配信132回目:いざ東の山へ!
たっぷり三十分ももふもふして……。ようやくれんちゃんも満足したらしい。羊さんからすっぽりと顔を出して、私に言ってきた。
「おねえちゃん!」
「はいはいお姉ちゃんですよ。満足した?」
「した!」
はい。満足のお答えがきました。それなら、そろそろ出発しないとね。
「分かった。じゃあ、次のドラゴンさんに会いに行こう!」
「ドラゴンさん!」
『ようやくか』
『俺らとしてはもふもふをもふもふするれんちゃんを眺めているだけで十分だけどな!』
『とても幸せな時間でした』
視聴者さんはぶっちゃけそっちの方がいいまであるかもしれない。私もどっちでもいいんだけど。もふもふをもふもふする妹が最高にかわいいので! 最高に! かわいいので!
「うえへへへ……」
「…………」
『気付いてミレイ、れんちゃんの視線が冷たくなってることに』
『またかこの姉、とか思ってそうw』
『れんちゃんに嫌われるぞー』
それは困る! こほんと咳払いすると、れんちゃんがちょっとだけ笑ってくれた。やっぱり私の妹はとてもかわいい!
「それでは改めまして。デザートドラゴンに会いに行く配信です。といっても、すぐに会えるわけじゃないけどね」
「そうなの?」
「そうなの」
グラスドラゴンは最初から会えるドラゴンだけど、他の二体、デザートドラゴンとフェアリードラゴンはいろいろ条件があるらしい。ただ、デザートドラゴンはすでに遭遇した人が何人もいるんだって。
「ルルも?」
「今日ルルがいない理由だね。デザートドラゴンと会ってると思う」
「一人だけ抜け駆けってひどくない?」
「ルルの場合は戦ってると思うけど、巻き込まれたいの?」
「…………。なんでもない」
普段の言動から忘れられがちだけど、ルルはこのゲーム内でもトップレベルのプレイヤーだ。本気で戦い始めたら、きっと周りを気にする余裕はないと思う。デザートドラゴンがそもそもかなり大型のドラゴンらしいからね。
「れんちゃんにはかわいいドラゴンさんと会ってほしいからね!」
「んぅ?」
「なでなで」
「んー……」
首を傾げるれんちゃんの喉元をこちょこちょする。すり寄ってきてとてもかわいい。んふふ……。
『れんちゃん猫っぽい』
『猫れんちゃん』
『それよりもかわいいドラゴンについてくわしく』
いや、かっこいいだけど、れんちゃんにとってはきっとかわいいでもあるだろうから。
ともかく。まずは出発。お馬さんに乗って、向かう先は東の山だ。そこにデザートドラゴンがいるらしい。簡単には会えないってことは、いるのは頂上かな?
ともかく。まずはお馬さんだ!
「というわけで、今日もお馬さんではしゃぐれんちゃんをどうぞ」
おかしいなあ。ここのお馬さんには前も乗ってるはずなのに、どうしてこうれんちゃんは興奮してるのかな?
「おうまさーん!」
お馬さんにぺたぺた触るれんちゃん。お馬さんはされるがまま。迷惑そうにせずに、むしろれんちゃんに顔を寄せてる。かわいい。
「さて、ミレイちゃん。東に向かうわけですが」
「あ、うん」
「多分そこで、私たちは足止めされることになるでしょう」
「え」
足止めって、なに? もしかして、新種の魔物とか!? 襲われるってやつ!?
「むしろれんちゃんが魔物を襲うんじゃないかな」
「あー……」
それはつまりあれか、すごくかわいいのがいるってことか。
『かわいいのがいるの?』
『かわいいのがいるぞ』
『西のフェレット、東のキウイ、みたいな』
『キウイ!?』
「キウイ!?」
キウイって、果物……の方じゃないか。わざわざこの言い方をしてるぐらいだし。
でもキウイって、なんだっけ?
「キウイとは?」
「知らない? 小さい鳥で、ゲームではわりともふもふ。とてもかわいい」
「ほほう」
それは……なるほど確かに、東の山を調べるどころじゃなくなりそう。きっとキウイとやらに夢中になるだろうね。
「れんちゃんやーい」
「はーい」
れんちゃんが馬と一緒に歩いてきた。さらっと乗りこなしてる……。システムで決まった順路を走るだけのはずなのに。いいけども。
「東の山にはかわいい鳥さんがいるらしいよ!」
とりあえず情報共有しておかないとね。
私の言葉を聞いたれんちゃんは、当然のように目を輝かせた。
「鳥さん!」
そして……。お馬さんがれんちゃんの気持ちに呼応したのか、東に向かって走り始めた。いやあ、あっという間の移動で……。
「いやいや言ってる場合か私! 追うよアリス!」
「あはは……。運営さん、これ裏で何かやってない?」
「私もそんな気がするけど、後回しだよ後回し!」
れんちゃんを見失わないようにしないとね! でも、一度お話はしないといけないかも。ちょっとだけそう思いました。
壁|w・)デザートドラゴンは犠牲になったのだ……。
キウイ(キーウィ)の犠牲ににな……。






