第八十九話 そっくり…?
いつも読んで下さって、誠にありがとうございます!
前回の振り返り
マロはモモと仲直りするきっかけとなるお花を少し分けてもらうため、ちくわの家の花屋へ向かう。
無事に到着し、ちくわの飼い主・照子から、店に全員は入れないと伝えられ、マロとちくわが代表して行くことになった。
さて、無事に花は見つけられるのか…!?
また、陽湖の体調はどうなっているのか…!?
今回も楽しんで読んで頂けると、幸いです。
ちくわは「入ろーぜー!」とマロに言いながら、一足早く店内へ入って行った。
「お邪魔します!!」
マロも一礼して、ちくわに続いて行った。
「あら、2匹だけ入るのね。みんな、ゆっくりして行ってちょうだいね」
照子はそう言って看板を「OPEN」にひっくり返した。
…
花凛がドアを開けると、カランカラン、と鈴の音が聞こえる。
中に入ってみると、辺り一面に、色んな花が飾られている。
地面はレンガ、壁は薄い緑色で統一されていて、カフェで流れるような音楽も相まって、とても可愛らしい雰囲気だ。
「うわぁ〜、何回みても飽きないね〜、どれもキレイ!」
マロは目を輝かせながら、辺りを見回す。
「だろ?ママとお姉ちゃんがいつも頑張ってお世話してるんだぜ!」
「ふふん」と自慢げに笑うちくわの話も聞かず、マロはある花をじっと見ていた。
「おい、聞いてるのか?…そのお花が気になってんの?」
ちくわはマロの元まで歩いていき、一緒にある花を眺めた。
それは、星のような形をした、淡い青色の花だった。
「これは、確か…うーん、…」
ちくわが花の名前を思い出せず悩んでいると、マロがふと「星型で〜、青色だから〜、スターブルー!とか?!」と冗談交じりで言ってみると、「それだっ!」とちくわが指を指した。
「えっ!?えっ、まさかの大正解!?」
マロが興奮気味に聞くと、「いや、正しくはブルースターだな」と返ってきて、「違った…」少ししょんぼりしている。
「ブルースターはな、“幸福な愛”とか、“信じあう心”って意味があるんだぜ!」
再びドヤ顔で話すちくわに、「へぇ〜!ちくわって物知りだよね!」とマロが褒めるため、照れくさそうに笑った。
「僕、このお花がいいな!1本もらってもいい?」
マロが聞くと、ちくわは「もちろん!」と頷いた。
…
一方で、カルべ達と言うと…。
「これ、うまいな!」
照子たちにもらったおやつを皆で食べていた!
「みんな並んで食べてる〜!可愛い〜!」
花凛はしゃがんで、ニコニコしながらその様子を見守っていた。
「花凛ちゃん、ちくわちゃんたちの分もちゃんとある?」
照子は花に水をやりながら聞く。
「うん、ちょっと多めに残してあるよ」
そう返事をして立ち上がると、花凛は静かに店内を覗いてみた。
すると、目を丸くさせ、「おばあちゃん、お花が…!」と照子の肩を叩いた。
「痛た…五十肩なのよぉ」
そう言いながら肩をさする照子に、「七十過ぎてるでしょ…」とつっこむ花凛。
「って、そうじゃなくて、あの猫ちゃん、お花を一輪咥えてるよ!いいの?」
確かにそこには、ブルースターを一輪加えたマロがいた。
「ああ、いいのよ。あの子の飼い主さんには仲良くしてもらってるしねぇ。」
「ポッ」と顔を赤くしながら言う照子に、「あ、そうなの?」と再び二匹を見つめる。
「きっと、あの子たちにも、何か考えがあるのよ。」
………
「姉さん、出るよー」
杏湖は靴を履きながらそう声をかける。
「はぁい。モモちゃん、ちょっと病院に行ってくるから、いい子にしててね」
陽湖はモモの頭を少し撫でると、杏湖に続いた。
昨日、あれからお粥を食べ、頭を冷やし、しっかり寝て休むと、一応熱は下がったのだ。
「なんだろうね、感染症とかじゃなければいいけど…」
京湖が言うと、「そうね、でも解熱剤無しで熱が下がったし、疲れでも出たのかしら?」と首を傾げた。
「たまには休む事も大切よ。あ、今度カフェでも行きましょ!この通りに新しいお店が出来たらしいの!」
声を弾ませる杏湖に、「あら、いいわね。何のお店?」と陽湖も乗り気だ。
「シフォンケーキとか、マフィンとか。コーヒーも美味しいらしいわ。お友達が教えてくれたのよ」
二人で色々話していると、あっという間に病院に着いた。
この病院は陽湖の家から近いと言うのもあるが、何と言っても対応が良い。
看護婦さん、薬剤師さんも優しく教えてくれるし、先生も詳しく結果を教えてくれ、質問もしやすいし、気さくに話せるような雰囲気で、変な緊張感が無い。
「やっぱり今日も人多いね〜」
杏湖はバックで車を停めながらそう言う。
しかし、この病院は待合室に幅広い種類の雑誌や、テレビも設置されているため、待ち時間が気にならない。
そういう些細な気遣いがされている所も、この病院がたくさんの人から愛されている理由だろう。
陽湖は受付を済ますと、先に座っていた杏湖の隣に腰を下ろした。
テレビでは、食べ歩きの番組がやっていて、皆それを静かに見ている。
…あれから少し経ち、名前が呼ばれた所で陽湖は立ち上がる。
「行ってくるわね」と京湖にアイコンタクトをし、看護婦さんについて行った。
…
ブー、ブー、
事前にマナーモードにしていた携帯が振動する。
杏湖は「いい所だったのに、」と内心思いつつもテレビから目を離し、携帯を見る。
「春子、さん…?」
驚きのあまりつい声が出てしまって、京湖は少し照れながら一度病気を出た。
「…もしもし〜」
前回の電話から少し時間が空いているので緊張気味に電話に出る。
…が、電話越しに「もしもし、杏湖さん?!」も爆音が聞こえてきて、一気に緊張が吹き飛んだ。
「ど、どうしたんですか?」
恐る恐る聞いてみると、春子から「ミケがテレビに出ていた」と聞き、「え!?」と大きな声を出してしまった。
「しまった、」と口を押さえて辺りを見回すが、誰もおらず「ホッ」とする。
「見間違いじゃないんですか?野良猫が映り込んだとか」
杏湖はそう言ってみるが、思い返してみて、確かに昨日からミケと会っていない気がする。
春子の話を詳しく聞いてみても、やはりミケの可能性が考えられる。
「ちょっと姉さんにも話してみます」
だんだん不安になってきて、杏湖は「また後で掛け直しますね」と電話を切った。
再び待合室に戻るが、陽湖はまだ戻って来ていないようだった。
杏湖はふとテレビを見てみるが、ミケの話が気になり、携帯電話に目を落とした。
「確か、無人島の番組だったわよね」と心の中で言いながら、検索をかける。
すると、第一回の放送は昨日あったらしく、既にネットニュースに情報が載っていた。
「…!」
そこには、大きく“番組史上初!猫、カラスの登場!”と書かれていて、その下にはカラス三羽と三毛猫がピッタリとくっついている写真が載っていた。
「うっそ…」
ついそう呟いてしまったが、周りには聞こえていないようだ。
「いやいや。流石に似ているだけ、よね…?」
だんだん怖くなり、急いでスマホをカバンの中に入れる。
その時、ふと隣に誰かが座って来て、顔をあげてみる。
と、診察が終わった陽湖だった。
「あ、姉さん!どうだった?」
小声でそう聞くと、「大丈夫そうよ。寒暖差とか、睡眠不足っぽいわ」と返って来て、「そうなの」と少しだけ「ホッ」とした。
「お昼も私が作るから、ゆっくりしててね」
杏湖が言うと、「悪いわ」と陽湖は眉を下げるが、「いいのよ。たまには頼ってよね。」と微笑むと、同じように「…ありがとう」と微笑んだ。
車に乗り込むと、杏湖は早速ニュースを見せてみた。
「姉さん、これ、ミケちゃんに似てない?」
病院が静かだった分、声がとても大きく感じる。
「ん?どれ?…本当、そっくりね〜」
陽湖は写真をマジマジと見ながら微笑んだ。
「さっき春子さんから電話が来て、教えてもらったのよ」
陽湖から携帯を受け取り、シートベルトをつける。
「その子、ミケちゃんじゃないかって」
そう言おうとしたが、もしそうだったら、と考えると、何故か言葉が詰まった。
「え?春子さんから?あら、知らない番号から着信あったわ」
マナーモードにしていたため気づかなかったのだろう。
「でも、言われてみれば昨日姉さんの家に行ってから、ミケちゃんを一回も見てないのよね。もしかしたら、その子…ミケちゃんかもよ」
駐車場を出ながらそう言うと、「ただのそっくりさんでしょう、帰って探してみましょう」と陽湖が言うので、少し納得できないが、頷いた。
ふと携帯を見ている陽湖から「誰からかかって来てたのかしら、掛け直してみよかしら」と聞かれ、「えー、危なくない?」と首を傾げる。
「セールスとかだったらすぐ切るわ。」
陽湖はそう言って、聞こえやすいようにスピーカーにし、声が聞こえるのを待つ。
プルルルル、プルルルル、と着信音が車の中で響いている。
緊張が漂う中、聞き覚えのない、女性の声が聞こえて来た。
「はい、環境政策課です。」
最後まで読んで頂き、ありがとうございます!
前回のクイズ
ちくわのお姉さんの名前は?
前回の答え
もなか でした!
クイズ
ちくわの飼い主・照子の孫の名前は?
答えは次回の後書きに書いていますので、よければご覧ください。
次回投稿は、完成次第の投稿となりますのでご承知ください。
小説は楽しく読んでいただけましたでしょうか?
今回も最後まで読んで頂き、ありがとうございました!
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次回もよろしくお願い致します!




