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初クエストで⑤⑥

 クエストというのは、最低ランクF級から最高ランクSS級まであり、主に狩猟、捕獲、採取の三種類に分かれている。F~D級クエストは初心者が、C級からB級が中級者、A級からS級クエストが上級者。そして、SS級クエストはプレイヤーランキング上位者が主にするクエストだ。当たり前だが、級が上がっていくほどモンスターも武器のレアドロップ率も上がっていく。ちなみに俺がタコチーを狩っていたフィールドは、主にF級クエストが行われるところである。

 そして、このゲームの珍しいところの一つに『クエストに巻き込まれる』というのがある。例えば、シュリーが谷底で狩っていたモンスター。【メガウルフ】は、S級クエストで行われるボスである。シュリーはあと1割までHPを削っていたが、俺が落ちて【メガウルフ】に直撃。それが攻撃判定となってしまい、【メガウルフ】を倒してしまったのだ。まぁこれを『横取り』というのだが、俺はわざとじゃない……。そう、クエストを受注しても別のフィールドに行って戦うということがない。そのクエストがボス戦であってもだ。だから、そのフィールドで狩っているとクエストによって突然ボスが出現する。パーティを組まなくても受注したプレイヤーが「手伝ってください」というなら手伝っても良い。しかし、最後の一撃だけを狙っているプレイヤーもいる。みんなが苦労してHPを削ったのに自分だけ楽をする。こんなことが許されるだろうか。こういうやつを『横取りプレイヤー』略して、『横イヤー』と呼ぶ。

 ネーミングセンスはさて置き、忘れてはいけない。クエストにはもう一つの種類がある。それは『時間限定クエスト』だ。B級以上のクエストで、ある一定の時間に発生することがあり、その難易度は不明。一つ言えることは、レアドロップ率がSS級クエストの1.5倍なのだ。『時間限定クエスト』をプレイしたプレイヤーはかなりの幸運者と言っても過言ではない。

 ※例え以外すべてウィキペディウス参照である。


 とまあ、クエストについて説明(?)したが、俺は初心者だからF級クエストに行くだろう、と思っていた……。


「おはよう」

「おう……眠い……めんどい」


 めんとむかって言わなくても……。朝10時に俺とケイトはギルドホーム前で待ち合わせしていた。ケイトは眠そうにあくびをしていた。


「じゃあ、さっさと終わせようぜ。えっと、F級のどのクエストがいいかな?」

「はぁ?F級なんて雑魚いとこ行くわけねーよ」

「え!?え、でも俺初心者だし」

「お前なー、俺が楽しくねぇだろうが!」


 自分優先かよ!


「は、はぁ……じゃあ、どこ行くの?」

「んと、A級の採取クエストの【キノコ狩り】だな。名前の通り一番楽なクエストだから安心しろ」

「いきなりA級!?てか、モンスター強すぎだよ!」

「お前はキノコだけ採ってればいいから」

「分かりました……」


 こうして、俺の初クエストはA級クエストとなった。大丈夫かな。


 A級クエストをクエスト受注所で受けた後、さっそくテレポートでその場所に向かった。ちなみにケイトとのパーティは組んである。俺とケイトは【溶岩山】向かった……はずだった……。


 周りが、白一色で覆われている。ここが【溶岩山】なのか?溶岩って言ったら、赤じゃないのか?てか、背景というものがない……。


「あれ?ここどこだ?」


 そう言ったのはケイトだった。あきらかに困惑している様子だ。


「どうした?」

「いや、ここ【溶岩山】じゃない。テレポート先間違えたか?」

「いや、合ってたと思うけど……」

「てか、この場所【不明】ってなってるし。なんだこれバグか?」

「本当だ……」


 すると、突然アナウンスが響き渡った。


『おめでとうございます~!時間限定クエストが始まるよ~』


 俺とケイトは唖然としていた。あのウィキペディウスに載っていたやつだ!


『30秒後に開始いたしますので、ご準備の方をよろしくお願いします』


 ケイトはまだ喋らなかった。というより喋れない様子だ。


「お、おいケイト?大丈夫か?」


 おれが声をかけるとケイトはやっとのこと我に返った。


「あ、ああ。作戦変更だ。出てくるモンスターを片っ端から倒せ!」

「わ、分かった!」


 ケイトの顔は眠そうだった顔から、真剣な顔に変化していた。


『それでは、幸運を祈ります』




 ハンパない……。何がって?そりゃぁ……モンスターの量がだよ!!!


「多すぎだろおおおおお」

「はっはっは、そりゃそうさ。なんせ【狩猟】クエストだからな」

「え?どいうこと?」

「時間限定クエストでも【討伐】【捕獲】【採取】の三つに別れる。その中で最もきついのが、【狩猟】だそうだ。理由は一つ【狩猟】は敵の数が遥かに多く、しかも強い。ってゲンさんが言ってた」

「それ、やばくないすか……」

「あーかなりピンチだ。しかも【ビックゴブリン】。攻撃力が高めだから初心者のお前だったら一発当たっただけで一瞬で死ぬからな」


 ちょっと……俺の初クエスト成功で収めたかった……。


「諦めたような顔してんじゃねぇよ馬鹿。楽しもうぜ」

「いや、この最悪の状況で楽しめるか!!!って楽しんでる……」


 ケイトは「ハハハハハハハ!!!」と笑い声を上げながら敵をぶった切っている。

 ケイトの装備している武器は、【太刀】という武器だ。ソード系統の部類に入り、ソード系統で一番リーチが長い。見た目の格好良さから人気がある。この武器の特徴は、斬っては突くというコンビネーションが主流だ。大剣の一撃には劣るものの、突く攻撃をすることによって追加ダメージを与えることができる。突く攻撃は貫通能力もあるので、敵が大量にいるところではかなり有効だと言える。そう今がその時だった。

 ところで、俺はというとめちゃめちゃ苦戦していた。というかまともな攻撃ができねぇえええ。ラッキーガン……まともな弾が出ませんです……。何回花束出たことか。


「おい!魚!何遊んでんだ!今は遊んでる場合じゃねぇんだよ!!」

「い、いや遊んでるわけじゃねぇんだよ!!」


 敵がわんさか出る出る出る出る……。くっそ……折角の運MAXってなんの意味もねぇじゃん!

敵の攻撃を避け続けてる俺はある意味幸運なんだろうが、攻撃が当たらなくては意味がない……。


「くっそおおおおおお何か出ろおおおおおお」


 また花……ん?銃口部分が青白く……そしてその青白いエフェクトがどんどんと膨れ上がってくる。


「ちょ、何これ……」

「だからお前も……ん?」

「うわ……うわああああああああああ」


 青白く膨れ上がっていたエフェクトが爆発するかの衝撃を受け、俺は真後ろに吹っ飛ばされた。俺は壁に思い切り衝突し、HPの半分が削られてしまった。しかし、今の攻撃は2chでも言っていた破壊光線そのものだった。俺の構えていた目の前が青い光で覆われ、そしてそれに巻き込まれたモンスター達は灰と化していた。その丁度真横にはギリギリ破壊光線に巻き込まれていないケイト鬼の形相をして俺を睨みつけていた。


「おい、てめえ狙ったろ!」

「いや、狙ってないよ」

「危なかっただろうが!」


 俺の目の前に丁度【ビックゴブリン】が集まっていたらしく、残りの【ビックゴブリン】は3体ほどになっていた。「ウゥ~」という唸り声を上げてこっちに近づいていた。それに気づいていない俺たち口論を続けていた……。


「てか、お前あんな攻撃出せるならさっさと出せよ!おせぇんだよ!」

「しょうがないじゃないか!花束しか出なかったんだから!」

「そんな糞みたいな武器使ってるからだよ!」

「これは師匠がくれたものだぞ!馬鹿にするな!それに、結果的には俺の方が沢山倒したぞ!」

「まぐれ攻撃で自慢してんじゃねぇよ!」


 俺たちは後悔した。まさか……喧嘩に熱中せいで……


「「「ウッガアアアアアア」」」


 三体の【ビックゴブリン】が俺たち二人に向かって巨大棍棒を振り下ろすのに気づいたのは、三体の一斉攻撃が放たれた後だったのは、言うまでもない……

 

最後まで読んでいただきありがとうございます!

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