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第十一話 友達百人

 ゼンの鈍感ぶりにあきれかえった俺は、街に入るため西門に来た。

 いくら監視がいるかもしれないからって、街に入れないなんてこはないはずだ。


「あら、ダルクはいないの?」


 ゼンがそう言ったので、門番の顔を見て似るとダルクの顔がなかった。

 ただの休みか、騎士団に搾り取られているか。


 おそらく後者だろう。

 騎士団の拠点に寄った方がよいだろうか。しかし、それだと俺たちが事件に関与しているのがばれてしまう。


 ……ダルク一人で解決してもらうか。

 俺は、心の中で手を合わせる。


「ダルク……いい奴だったよ」


「おいおい、勝手に殺さないでくれるかな」


 そんな事を思っている俺の所に、ダルクがやってきた。

 なんだ、生きてたのか。


「なんだか、まだ俺に向かってひどいことを言っているように感じるよ」


「なら、現実にした方がいいかしら」


「お嬢ちゃんの方がひどかった!?!?」


 はは、ゼンなら本当にやりかねないが、どうやらダルクは別に騎士団に搾り取られているわけではないようだ。

 でも、ダルクが事件に関与している事はさすがにばれていると思うんだが。


「騎士団─────」


「おい、その話は裏でしよう。こっちこい」


 俺が騎士団について聞こうとしたら、ダルクは話を遮って俺たちを前に行った休憩所の中につれて行く。

 やはり、ダルクの所にも騎士団の誰かが来ているようだ。まあ、俺の存在がばれてるんだったら、ダルクなんて簡単に分かるよな。


 というか、俺たちの予想ではコイツのせいで俺たちがばれたって事になってるし。


 ダルクは、俺とゼンを後ろにつれて休憩所に入る。

 その中でも机などがある憩いの場のような場所ではなく、たくさんの木の箱がある物置のような所につれて行かれる、


「なに?私たちを閉じ込めておこうとでも?」


「そんなわけないだろう。今だって騎士団にばれてるんだぜ、嬢ちゃん。正直こんな表だって行動したくないが、どうしても伝えた方がいいと思ってな」


 これが最初で最後だぜ、とダルクは言った。

 俺たち、そしてダルクにも見張りが付いている以上あまり目立った行動は俺たちもできないが、わざわざ危険視されている俺らを自分のところに集めると言うことはかなり大事な連絡だろう。


 ダルクは、ほこりかぶった木箱にもたれかかり話を始める。


「俺たちが、ばれているのは分かってるよな」


「ああ、見張りの存在も確認済みだ」


 ここに来るまでに一度ゼンに心情把握を使わせたら、三人ほど発見できた。

 かなり厳重に監視されているらしい。まあ、盗賊団を壊滅させるほどの能力を持っている奴なんて、もっと見張りがいてもおかしくないがな。


 しかし、子供に付ける見張りにしては、三人はかなりの警戒度だ。

 もしかしたら、かなりの人数を連れてきている可能性もあるがどちらだろうか。


 俺たちへの警戒心が強いのか、それとも人手があるだけか。


「ダルク、騎士団は何人来た」


「俺が言いたかったのは、それだ。この街に来た騎士団の量が問題だ」


「そんなにたくさん来たの?」


「ああ、確認しただけでも100人は越えた」


「100人だと!?」「100人も!?」


 俺と、ゼンの声がかぶる。


 帝国との国境と言う事を踏まえるとおかしくはない。が、盗賊団の壊滅だけで百人も寄越すのか!?

 それでも、騎士団の団長がわざわざ来るなんて副団長とかじゃないのか?


 彼女らの騎士団は絶望的に資金難のはずだ。

 百人分の食料だって用意する必要が出てくる。なぜわざわざ資金に余裕がないなか大勢の動員をしたんだ?


「何か別で作戦が開始されているのか?」


「いや、その兆候はない。大人数いるにしては、やっていることが普通だ。ただ、振り分けられる人数が増えた程度だ」


 じゃあ、なぜそこまでの人数をここに連れてきたんだ?

 何か王から命令を受けたわけではないのか?


「俺の情報をそこまで正しいとは言えない。俺自身見張りがいるからあまり騎士団を探るような動きはできないんだ。もしかしたら、10人程度別で動いているかもしれない」


 俺たちの方でも少し探ってみるか?

 しかし、俺たちが使える索敵は誰にもばれないゼンの心情把握だけだ。しかし、ここまで大人数がいる所では意味を成さないだろう。


 ただゼンにかなりの負荷を掛けるだけだ。

 範囲を指定して負荷を減らしてもいいが、その場合俺たちはかなり長時間街いなければいけない。


 それでは、いくら何でも危険が多すぎる。


「街の中はとてつもなく危険だ。だから、少し無理矢理ここに連れてきたんだが……ここまで言っても、怖じ気づく様子じゃないな」


「そうね。私の前に邪魔者がいるのだとしたら、それをどかすだけよ。私は何者にも邪魔されない!」


「嬢ちゃん、それだと悪の帝王とかのセリフだよ……」


 ゼンが、よく分からないがやる気になっているようだ。

 勝手にやる気になる分にはいいのだが、それで変な行動をしないことを祈ろう。


「そう言うことだから、俺たち行くわ」


「ああ、俺は忠告したからな。後は好きにしろ」


 ダルクは、そう言ってひらひらと手を振る。

 降参とさよならだな。


 えらくかっこつけるようになりやがって、もっとおっさんらしくしてやがれ。

 俺は、ダルクと別れて倉庫を出る。ダルクは、しばらく倉庫で時間を潰すそうだ。


「ゼン急ぐぞ、あまり長居しすぎると見張りが突撃してくるかもしれない」


「そうね。なんなら近くまで来てるわよ」


 やはり長居しすぎたか、いくら何でも見張り付きの状態でダルクとの情報交換は危険か。しかし、街の危険性と騎士団に何かある可能性を確認できた。

 街を歩いていれば何か情報が手に入るかもしれない。何も手に入らなくても、街を歩いているだけでそれなりの発見があるはずだ。これだけの人数が街にいるのだから。


 俺は、歩く速度をどんどんと速める。ゼンもそれに遅れることなく付いてくる。


「出たら走るぞ。ついてこい」


「了解」


 俺は、少し小走りで廊下を進む。

 そして、外の明かりが差し込む扉が見えてきた。


 扉を通り、周囲に視線を向けると見張りらしき怪しい人物と目があう。

 案の定突撃寸前だったようだ。ご丁寧に剣に手を掛けている。


 こういう見張りはまくに限る。

 どんな小説でも見張りは基本的にアホなんだ。


「行くぞ!」


「見られてるわよ!」


「俺はスラムに、お前は路地に入れ!」


「合点承知の助!」


 ゼンの謎の返事を聞いて、俺たち別行動を開始する。

 どこで会うかは話してないが、多分どっか出会える。串焼きでも持ってれば会えるだろう。


 そうして、俺は危険な暴食の魔物───ゼンをを街の中に放つことを許してしまった。


 ここまで見ていただきありがとうございました。

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 それではまた次のお話で会いましょう。

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