配信132回目:ふわふわもこもこ
さて。それではゲームのお時間です。
「て、テイマー姉妹のもふもふ配信、はーじまーるよー……!」
「はじまーるよー!」
うんうん。ばっちりだね! 二人ともかわいい! 特にれんちゃんかわいい!
『いや、あの、ミレイさん? どこに?』
『タイトルコールを人に任せるな』
『頭のおかしいタイトルコールを数少ない友人に言わせる配信者』
いやあ、恥ずかしそうにするアリスも素直にかわいいと思え……、いや待て。
「頭のおかしいタイトルコールってどういう意味だー!」
『ミレイが出てきた!』
『まずいぞ! 頭のおかしい配信者だ! 衛生兵! 衛生兵!』
『無理だ……そいつは手に負えないんだ……!』
『衛生兵が……諦めた、だと!?』
「うるさいよ!」
まるで私そのものが錯乱兵みたいな言い方しないでよ! いい加減に怒るぞ!
まったく、と振り返ると、にこにこれんちゃんの隣には顔を真っ赤にしてるアリスがいた。ちょっとむりやりやらせてしまったとはいえ、そこまで恥ずかしがるのはなんか違くないですか?
「ミレイちゃんに……辱めを受けた……! 責任を取ってもらうから!」
「わかったよアリス。結婚しよう」
「え、私に死ねって言ってる?」
「死ぬ方がましだって言いたいのかなあ!?」
これでもアリスのことは親友だって思ってたんだけど、その扱いはびっくりだよ!
それじゃあ改めて、今日の予定だけど……。
「次のドラゴンでも目指す?」
「それもいいけど……。れんちゃんが落ち着いてから、かな?」
れんちゃんを見る。今日のれんちゃんはもふもふしたい気分らしい。頭にラッキーをのせて、ラッキーの上にはひよこがのってる。
さらにそんなれんちゃんは、羊さんにのっていた。もふもふ羊に沈んでる。もふもふ。
「ミレイちゃん。なにこれ」
「知らんのか、アリス。これはね……。なにこれしらん、こわ……」
「ミレイちゃん!?」
『まさかミレイが理解を放棄した、だと……!?』
『やばいぞ! 天変地異の前触れだ!』
『ゲーム内で天変地異ってそれもうサービス終了では』
「それは困るなあ!」
一応人気のゲームだから、そうそうサービス終了はないと思うんだけどね!
まあ、冗談は置いといて。
「多分、最初はラッキーとひよこが遊んでいたんだと思うんだよね。もちろんれんちゃんの頭の上で。そうしていたら、近くをもこもこ羊が通ったから、れんちゃんが吸い寄せられてああなった、と私は思います」
『なるほど分からん』
『れんちゃんの行動に理屈を求めてはならんのだ!』
『れんちゃんはもふもふと共にあり!』
『れんちゃんと共にする我らはもふもふに従う他ないのだ!』
『こいつら正直怖いよ』
私の配信の視聴者さんはいろいろと訓練されてるからね。でも素直に気持ち悪いからそこはちょっとどうにかしてほしいかもしれない。
れんちゃんの両脇に手を入れて、よいしょと持ち上げる。おお、れんちゃんの顔がとても幸せそうだ。
「んむぅ……。なに、おねえちゃん」
「あはは。今日はもふもふ日かな?」
「かんがえちゅう……」
「そっかそっか。じゃあ、戻すよー」
「あい」
そっと羊にれんちゃんを戻すと、またふんわり沈んでしまった。れんちゃんはとっても気持ち良さそう。いいよね、もふもふ羊。リアルだとそこまでもふもふしてないらしいけど。
「というわけで、アリス。れんちゃんがもふもふに満足するまでは待機で」
「だよね。じゃあ、私も他のもふもふと遊んでみようかな」
「お、いいねそれ」
れんちゃんのホームは今日ももふもふでいっぱいだ。わんこもにゃんこもたくさんだからね。このれんちゃんのお家の周りにもぞくぞくと集まってきてる。れんちゃんがいると集まってくる子たちだからね!
「ところでですが。どうしてシロは私の側にいてくれないのかな?」
私のテイムモンスター、シロ。私のかわいいテイムモンスまでれんちゃんに夢中だ。納得はするけどね! れんちゃんの方がかわいいからね! 仕方ないね!
シロは大人しくしてる羊さんのもふもふに顔を突っ込んでるれんちゃんをつんつんしてる。もぞりとれんちゃんの手がシロを撫で始めた。なんだこれ。
「ミレイちゃんのクロもかわいいよね」
「はっ!? クロまで奪われてる……!?」
気付けばキツネのクロはアリスに捕獲されてしまっていた。しかもクロはアリスに懐いてしまってる。私のテイムモンスはどうしてみんな他に行ってしまうの?
「そのあたりどう思う?」
『お前に魅力がないだけだぞ』
『テイムモンスたちもね、頭のおかしい主人よりかわいい幼女とかかわいい女の子とかの方がいいんだよ』
「わ、私だって悪くはないと思ってるんだけど!?」
『そうだな』
『ガワだけ美少女』
『中身は残念』
「残念言うな!」
まったく、と憤慨していたら、クロが足下に戻ってきた。くすくすとアリスが笑ってる。むう……。なんか、ちょっとバカにされた気分だけど……。戻ってきてくれたからいっか。
クロを抱き上げると、ぺろぺろと私の頬をなめてきた。クロもかわいいよね!
「ところでミレイちゃん」
「なにかなアリス」
「いつまでもふもふするんだろうね?」
「わかんない」
「だよねえ」
『全てはれんちゃんの求めるままに』
『れんちゃんの気が済むまでだからな!』
れんちゃんもドラゴンは気になってるみたいだから、そのうち出発するだろうけどね。
私たちは羊に埋もれたままのれんちゃんを見て、お互いに苦笑いした。
壁|w・)サブタイトルが思い浮かばなかったのは内緒だ!






