夢とホラー。①
俺は朝早くから勉強机に向かって夏休みの課題に取り組んでいた。理由は特にない、なんとなくやる気になったんだ。普段なら絶対ないんだが、強いて言うなら今日までの夏休みの濃度が高いからかもしれない。
「ユースケおはよー…」
とそこにパジャマ姿のレイラが来た…が、何か様子がおかしい。
「…なんか眠そうというか、元気なさそうだな?」
「ちょっと嫌な夢見たから…」
そうだったのか。いつも元気ハツラツなレイラがここまでなる夢って一体…?
「イヤホンつけて音楽聞いてたら突然片方だけ聞こえなくなって、そのままの状態でずっと曲を聞かされたわ」
「嫌なのは分かるけどそこまでなるか」
なんだそのプチ拷問。
「まあ夢でよかったな」
「いや本当にそうね」
どうやら心配する必要はないらしい。
「ユースケはどんな夢見た?」
「え、俺?今日は特に見てないな」
「夢のないつまらない人なのね」
「うっさいわ!つまらない自覚はあるけど!」
「夢のない人と書いて儚いって」
「言わねぇよ!人の夢と書いてだ!」
儚い人て。いや訂正しても結局は残念な感じだけど。
「そうだ、今日は何かイベントあるのか?」
話題を変えてみる。イベントがあれば元通りに―――
「今日は怪談をやるつもりだったわよ!夏の定番だと思って、昨日色々考えたのにっ!」
「つもり?いいじゃん、やりたい!やろうぜ怪談!」
「ダメダメ中止っ!怖すぎたのっ!」
えー。というか、このお嬢様にそんな弱点があるとは。いや怖くなきゃ怪談じゃないだろ。
「だって自分で考えたのが夢に出るなんて思わなかったんだもんっ!」
「その一つがイヤホンのヤツかよ!!!」
…まあ、夢の中だと実際と違って強調されるから仕方ないのか。
「一番不思議なのは私イヤホン持ってないってことなんだけど」
「それは怖いな!!」
「私イヤホンとは前世でなにかあったのかしら…」
さあ、どうだか。真相は隠されたままだろうな。まあ大したことじゃないのは確かだ。
「だから怪談は中止なの!」
「そっか、分かった。じゃあ変わりに肝試しだな」
「ホラー系じゃんっ!!アタシ怪談すらダメなのよっ!?」
「俺がやりたいんだ。今夜決行だからな!」
「結構よっ!!!」




