第七話 情報戦
「本当に家まで送らなくていいのか?」
ここは俺の家の前、食事を終えてナールを家まで送ろうとしたのだが断られている場面だ。
なぜだか、ナールの家まで送るのを断られてしまった。
ナールに熊の件は隠し通せたようだが、あまり今の状況でナールを一人にするのは俺の心臓に悪いのだが。
知らないところで誰かに襲われるのでは、という想像に頭の中が支配されてしまう。本当に大丈夫だろうか。
「親馬鹿みたいね。あほくさ」
そんな俺の気持ちを馬鹿にするゼンが、俺の後ろにはいる。
不安になるだろう。あんな事があった後だ、もう全てが疑わしいぐらいだよ。
「そこまでくると、もう病気ね」
「毒舌がきついなあ!もう少し、優しくしてくれ」
「えっと……。僕、帰るから。じゃあね」
ナールを置き去りにしてまた会話をしてしまった。
その様子に少し引き気味のナールがそう言って帰ってしまう。
親友の事をもう少し信頼した方がいいのだろうか。
しかし、信頼したところで安心はできない。
「いいかげんにしなさい。気持ち悪いわ」
「そんな事言った──イテテテテテ!」
ゼンは、俺の耳を無理矢理掴み家に連れ戻す。
その間もナールの背中が見えているが、その背中はどんどん遠くなっていく。
お前の無事をこの家から祈っているよ。
「永遠の別れか何かなの?ほんと馬鹿にみたいなんですけど」
そう言って、俺は家に戻された。
☆☆☆
ナールとの別れを終えた俺は、部屋に戻ってベッドで横になっていた。
体の疲労を少しでも取り除くためだ。普通に暮らせるぐらいには帰ることに回復していたが、より取り除くには横になっていたが速いだろうと言う考えだ。
ゼンにマッサージでもさせようかと思ったけど、そんなことさせたら背骨ごと砕かれそうなのでやめておいた。
さすがに背骨が折れれば死んでしまう。冗談でも激痛だ。
そんな理由で横になっていた俺の部屋にゼンがやってくる。
コイツ心を読んで背骨でも折りに来たのかと思ったけど、気配からして違うようだ。
「お客よ」
「客?俺にか?」
「ええ、盗賊団についてだって」
盗賊団についてだと……ばれるとは思っていったが、なぜそれを俺に聞きにくるんだ?
事件の現場から家が近いからだろうか。
俺は、なぜそいつらが来たのか思案していると。
「早く行ってくれる?その程度聞けば教えてくれるんじゃない?」
と言われたので、さっさと部屋から出て一回に向かう。
一階に降りると家の玄関の所に二人の鎧を着た兵士がいた。
二人とも軽装で、戦闘を目的としている訳ではなさそうだ。
じゃあ、本当に聞き込みだろうか。
「遅れてすみません。それで何用でしょうか」
あくまで相手は王国の兵士なので下手に出ておく。
こんなところで喧嘩なんてする必要は無いしな。
「君が、アイン・イーノス君かい?」
すると二人組に前の方に立っていた兵士の一人───女性が聞いてきた。
俺は、その顔を見て目を丸くする。あまりに衝撃的だった。
「ん?女性が兵士なのは変だと言いたいのか?」
俺の表情を見て、女性が明らかに不快そうな顔をしながら聞いてくる。
どうやら、自分が女性であることを気にしているようだ。
「い、いえそう言ったわけではなく、こんな所に序第二位の御方がお越しになったことにつて驚きを感じただけであります」
そこにいたのは、目切れもなく王国騎士の序列第二位そして、リヴァイヴァル騎士団の『エリス・ニーカ』だった。
軽装なので黒い艶やかに輝く髪が出されていて、太陽に照らされているのでとても美しかった。
「私のことを認知しているのか、変わった子供もいるものだな」
彼女は、つまらなさそうな顔をしながらそう言う。
序列第二位ならそれなりの知名度があるのでは、と思った人が多いだろう。しかし、彼女の率いている騎士団は貴族による圧力などのによって、あまり良い成果が上げられていない。
そのせいで、彼女自身の知名度は騎士の中でも底辺に近いだろう。
辺境の街だと、二位だけ知らないなんて人がいるとか。あくまで噂に過ぎないのだが、この反応からするに、クリークで「アナタは誰ですか?」とか「本当に序列二位の方ですか?」とか言われたのだろう。
「それで、単刀直入に聞こう。君はこのあたりで壊滅したと思われる盗賊団についてどこまで知っている?」
単刀直入とは言ったが、情報をさらけ出しすぎじゃないか?
相手はただの一般人だぞ、情報の開示か過ぎる気がする。まあ、広まったところでどんなことが起きるか分からないがな。
それに、何を知っているではなく、どこまで知っているとなぜ知っている前提なんだ?
博打的な考えで俺の所まで来たのか?
俺は、彼女の質問の内容にまたもや驚いたが、あくまで平然を装って質問に返答する。
「盗賊団がいたことに関しては何も存じ上げません。お力になれず申し訳ございません」
あくまでシラを切る。俺が関係しているなんて、思いもしていないだろうからな。
俺の行動を知っている人もいないだろうし、ダルクが余計なことを言わなければ誰も知らない事ととして、闇に葬れるだろう。
俺は、一介の子供に過ぎないからな。
いくら騎士での、そこまでの推考はできないだろう。
「そうか。なら結構だ」
そう言って、彼女らは出て行ってしまう。
それ以上の質問はないようで、本当にそれだけ言って彼女たちは出て行ってしまった。
あまりの速さに俺は思考が追いつかず、数秒だがその場で停止してしまった。
もう少し質問とか無いのだろうか、いくらなんでも切り上げるのが速すぎる気が……。
それに色々と聞きたいことがあったが向こうが勢いそのまま帰ってしまったので、何も聞けなかった。
もう少し、余裕も持って行動してほしい。動き一つであらぬ疑いをかけられそうだ。
すると、後ろに立っていた彼女の部下が一人だけ戻ってきて。
「情報の提供、感謝する」
と言って、すぐにいなくなった。
明らかに俺の事をあざ笑うかのような視線が気になった。それに、俺は何も言っていないんだが、一体何の情報だ?
だが、しかしな。
わざわざ戻ってきたと思ったら……。
「それだけかよ!!」
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それではまた次のお話で会いましょう。




