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第6話 1日目




 アオイは、素早いけど動きが読めないわけじゃない。直線的だし、単純。

 フェイントをこっちが織り交ぜると目線が泳ぎ行動が伴わなくなるし。

 自分自身の魔力を扱いきれていない感じがする。でもそれでも、動物的な動きは種族の違いを実感出来るし、間違いなく強い。


「何でアオイの動きに着いてこれるニャ」

「うーん、感かな?どうしても分かっちゃうね」


 逃げる様に、飛んで退いた先を追いかける様に追撃してくるアオイ。鋭い横一文の一閃を剣で受け流して、態勢を崩させる。後は簡単で--


 「って、またニャー!」

 「獲物を捉えた猫にみたいで、わかり易いね」


 猫と一緒にするニャー!っと言って向かってくるが、単純な動作は本当にわかり易い。首元に木剣を突きつけて試合終了。

 その後、何度かお互いの反省を言い合いながら軽く木剣を打ち合わせて、終わりを切り出す。


 「はい、お終い。10分ラウンド終了。またやろうね」

 「えー、まだニャ」


 身振り手振りで、駄々をこねるが約束は、約束だ。


 「今日の炊事は、アオイだね。宜しく」

 「ニャ~」


 肩を落としたフリをしているアオイ。

 今日1日寮の掃除をしていたが、勝負したのは4回。当初、皆で役割を決めたけど、僕に負け続けたアオイは、僕の4倍色々やっている。

 勝負しだしたら一向に掃除が進まないから、時間制限を取り入れる事にした。


「セオリさんの助言のお陰で助かったよ。有難う」

「いやいやぁ、アオイはいつもあんなんだからねぇ。皆大体あんな感じでねぇ、流してるよ」

「成程、これから長い付き合いになりそうだし、これから、色々助言を取り入れてみるよ」


 これから......。

 この寮には、今は全部で5人。

 僕と、試験官だったクレスさん、猫のアオイ、助言のセオリさん、ミステリアスなカヅキさんの5名。


 ダンジョン攻略のチームは、最大で6人。

 でも学校では、全部で5名。生徒5名と講師1名の計6名で1チームを組む事になっている。

 僕達の講師を務めるクレスさんは、今は寮の、チームの一員だけど、チーム対抗戦などには参加しない。

 これから1年は、勉強して、訓練して、強くなり。ダンジョン攻略をして、ほかのチームと競ったりするらしい。

 最後、卒業をかけて、チーム関係なく個人戦するから、別に問題はないんだけど...。

 個人戦で、もし負けたら、また数ヶ月後にテスト...。

 下手すると何年も卒業できなくなる。

 そんなのは、絶対に嫌だ。

 早く強くなって、戻らないといけないし。

 時間がない。


「あと、1人って誰なのかなぁ?セオリさん知ってる?」

「...私も聞いてないねぇ。クレスさんに聞いても名前は知ってるけどぉ、どんな子か知らないっていってたなぁ。私達もこの前こっち来たばっかりだしねぇ」

「そうなんだ」


 やっぱり皆知らないか...。あと1人が、重要なんだよな。これからの短い寮生活。最終試験までに仕上げないといけない。


 アオイの戦闘スタイルは、超近接戦闘。

 カヅキさん、セオリさんは中衛もこなせるが前衛型らしい。

 僕もそう。...頼むから、後衛。それか後方支援。


 懇願と妄想をしながら、少し開けた中庭で訓練をしていた僕と掃除を終えて見学していたセオリさんと食堂に移動する。

 ログハウス風の建物は、少し年季が入ってるが、本当にいい味を出している。

 間取りは、大き目のリビング、ダイニング、広くて調理し易そうなキッチン、綺麗な個室6の二階建てで、大きめ目のお風呂、地下室完備。

 想像していた寮の造りとはまったく違うかったけどなかなか満足いっている。

 特にお風呂が木で出来ているのがいい。香り豊かで、リラックス出来そうで今日から入るのが楽しみだ。


 僕の部屋は二階の角部屋で陽あたり良好。アオイとの決戦の末、手に入れた良物件。

 でもアオイは僕の横。...ただ勝負がしたかった感は否めないけど、アオイはアオイで満足しているので問題ない。


 皆で掃除して今は夕方。

 もうそろそろあと一人が来てもいいはずなんだけどな...。

 クレスさんは学校に1度戻るって言って戻ったけど、在校生の方だし顔合わせしてないと何となく気まづいな。

 明日から一緒に訓練するのに、早く打ち解けていたい。


 リビングに入るとカヅキさんとクレスさんが談笑していた。


「クレスさん戻ってたんですね」

「ただいまです。少し明日からの打ち合わせをしてきました。ウチのチームは明日からビシバシ行きますからね。楽しみにしていて下さい」


 少し悪戯っぽく笑う笑顔が、明日からの訓練とイマイチ繋がらないけど、厳しめでもまったく問題ない。早く強くなりたいしね。

 多分チームワークなどの訓練だろう。

 それより...。


 「クレスさん?後1人の方っていつ来られんですか?」


 えっ!?っと驚いた表情を見せるクレスさん。

 カヅキさんも会ったのかな?少し表情に変化がある。


 「さっき挨拶に来てたけどね?なんか私達が来た時から居たみたいよ?」


 えっ...。

 1つ空きの部屋には、まだ荷物らしき物はなかった筈だったけど...。


 「皆、出来たニャ!!」


 アオイの大きな声で思考が途切れる。


 まぁこれからご飯だし、話す機会はあるかな?

 とりあえず、これからの1年が楽しみだ。

読んで頂いて有難うございます。


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