第4話 僕の合格発表
朝少し早く目覚めてしまった。
昨日は、お風呂をあがったら直ぐに寝てしまった。
洗った衣服は、まだ少し濡れている。
昨日テーブルに置いてあった置き手紙を再度確認する。
【第二試験、合格おめでとうございます。
第三試験は、明日の9時から開始致します。
荷物は、部屋に置いたままで結構ですので、戦闘準備だけ整え、ギルド職訓練校正門前まで越し下さい。
第三試験は、魔力テストです。
万全な状態で、お越し頂けます様、お願い申し上げます】
まさかの第二試験クリア...まぁ何となくそう思っていたけどね。
昨日見付けていたけど、お風呂の興奮と喜びが優先しちゃいました。
子供の時は、殆ど毎日入っていたけど、師匠とし修行している5年間は、数えるぐらいしか入れていなかった。
ゆっくりコトコト体の疲れと言うアクが、お湯に溶けていました...。
ああぁ、本当に気持ち良かったな...。
朝風呂したいけど、時間より早く向かいたい...。
これから入れる事を、住める事を祈って、寮の部屋を後にした。
昨日は、夜であまり見えなくて、分からなかったけど、山は手付かずの自然が多く、山菜や薬草等も生えている。
モンスターではない野生の動物もチラホラ見えた。
凄い場所にある寮だけど、一年通うだけで間違いなく鍛えられそうだ。
少し早いけど、何が起こるか分からないから早く寮を、出た。
持ち物は、愛剣のみ。
防具は、最低限の急所を防ぐ革の胴当てのみで、かなりの軽装だ。
...これから魔力の試験。
試験内容によっては、間違いなく落ちる項目だ。
僕は、魔力が絶対的に少ない。
少ない魔力で生きて行くために、5年間を我武者羅に修行して力を付けた。
師匠に教えて貰った【仙術】で弱いながらもモンスターと戦える様になれた。
太く短くをもっとうに生きて行く為に。
世界を楽しむ第1歩は、なる様になるだけだし...楽しまないと意味がないしね。
悔いが残らない生き方がしたいから、無駄な物を持たず1番のパフォーマンスを出せる格好で挑みたかった。
それがこれ--
師匠に貰った愛剣さえあれば問題ない。
問題があっても仕方がない。
正門には、昨日とは打って変わって、かなり数が減っていた。
予定の時刻まであと30分ぐらいだろうか...。
今此処にいるのは、20人を切っていた。
...もう少し居てると思ったけど、全然残っていないな...。
少し遠くの場所にカヅキさんと他の面々がいる。
昨日仲良かったメンバーは全員残っているみたいだ。
やっぱり只者じゃなかったな...。
黒髪のヤツも...。
それから15分程経過すると--
「皆、おめでとう。
第二試験は、非公開でさせて貰った。
低ランクのFクラス以下のモンスター3匹を操り襲わせた。
攻略者としての、最低限の能力を見させて貰った。
夜の森は知識がないと迷ってしまう。歩いている方角さえままならない。
視界の悪い場所でのモンスターからの奇襲。
危機管理能力がなければ、幾らFランクでも致命傷は、ま逃れない。
...色んな知識や経験が必要で不可欠だ。
今回は、武器などを預かっていたので、適応力、順応性も見るに値した。
第一試験と第二試験である程度の魔力も同時に見させて貰った。
ここに居る皆は、合格だ。
ギルド職訓練校の入校を認める。」
「えっ!?」
皆...驚愕の表情。
正直納得出来てしまうな...。
凄いハードルの高い試験だったのは、間違いないよね。
弱ってた人達は、モンスターに間違いなく襲われて怪我してるだろうし、総合的に考えたら間違いないだろうな。
「合格は確実だが、特別扱いはしない。
今までの受験生が不公平だからな。
これから魔力テストは、お前達の[クラス]を測る為にやらせてもらう。
これからの訓練校で学ぶクラス分けだな。
受け持つ講師がクラスによって違う。
1年後に受かるかは、そのクラス出来次第といっても過言では、ない。
...ま、本人次第だかな。
今から各受験生は、試験官の誘導にしたがってくれ」
☆☆☆☆☆
「コレをですか?」
「はい、コレをです」
綺麗に整地された訓練場らしき場所。
地面は固く、足場は万全だ。
...足場は...。
うん、足場は...ね。
銀髪金眼の獣人の、またまた目が覚める様な美人の試験官の女性に案内されて、説明された内容は...。
見た目は鉄?
1本の大きな円柱の柱がある。黒光りする光沢は見た目には、金属に見えるが、材質は石らしい。
試験官のクレスさん曰く、この石柱に魔力を使って、全力で攻撃してほしいらしい。
それが最後の試験らしいが...。
「コレを...ですよね?」
「はい、コレです...」
ヤバイ...。石の存在感が半端ない。
かなりの魔力を石柱自体が纏ってると思う。
こんなの攻撃して大丈夫か...。
こんなの愛剣で斬りたくない...。
何か折れそう。......折れないかもですけど、何かなりそう。
魔力を纏っているから、大丈夫では、ないと思うんですけど...。
でも、もし切り倒す事が出来ても、魔力を判定がどうかわからないもんな...。
またシビアな試験を......まともにして下さい。
制限時間は、1分。
1分以内に、石柱に攻撃する。攻撃回数は、制限時間内だったら何度でもOK。下調べは、見るのは大丈夫だけど、触るのはNGと...。
ただ攻撃するだけでは、ダメだろうな。
割る勢いで攻めるしか...。
「では、は--
ドオオォンッ!!!!
えっ?
音との発生源をみてみる。
砂埃の中には......。
黒髪
またアイツか...。
「あぁぁ...ユキさんやり過ぎです...」
...え、試験官の人、アイツ知ってるのか?
...あの人、ユキって言うのか...。
確かにやり過ぎだ。
うん、馬鹿げてる...。
思わず笑いが込み上げてくる。
何なんだアイツ...。
砂埃が、辺りに舞っている。
何をどうしたのか、分からないけど、凄い一撃を繰り出したんだろな。
...石柱が、跡形もない...。
周りには、石の破片が、細かく散ってる。
担当の試験官の人は、少し怯えてるな...。
ここから見てもプルプルしてます。
可哀想だから、止めてあげて...。
「ふぅ...」
あー、でもなんか吹っ切れたわ。
これで...。
これで、僕も負けてられないよな...。
「よし!すいません、クレスさん。始めちゃってもいいですか?」
「えっ?あ、はい。すみません!失礼致しました。
それでは、最終試験を始めます」
「宜しくお願い致します」
今から1分...。
多分アイツは、一撃で決めたんだろうな--
石柱に触り、魔力の流れてや性質を調べる。
無機質な質感。
かなり硬いな...砕く為には...かなり力がいるよな...。
--やっぱり普通じゃなさそうだ。
石には、衝撃や魔力の流れを吸収して地面に逃がす様に出来てるみたいだ。
これは、あんなに爆砕するものじゃない。
どんな魔法ぶち込んだんだ。
マジでユキってやつは、只者じゃないな...。
僕には、そんは能力がない。
実際に魔力を大量に蓄える事も出来ないし、使う事も出来ない。
正直、本当に僕は欠陥だらけだ。
昔は、色々悩んで挫折したけど...。
--けど、僕には僕しか出来ない事がある。
僕しか出来る事がある。
それが、わかった。
石柱に何度も触り、魔力を流し、流れを濁す。
少しだけでいい。大量じゃなくていい。
一滴、一滴をゆっくり落とす様に...。
石柱の地面へと逃げる魔力は、ゆっくりだから水面の波紋の様に広がり、他の波紋と重なる--。
何とかなりそうだ。
「クレスさん、少し離れて下さいね」
「あ、はい、レッドさん大丈夫ですか?」
「はい、木っ端微塵にぶっ壊します!」
「えっ!!?」
腰に差した、愛剣をゆっくりと抜く。
師匠に貰った剣...。
...コイツに切れないモノなんてない。
静かに集中する。
波紋は、まだ残ってる。
大丈夫、焦らないでも......大丈夫だ。
息を、静かに整える。
全身の少ない魔力を、引金にして剣先に一点。
魔力を最大限に込める。
大気中の魔力も吸収する様に、息を吸う様に...。
その一点に。
一点に...。
......。
バアァァァンッ!!
鼓膜が、破れるぐらいの破裂音。
確かな手応え。
周りは、煙だらけで少し煙たい...。
内部から木っ端微塵に粉砕している。
手応え通りに、跡形もない。
愛剣も勿論無事だ。
「クレスさん、いいっすか?」
「あ......はい。大丈夫だと思います。
待合室までご案内します。どうぞ...」
「お願い致します」
アイツに出来て、僕に出来ないなんて、思いたくない。
話した事ないけど、何となく。
負けたくない。
遅くなりました。申し訳ございません。
ご愛読頂き有難うございます。




