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鑑定士
世の中には遺伝子検査を使用して血縁関係を確認しなければいけない家族がいる。
事情は様々なのだろうが、たいていはドラマや漫画でよく題材にされるような内容なのだろう。
私は毎日届く遺伝子鑑定依頼をもとに、淡々と、しかし丁寧にDNA鑑定の作業をしていく。
日々大量の鑑定をしていると、ふとよからぬ欲望が顔をもたげるものだ。
この中のほんのわずかに、
本当にわずか、
例えば一つでも良いから、
実際とは違う結果を出したら?
いったいその家族はどんな結末を迎えるのだろう。
つまり、実の家族なのに 《血縁でない》 という鑑定結果を郵送するのだ。
その家族が、顔や体格がそっくりだとしても、その文言を信じるのだろうか?
自分の感覚と鑑定結果、果たして人はどちらを信じるのだろうか。
しかも鑑定依頼をするような、差し迫った状況下で、その通知書はどんな威力があるのだろう?
現実には、通知を出す際には何人もの確認を経て依頼人へ渡されるのだから、そんなことはこの21世紀にありえない話かもしれない。
私はそんな疑問を抱えながら検査を続けていく。
…あぁ、そんな事を妄想していたら、つい手元が狂ってしまったようだ。




