ。貿易も俺には向いてなかった。でもダンジョンがあった!」


「ここでダンジョンにたどり着くのか。確かにあのアンデッドしか出ないコインダンジョンならお前のスキルにぴったりだな」


「そう、そうなんだよ! だからこれからは、この世界にいる間は俺がみんなのATMになろうと思う」


「……なあ、それ、自分で宣言しといて心に傷つかない?」


 俺の捨て身の宣言にひどく同情してくれたハルト。

 でもホントに大丈夫です。

 むしろカネで解決、というか貢献できるのなら率先しておサイフになろうと思います。


「その辺りはそっとしといてくれ。それにあまり冒険に向かないスキルしかない俺がカネを稼いで皆がカネの心配なく帰還方法探せる方が効率的だろ」


 俺の言葉に少し考えるハルト。


「……ふーん、お前もいろいろ考えてたんだな。でも、カネのこと考えずに行動できれば効率上がるのは確かか」


 ふーんいただきましたー。

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