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怪我でサッカーを辞めた天才は、高校で熱狂的なファンから勧誘責めに遭う  作者: もぐのすけ
プリンスリーグ編

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佐川新之助③

 俺は意図的に足音を立てて集団へと近付いた。

 鋭い視線がいくつも俺の方へと向かってくるのが分かる。


「なんだ、お前」

「こっち見てんじゃねーよぶっ殺すぞ」


 啖呵を切られて喧嘩を売られる。

 なんとも懐かしく不快な思い出だ。

 常識から外れた道というのはどうしてこうもくさく感じるのかね。


「急に声荒げないでくれよなぁ。驚いて五臓六腑が口から飛び出しちゃうから」

「は? 頭沸いてんのかこいつ」

「キチガイなんか構うなよ。今は瑞都の10番の話だろ」

「俺がその10番の知り合いだって言ったら?」


 その言葉に全員の敵意が剥き出しになるのが分かる。

 座っていた者達もゆっくりと立ち上がった。


「…………ああそう、そういうこと。じゃあ帰すわけにはいかねぇわ、お前」

「零士君、こいつボコったら追加料金とかある?」

「高坂の知り合いだってんなら追加で10出してやる」

「っしゃあ。俄然やる気出てきたわ」


 猫背を除けば10人。

 俺が一人でいることに対して明らかに余裕の表情。

 そりゃそうだ。基本的には数が多い方が強いに決まってる。しかもこいつらは人に暴力を振るうことを悪びれない根っからのクズ。俺のことが札束にでも見えているんだろうよ。


(この中で一番発言力のある奴は…………あいつか)


 髪に剃り込みを入れてタバコをふかしてるやつ。

 アイツがこの中で一番喧嘩が強いはずだ。


 集団がへらへらしながら扇状に広がり、俺のことを取り囲もうとした瞬間、ダッシュで剃り込みに近付いてぶん殴った。

 剃り込みは驚いた表情をしながらも俺からの顔面への一撃を両腕で防いできたが、それでも腕もろとも吹っ飛ばし、剃り込みのバランスが崩れる。


「この───」


 そのまま息もつかせぬほどの追撃。

 2発目は防ごうとした両手をすり抜け顔面へと直撃する。ふらついたところへ側頭部目掛けて繰り出したハイキックがヒットした。


「ってめぇ!!」

「何してんだこらぁ!!」


 一瞬の挙動に遅れて周りの取り巻き達も動き始め、俺の背中目掛けて足蹴りを喰らわせてきたが、それでも俺はそちらは気にせず倒れ込んだ剃り込みの顔面へ向けて再び拳を振り下ろした。

 久々に感じる肉を叩く感触。大義名分があるとはいえ、気分が悪ぃ。


「お、おい……あっくん…………」


 血だらけで倒れたまま動かない剃り込みの側に立つ俺を見て、他の男達が若干の怯みを見せていた。


「次、どいつだ?」


 凄みを利かせて問いかけてみた。

 多少のハッタリにはなるか?


「……はっ、不意打ちがたまたま上手くいっただけだろうが! ぶっ殺せ!!」


 どうやらあんまり関係ないみたいだった。

 ここから先はどうなるか分からない。

 これだけのことをやったんだ、もし負けたら俺もただじゃ済まないだろうなぁ───。


 ────────────


 ──────


 ───


「ば…………化け物…………」


 化け物とは酷い言い草だな。

 たまたま10対1の喧嘩に勝っただけだというのに。

 俺の周りには、倒れ込んだまま動くことができそうにない男達が苦しそうに呻き声を上げていた。


「さて、残るは猫背のお前だけだけどよ、どうする? 俺と話し合いするか?」

「ふざけんな!! お前みたいな犯罪者と話すことなんてねーよ!! 俺が警察に行って証言すれば、これだけの大人数を怪我させたお前は少年院送りだ馬鹿が! 高校も退学確定だな!」


 え〜そういうことになんの?

 俺が悪者の立ち位置?

 高校退学は…………母さんと雫が悲しむから困るなぁ。


「死ねカス!! 高校退学ざまぁみろ化け物が!!」

「あら、そんなことにはならないわよ」

「誰だ!?」

「あれ、鷺宮さんじゃん」


 どこから現れたのか、鷺宮さんに関西弁それに爽やかマンの3人が来た。


「えらい派手に転がしよんなぁ。修斗の大親友めっちゃえげつないやん」

「これだけの人数を一方的にボコって本人はほとんど怪我無し……。まったく、俺の知らない世界だな」


 それは褒めてんの? それとも馬鹿にしてんの?

 どっちなんだい!


「佐川、だったわね。修斗の友達の」

「覚えてくれたんだ」

「そりゃこんなものを見せられればね。ほんと、大したものよ」

「なになに、もしかして俺のこと見直しちゃった系っすか!?」

「ええ、見直した」


 …………うわ。なんて綺麗な笑顔。

 修斗にだけ向けられてた笑顔が、俺にも向けられてるよ。なにこれ、夢?

 でもごめん! 俺にはもう気になってる子がいてだな───。


「お、おい! 城ヶ崎と神上まで来やがってなんのつもりだ!」

「なんのつもりはないやろゴミクズ黒宮ぁ。自分のしてきたこと何棚上げしてんねん」


 尻餅をついている猫背に関西弁が詰め寄った。

 体のでかいこいつが詰め寄ると迫力あるなぁ。


「鷺宮さん、俺の退学が大丈夫ってどういう意味? ここでこいつ埋めちまうからチクるやつがいなくなるってこと?」

「発想が怖いわね……。そうじゃなくて、これ」


 鷺宮さんが自分の携帯を取り出した。

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