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第十話 王城への道

 王都を囲う最後の壁を越えた俺たちは、街道の中心を静かに歩いていた。

 この土地は位の高い貴族の家か王国全土に店舗を持つとかそれほどに大きい商家の家しかない。


 ここまで来ると家は快適性よりも、見栄えを重視された設計になっている。

 登り始めている朝日は残念ながら壁に遮られて見えないが、もしも朝日に照らされていたらここは歩くのが苦痛になるほどのキラキラとしているだろう。


 視界がチカチカしてたまったもんじゃない。

 というか、貴族と言う存在にあまり良い印象がないせいで、歩いているだけでも不快感すら覚える。それほどまでの貴族への潜在意識がこべりついているのだろう。


 自分で自覚していながら、どうしても変えられないのだ。

 一種の誇りとも言える。


[ねえ、そろそろ王城が近づいてきたわよ。どうやって私を連れて行くの?]


 コイツ付いてくる気あったのか。

 てっきりもうどうでも良くなっているのかと。


「そうだな……。まあ、妥当に俺の服のポケットにでも入っておけば良いんじゃないか」


 そこら辺をふわふわと浮いているわけにいかないしな。

 ポケットなら誰にも見えないし、分からない。持ち物検査もあるが簡単に体を触るだけだ。


 別にばれはしないだろう。

 というか、コイツは危険物ではない。


 ばれたところで、という話なのだ。


[これがまさしくポケットモンス───ッ!!]


 俺はふわふわと無警戒に近づいてきたゼンをわしづかみにし、ポケットに突っ込む。

 何でか分からないが、言わせてはいけない気がした。無謀な挑戦を今ここで諦めさせるうべきだと本能で感じ取った。


[んん!!!ふごふご!!!]


 無理矢理押し込まれたゼンは、俺のポケットの中でバタバタと暴れる。

 ふごふごとは言っているが、コイツ別に口でしゃべっているわけではないので実際しゃべれるのだが…………。


 この状況を楽しんでいるようだ。

 そういえば、俺たちが拉致監禁されたときも特に抵抗していなかった。もしかしたら、わくわくしながら捕まってたのではないのだろう。


 だから脱出までが順調だった?

 いや、こんなこと考えても分からないな。やめよう。


 街道の真ん中を進む俺たちは王城の門が視界に入ってきた。

 街とは違って門の装飾は少ないが、重厚な鎧を着た兵士が何十人と立っており何かあったのではと言う気持ちにさせる。


 前文でなんとなく察する人もいると思うが、この大勢兵士がいることはいつも通りである。

 何か深い意味があるわけではないと思うが、王城と言う事で見栄でも張りたいのだろう。


 貴族(国も当てはまると思う)は他人に見栄を張って、威張ってこその存在だ。

 平民にいい顔をする貴族は平民に好まれるが、他の貴族や親である国には好かれない。なので、安寧を堪能したいのなら自分の誇りを頭のおかしいぐらい高く持った方が良い。


 山をも越えるプライドだ。

 貴族ならそれぐらいの方が信用できる。信頼ができんがな。


[どっちも一緒じゃない]


「いいや、大きく違うぞ。信用は信じるだけ。その表面を」


 上っ面だけ信じるなら信用する。

 今までの立ち回りや、才能を認めて認めるだけだ。


「信頼は相手の心の底から認めるんだよ。別に目上の者としてじゃなくても対等な者としてとか」


 心の底から相手のことを信じているなら信頼と言っても良いのではないだろうか。自分の秘密を打ち明けられる人とか。

 そう言った人がいる人が幸せかと言ったら一概にはそうとは言えないと俺は思っているが、そう言った人がいる方が気の持ち方が違うのではないだろうか。


 とか関係ない話に広がりそうだ。

 まあ、簡単にいるのなら信用は表を。信頼はその裏も含めて表裏を全て信じること。


「だと、俺は思っている」


[持論って奴?]


「そうだな。俺個人の考えだ。もしかしたら全然違うかもしれないし、そうかもしれない」


 もしかしたら全然真逆の意味かもしれない。

 読者のみなさんには一度調べることを強くおすすめする。ここで大事なのは俺の持論でしかなく、しっかりと調べられたものじゃないと言うことだ。


[じゃあ、ちゃんと調べてから言ったら?]


「ああ、本当にその通り……」


 これに関してはその通り過ぎるな。

 だが! ここで俺が真面目に言葉の意味について解説して誰が面白いのだろうか。そんなもの別の話でやれば良いだろう。


 そう。

 だから俺はしない。


[都合の良いことを言ってるんじゃ───え?]


 前を歩いていたニーカさんが王城の入り口が目の前にある中、右に曲がった。まっすぐ行けば王城の入れると思うのだが……。

 ついさっきもそこの兵士の話をしていたのだ。


 そんな事をされるの兵士の説明がただの文字稼ぎになってしまう。

 やめてくれ、ただでさえ終わりどころが分からないんだ。


[あの人なんで曲がったの?目と鼻の先に入り口があるじゃない。バカなの]


「どうして純粋な疑問だけを言えないんだ。最後が余計だ」


 しかし、この正面の入り口以外となると……。

 あそこか。


[あそこ?]


「ああ、別に隠すほどじゃないがこの王城には入り口は一つじゃない。それだと不便だからな。貴族からの貢ぎ物専用の大きな入り口がある」


 貴族───はっきり言えば伯爵ぐらいから王に会うのにたくさんの高級な品々を持ってくる。

 王に渡すのはもちろん。宮廷貴族への好感度上げのためにたくさんの物品を持ってくるのだ。


 そんな者を多くの人が使う正面入り口に持ってこられては邪魔なので、裏口という名の物品搬入口がある。

 ここ以外の入り口ならそこだろう。まあ、それら以外に出口専用の場所もあるがな。


 ニーカさんは俺に特に説明することなく、足早に進んで言ってしまう。

 優しさがないというか、親切心がないというか。


 おそらく焦っているのだろう。

 大臣という恐怖の存在がすぐ近くにいる、それが心から余裕を奪い去っている。周囲に配慮する余裕すらない。


 うーむ。

 確かに大臣のような貴族は恐ろしいが、どうしてそこまで恐れているのだろうか。


 貴族という便利な言葉で処理していたが、いくらなんでもビビりすぎじゃないか。

 過去にニーカさんは何か貴族関係であったのだろうか。あいにく前世ではそこまで深く関係を持っていないので、過去の出来事は知らないのだ。


 そんな事をポケポケと俺たちが考えている間に。


[なんで私まで一緒くたにされているのよ!!!]


 裏口まで到着した。

 予想通り、ニーカさんは裏口の方に入っていった。


「騎士のエリス・ニーカだ。後ろの彼は私の付き人だ」


 ニーカさんは、自分の事を証明する書類を出しながら俺の説明をする。

 詳しく説明を入れるのではなく、俺を付き人と言って済ませていた。


[そんな雑な説明で私たち通れるの?]


「ニーカさんは騎士だ。ある程度の融通は利くだろう」


 と、これもまた俺が思ったとおり見張りの兵士に特に言われることなく通ることができた。

 すると、大臣の秘書か側近と思われる人物が近づいてきた。


「大臣がお待ちです。後ろの付き人の方も同室できるかは分かりませんが、ご一緒にどうぞ」


「ありがとうございます」


 俺は、そう返事をしてニーカさんの後ろとついて行く。

 さて、やっと会えるぞ。


 ここまで見ていただきありがとうございました。

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 それではまた次のお話で会いましょう

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