勇者vs……。これが本当の最終ROUND!!
「魔王様!!ルール違は……」
「……それもそうですね。……では、最終戦・勇者様VS神官殿!!準備は良いですかな?」
「Σなっ!!!」
悪徳大臣の遠吠えをガン無視し、レフェリーが試合開始を宣言する。
それと同時に、魔王が指先を一つ鳴らすと
………
「Σハッ!!!……え?……あれ?……んん?」
勇者を纏っていた『ナニか』が瞬時に消えた気がした。
「両者前へ!!!」
「参ります……(棒読み)」
「……え?」
試合開始!!!!
「拘束魔法!!レベル99!!!」
「Σヒッ……!!!!!」
勇者が青ざめる暇も無い程の早業で、
神官の振りかざした杖の先から『光の鎖』が現れ、
対峙する勇者の体を縛り上げる!!!
「Σウワァァッッ!!!…………ん?……」
「痛みは無いハズです……」
「……は?」
神官の魔法……
それは魔王の放つソレとは真逆の聖なる力。
「目映い光の鎖は、自由を奪う以外の邪なる力を持ち得ません。……しかし、ソレを解くには「対等以上の魔力」以外ございませ……Σぁ……」
説明の最後の文字を語る前に、なぜか呆気なく転がった勇者の近くまで神官が近づいたかと思うと
虚ろな瞳でそっとソレに耳打ちをする。
「『………』」
「……私の負けです……」
シン……とした武道会場に、少し震えた勇者の声が落ちる。
「…しっ…神官殿の勝利!!!……依って、姫様との婚姻は、神官殿!!!!」
わぁぉぁぁぁ!!!!!!!
レフェリーの声が静まり返った会場に響くと……
少しの間を置いて、会場が割れんばかりの歓声に包まれt………
「……Σはっ!!!ちょ……待って!!私の意思はぁ~!?」
『……今更だねw……さて、僕らは帰って良いの?』
「待ってください~(><)」
姫様と魔王の言い争い!の元に、
憑き物が落ちたかの様に真っ青な神官が走り寄るではないか!!!
『あー、おめでとう☆神官殿?立派な王様になって、さっさと世継ぎを作ってこの世界をずっと平和に……』
「ムリですよ~(><)自分より相当強い姫様なんて!!!私の平和は無視ですかぁぁ?!世継ぎどころか、今ですら平和が保てる訳がない!!!」
「Σなっ……!!私だってお断りよ!!!こんな軟弱者となんてっ!!」
『……はぁぁぁ……煩い……』
大きなタメ息を落とした魔王が、妖精族の姫様をチラリと横目で見る。
『…勝者・神官殿、新たな王になる貴方に我が妖精族から贈り物がございます。……我が前へ……』
ギャイギャイと言い争う二人に、凛とした静かな声が響く。
それは圧力……とは少し違うが、ピタリと争いが止まる程の、威厳が込められていた。