外伝 光の勇者
アドリアン・ルキア…母と共に難民として流れ着いた少年、母の厳しい教えの元強く正しくあろうとする。
アドリアン・メルダ…ルキアの母、非常に厳しくルキアを育てている、子持ちとは思えない程若く美人
メッサーオルランド…聖剣ヴレイヴハートの持ち主”光の英雄”と呼ばれることとなる
レインヘル・ベルフォード…ベルドルア聖王国の若き”覇剣鬼”オルランドとはライバルであり友人
ベルドゲン・バルデル…ベルドゲン侯爵家の息子、ルキアを敵視している
バーナベンデ・ベルガー…国内一の剣士、バルデルの剣の教師でもある
聖剣ヴレイヴハート 世界に聖剣と呼ばれる物数あれど
聖剣の中の聖剣、真の聖剣はこれ意外に無い
この言葉は世界を救った“光の英雄” メッサー・オルランドが
残したものである、時はルキア達が魔王を討伐した20年前に
遡る、魔王アドギラルロックの大攻勢により人類はなす術も
なく連戦連敗、国は滅ぼされ、町は焼け、村には死体の山が
築かれた、絶望と恐怖が人々を支配しもはや奇跡を祈るしか
ないと思っていた時の話である、そんな時一人の英雄が
魔王の前に立ち塞がった、メッサー・オルランド 後に
“光の英雄”と呼ばれる男である、人類の存亡をかけて各国の
残存兵をかき集め連合軍として挑んだこの戦いも、圧倒的な
魔王の力の前に敗退し撤退を余儀なくされていた、兵達は
撤退しながらも頭の中は絶望感で満たされていた、なぜなら
今回の戦いは人類が最後の力を振り絞って挑んだ総力戦
だったからだ、その戦いの負けた以上、撤退したところで
あとはジリ貧になる事は目に見えている、それでも歯を
食いしばり奇跡を信じて次のチャンスにかけるかのように
逃げる兵達、だが魔族の追撃は苛烈を極めた、元々魔族は
殺戮や蹂躙を好む、絶望や恐怖は魔族達の糧であり彼らの
大好物なのだ、愉悦に浸るように甲高い笑い声を上げながら
次々と人を殺していく魔族達、そうこれは彼らにとって最高の
遊びであり、娯楽であり、趣味でもあった、そんな時である
「でありゃああああ〜!!」
大きな掛け声とともに数体の魔族が真っ二つになる、魔族の
死体が肉片へと変わりボタボタと地面に落ち血が地面を
染めていった、その光景に我先にと追撃してきていた魔族達の
動きが一瞬止まる、そこには赤い剣を構えながらまだまだ
大量にいる魔族達を睨みつける男がいた、ベルドルア聖王国の
若き剣士レインヘル・ベルフォードである
「なあオルランド、こりゃあキリがないぜ、味方を逃す前に
オレ達の体力が尽きるんじゃねーのか!?」
「どうしたベルフォード、もう弱音か?だったら先に逃げて
いいぜ、俺が敵を食い止めているから」
そう言いながら悪戯っぽく笑うこの男こそ、メッサー・オルランド
その人である、それを聞いたベルフォードが眉を釣り上げた
「ああ!?誰にものを言っている、俺はベルドルア聖王国の
“覇剣鬼”レインヘル・ベルフォードだぞ、人にケツを任せて
逃げるような男に見えるのかよ、舐めるな!!」
オルランドの挑発にあえて乗るかのように熱り立つ若き覇剣鬼
たった二人の人間相手に死体の山を築いていく魔族達
さすがの魔族達も一時進軍を躊躇したかに見えた
「これなら何とか他の奴らが逃げる時間を稼げそうだな」
そんなベルフォードの言葉を否定するかの様にボソリと
呟くオルランド
「そう上手くいけばいいんだが、何せ相手はあの魔王だ
あいつは他の魔族と違って狡猾だ、どんな手を使って
くるか・・・」
オルランドがそう言いかけた時、二人の後ろから叫び声が
聞こえた
「クソっ回り込まれたか、おいどうするオルランド!?」
オルランドは少し考えベルフォードの方を向く
「ここは俺一人で防ぐ、だからベルフォードは後方の別働隊を
頼む」
「本当に一人で大丈夫なのか?お前の体力ももうかなり消耗
しているだろ、何なら俺が回復魔法をかけてやろうか?」
その提案にゆっくりと首を振る
「いや、その回復魔法はお前自身と怪我人にしてやってくれ
ただ、この戦いが終わったら一杯奢ってくれ」
ニヤリと笑うオルランド、そこに決意を感じたベルフォード
「わかった、さっさと後方の別働隊を片付けて戻ってくる
からよ、それまで生きてろよオルランド、まだ俺との
決着はついていないんだからな!?」
オルランドは嬉しそうに微笑むと無言で“早く行け”と顔を
横に動かす、ベルフォードも無言で頷き後方へと急ぐ
そしてベルフォードが再びオルランドに会う事はなかった
オルランドが一人になっても魔族達が攻めてくる事はなく
その理由も皆目見当がつかなかった
『魔族の奴ら一体どういうつもりだ?まあ俺にしてみれば
時間稼ぎができて有り難いが・・・』
すると魔族達の群れが二つに割れその空いた道をゆっくりと
近づいてくる足音が聞こえた、ズシーン、ズシーンと
地の底から響いてくる様なその音にようやく敵の狙いが判った
「成る程、陽動に引っかかったのは俺達の方か・・・」
オルランドの目の前に立ち塞がる黒い壁の様な体、8mは
あろうかと思える巨体を見上げるオルランド
「はじめまして、とでも言えばいいのかな、魔王!?」
その言葉を理解したのか否かは不明だが、その時
魔王アドギラルロックはニヤリと笑った
後方の別働隊を片付けて急いで戻ろうとするベルフォードの
前方が急に白く光った
「何だこの光は!?」
眩しくて目を開けていられない程の光を受けベルフォードは
思わず手をかざし光を遮る、数秒間の光の後、慌てて戻った
ベルフォードだったが、そこにオルランドの姿はなかった
代わりに大量の魔族の死体と地肌が見えないほどの血の跡
それはここでどれほど激しい戦闘がおこなわれたかを証明
していた、その瞬間ベルフォードは理解した、ここで
オルランドと魔王が戦い、オルランドは死に魔王は傷ついた
事を、勿論何の証拠もないし推測でしかなかったのだが
それより一年以上魔王が攻めてくる事はなかった事がそれを
証明することになったのだ、オルランドの持っていた剣は
聖剣ヴレイヴハート、聖剣で傷つけられた魔族は早々
簡単には回復しない、いくら魔王といえど深傷を負ったので
あれば完治までに数ヶ月、一年かかったとしても何の不思議も
ないと思われ、その間に人類は再び軍を立て直す事ができた
そして撤退戦とはいえ人類が初めて魔族を退けた歴史的
戦いでもあった、これにより人々は勇気を与えられ
“人類でも魔王に勝てる“と思えた事は本当に大きく、
その功績を称えられ メッサー・オルランドは魔族を退けた
”光の英雄”として人類の希望の星となった、しかしその時以来
聖剣ヴレイヴハートは何処かへと消え去り、その行方は一向に
知れなかった
それから12年程の月日が過ぎた、魔王率いる魔族軍の攻撃は相変わらず
苛烈を極めたが、あの日以来、人類も魔族達に対して必死の抵抗を見せていた
”覇剣鬼”ベルフォードを中心に屈強な聖騎士団を抱えるベルドルア聖王国
強力な結界や防御魔法を駆使する優秀な僧侶を何人も有する聖教神師団
”世界最強の魔法使い”といわれるクルム・ハイドニールが率いる
クルム魔法学校には強力な攻撃魔法を使う魔法使いが何人もいた
この三団体が中心となり魔族の侵攻を食い止めていたのである
人類側が全体的に劣勢ではあるが以前ほど一方的にやられるわけではなく
ギリギリのところでなんとか踏ん張っていた、そんな戦いが繰り広げられて
いた時の話である、ベルドルア聖王国の隣国、パッシュメア公国という
国に二人の親子が住んでいた、母親はアドリアン・メルダ、そして
息子のアドリアン・ルキア 後に魔王を倒し人類を救う勇者だが
この時はまだ何の力もない12歳である、二人はサンギガルク王国
という所に住んでいたのだがその国は魔王軍に滅ぼされ
着の身着のままでこのパッシュメア公国に逃げてきた
のである、この国はベルドルア聖王国の隣国でもある為
魔族の侵攻時にも聖騎士団がすぐに駆け付けてくれるので
世界の中でも比較的安全と思われている地域である
それ故にアドリアン親子の様な難民は非常に多く
生き残った人たちは次々とパッシュメア公国に避難して
いった、この国ではそういった戦時難民を積極的に受け入れる
方針を取っており、難民たちにも仕事を与え生活を保障して
いた、それだけを見ると一見非常に人道的な国とさえ思えるが
パッシュメアの国王はそういった難民たちに低賃金で働かせ
安価な労働力として使っていたのである、だから難民たちの
生活は非常に苦しく、男は窃盗団に入ったり野党化し、女は
娼婦に身を落とすことも少なくなかった、だから国内は決して
治安がいいとはいえず、元からいたパッシュメア国民は
”難民のせいで治安が乱れた”と考え良く思っていなかった
そんな考えがいつしか差別意識を生み、難民たちを差別したり
嫌がらせをしたりしたのだ、そんな過酷な環境だが
難民たちにしてみれば住む所も働き口もあるこの国は
まだマシである為、辛い生活にも耐えながら頑張っていた
そんな環境の中、アドリアン親子は厳しいながらもつつましく
生活していた、母メルダは12歳の子供がいるとは思えない程
若くそして美しかった、そして常に凛としておりどこか気品
というか近寄りがたい雰囲気すら感じられた、だから
雇われ主や貴族の者から”愛人にならないか?”と何度も
誘われたが、そんな声に一切耳を傾けることもなく毅然とした
態度で断っていた、当然生活は苦しく親子二人でギリギリの
生活を続けていた、ルキアは12歳なので学校に通っていたが
校内でも当然”難民イジメ”が横行しており、しかも最悪なのは
それを教師たちが黙認していたことである、いわば虐める側に
してみれば学校側に了承を受け虐めている様なモノである
それ故に校内では喧嘩が絶えず難民たちは不良化し校内の
治安が更に悪くなるという悪循環を繰り返していた
しかしそんな中でもルキアは母の教えを守り決して手を
出したりはせず喧嘩には参加しなかった、最初の内は学校から
毎日泣きながら帰ってくると母メルダにキツく叱られた
いくら酷いイジメを受けたと言っても聞く耳を持っては
くれなかった、メルダはルキアに対して非常に厳しかった
弱音や泣き言を一切許さず その度に叱りつける、しかし
最後は必ずルキアの頭を抱きしめ優しく呟いた
「いいですかルキア、あなたはその様な心貧しい人達に
負けてはなりません、決して腐らず、決して荒ぶらず
決して自分を蔑む様な事のなきよう、心に信念を持ちなさい
そして人を良き道へと導ける様な、そんな人間になるのです
それはとても厳しく困難な道でしょうがあなたならできると
私は信じていますよ」
ルキアは厳しくも優しい母の教えを忠実に守り、イジメや
嫌がらせにも毅然とした態度で応じた、するとそんなルキアの
態度が徐々に皆の共感を集め周りに人が集まりはじめた
難民組は勿論のこと女生徒達がルキアをはじめとする難民達に
対するイジメを非難しはじめたのだ、勿論女生徒達の親にも
王族、貴族、富豪の令嬢達も大勢おり、勢力は真っ二つに割れる
そんな事もあり、今まで散々難民組を虐めていた連中も
おいそれとは手出しできなくなってしまったのだ
カースド制度の頂点にいた彼らは上位人間から一気に
弱い者いじめの嫌われ者へと変わってしまう、これは彼らに
とってかなりの屈辱であった、思いもよらない事態に
不満と鬱憤を募らせる貴族、富豪の息子達、そんな時彼等は
とんでもない事を思いつく、魔族との戦争が続きこの学校に
限らずこんな、時制なので男子には学校教育の中にも
剣術の授業が義務化されていた、貴族の息子や金持ちの子は
学校の授業以外でも専用の家庭教師を雇い剣術を習っていた
この世界では強さは絶対であり、子供の世界にもそれは
そのまま当てはまる、強い者が偉いという絶対の法則
野生の動物の如くわかりやすい階級制度ともいえる
その階級制度の確立を学校側が積極的に後押し
しているのである、だからこそ授業でも難民の子はマトモに
剣を教えてもらえない、子供の内からしっかりと区別され
剣による力の差を見せつけることによって上下意識を植え付け
たのだ、勿論教師の中にはそんな事を良しとしない者も
少なからずいたが、表立ってそれを批判したり変えようと
したものには強烈な仕打ちが待っていた、教師は子供の
育成という名目で兵役を免除されている、しかしそういった
批判をした者は翌日から兵役義務を課せられ、いきなり
最前線に送り込まれたり、元教え子の部下として配属され
徹底的にいじめ抜かれたりするのだ、この国ではそれほどまでに
王族、貴族、富豪達の権力は絶大なのである、ルキアも当然
そんな歪んだ環境で不遇な扱いを受けていた、しかし
ルキアの母メルダはそんな事一切気にはしていなかった
自分が働いている間、学校は最低限の教育と剣術を学ぶ時間を
無料で提供してくれているのである、ルキアの本当の勉強は
学校から帰ってからはじまるのだ、夜には母が様々な事を
教えてくれた、一般教養から専門知識まで、その幅広い
教養は学校での授業の何倍も濃いものだった、そして母からの
教えで最も厳しく辛く勉強になったのは何を隠そう剣である
母の剣は誰よりも速く鋭く凄かった、それは子供のルキアが
見ても圧倒的であり、それに比べれば教師が教える学校の授業
など子供の遊びにしか見えなかった、しかし母の教えで
“無闇に力を振るうな“という言いつけを守り学校では剣の腕を
見せる事なく、素振りをするだけにとどめていた、一言の文句も
言わず黙々と素振りをしているルキアの姿に皆、感心し
尊敬の目を向ける、特に女性陣からの人気はうなぎ登りであった
元々ルキアは端正な顔立ちでスタイルも良く礼儀正しく
誰にでも優しい、そしてこんな環境でも不平不満を一切言わない
そんな姿を見てモテない方がおかしいともいえた、身分など
関係なく女性陣は積極的にルキアにアタックをかける
”私の婚約者になってくれれば貴族位を与えましょう“
とか”あなたの望むままいくらでもお金を差し上げますわ“
などやや常軌を逸しているものも少なくなかった、それほどまでに
人気を得ているルキア、もはや学園のアイドル的存在となっていた
そんなルキアを見て益々面白くない貴族や富豪の息子達
遂になりふり構わない策に出た、親に頼み込んで学校側に
圧力をかけ、ある競技会を開催させたのである
ある日の朝、全校生徒の前で学園長が発言した
「え〜生徒の皆さんにお知らせ致します、来週全校生徒
参加の剣術大会を開きたいと思います、皆さん日頃の成果を
存分に発揮して正々堂々、悔いのない戦いを期待します
尚、この大会には御父兄の方々にも見てもらう予定です
皆さん親御さんの前でいい成績が取れるよう頑張って
ください、以上!!」
いきなりの発表に全校生徒がざわつく、勿論貴族、富豪組は
喜び難民組は顔をしかめる、そんな彼らにルキアが声をかけた
「学園長の言う通り、悔いのない様全力で戦えばいいんだよ
これは日頃の成果を見せるだけの授業の一環でしかない
戦場と違って負けても死ぬ事はないんだから思い切って
いこう、結果は二の次さ」
爽やかに微笑むルキアを見て少し呆れ気味の難民組
「ルキア・・・お前って奴は本当に真っすぐというか
疑う事を知らないというか、学園長の言ったことなんか
ミエミエの建前じゃねーか、最近女子に嫌われている
貴族共が女達の前で格好つけたいんだろ!?学園長なんか
貴族共の操り人形だしな、そもそもマトモに授業すら
受けさせてもらえない俺たちと、専用の家庭教師まで
雇って訓練している奴らとじゃ勝負なんかになるはず無い
じゃんか、特にお前は狙われているはずだぜ、目の敵と
いうか、何が何でもお前を潰しにくるはずだ、原因は
女子に大人気のお前の事を妬んでの醜い嫉妬だろうけどな
酷い怪我を負う前に降参してしまう事をお勧めするぜ」
そう言ってルキアの身を心配する難民組のクラスメート
勿論彼らはルキアの力を知らないからなのは言うまでもない
そして大会当日となった、その日はまるで国の祭りでも
あるかのような派手な演出が各所で見られたのだ
朝から何発もの花火が上がり、国家吹奏楽団まで招集して
大会を盛り上げる、席には急造のスタンドまで設立され
これはもはや子供の発表会とか運動会のレベルを超えていた
これはもちろん学校側の意向ではない、そもそもこれほどの
予算が学校にはないのだから当然である、一部の貴族達や
富豪達が息子の晴れ姿を見ようと私財を使って多額の出資をしたのである
客席にも一般の観覧席とは別に貴賓席を設け自分達はそこに陣取った
このご時世もあって、こういった子供の晴れ姿を見る機会など
滅多にない、貴族や富豪の親たちは子供達から
”今度学校で剣術の大会を開きたいから何とかして欲しい”と
頼まれたとき寧ろ親側がノリノリで進めたのだ、そんなお祭り騒ぎの
雰囲気の中、今大会の発案者ともいえる子供、ベルドゲン・バルドルが
周りを見ながらニヤついていた
「何だかスゲー事のなったな、まあこれだけの観衆の中で俺が
優勝すれば、さすがに女共も俺の事を見直すだろ!?」
バルドルの周りには取り巻きが何人もついておりその連中が
微笑みながら何度も頷く
「そりゃあ、まともに戦ったら優勝はバルドル君でしょ!!」
「何といってもバルドル君の教育係はあのベルガー将軍だもんね!?」
取り巻きの言葉に思わずニヤけるバルドル、この少年はこの国でも
三本の指に入る超名門貴族、ベルドゲン侯爵家の子息で
パッシュメア国王の甥にあたる、そんなコネもあって、この国最強の
剣士”バーナベンデ・ベルガー”将軍から直々の指導を受けているのだ
『見てろよ女共、俺が最強なんだ、ルキアのカッコ付け野郎とは
違うところを見せつけてやる、できれば俺が直接ボコボコに
してやりたいが、俺と当たるまで残っていないだろしな・・・
残念だぜ、一回戦で俺と当たる様に組み合わせを頼んでおけば
よかったかな?まあせいぜいみんなの前で恥をさらしな
くっくっく・・・』
対戦表を見ながらほくそ笑むバルドル、大会前にくじ引きによる
組み合わせの対戦表が大きく張り出されていてルキアとバルドルは
決勝まで行かないと当たらない組み合わせになっていた
だがこれは公平なくじ引きとは名ばかりで一回戦は全て貴族、富豪組
対難民組となっていた、あまりに露骨な組み合わせだったが
”公正なくじ引きの結果、こうなった”と学園側が言い切るので
生徒側としては何も言い返せなかった、貴族、富豪組の親への配慮で
少しでも子供の勝つところを見せる為、このような組み合わせを
演出し、その見返りとして多額の出資と寄付金を募ったのだ、そして
今回の大会でも最も資金を出しているのはベルドゲン侯爵であり
息子の晴れ姿を見せに大勢の人間を引き連れてきていた、もちろん
その中にベルガー将軍もいた、将軍をワザワザ連れてきたその目的は
弟子である息子の雄姿を見せたかったのとベルガー将軍に戦いの
解説をさせる為である
「ホッホッホ、まだ始まらんのか?昨日から息子の優勝が見たくて
待ちきれなかったわい、だから昨夜はあまり寝ておらんのだ
こうしている今でもワクワクが止まらん、ワシ自身は剣は
てんでダメだったからな、息子に剣の才能があるとわかった時は
嬉しくて嬉しくて・・・」
親バカともいえるはしゃぎように微笑みながらうなづくベルガー将軍
「ええ、バルドル坊ちゃんは中々見込みのある剣士ですよ、正直
彼がこのような子供の大会に出るのは大人げないと思える
くらいの腕を持っています、大人の大会にでもかなり戦える
程のレベルですから」
その言葉に立ち上がって喜ぶベルドゲン侯爵
「本当か、本当に息子の腕はそこまでの・・・嬉しいの~
これも将軍のおかげだ、ありがとう、このベルドゲン・ウィルヘルム
心より感謝申し上げる」
深々と頭を下げるベルドゲン侯爵、どんな時にも頭など下げた
ことのないこの男が、息子の事ではこうも簡単に頭を下げるのか!?
と周りの人間が驚くほどであった
「止めてくださいベルドゲン侯爵、私は手助けをしたにすぎません
いくら私が教えても才のない者では強くはなれません、それ程の
才能を持って生まれ、研鑽を欠かさないバルドル坊ちゃんを
褒めてやってください」
ベルガー将軍の言葉に涙を流して喜ぶベルドゲン侯爵、将軍の言った事は
半分おべんちゃらだったが半分は本音であった
『確かにバルドル君には才能がある、このまま研鑽を重ねていけば
いい剣士になるだろう、ただ少々自信過剰なところが気になる
正直こんな子供だけの大会では圧勝してしまうだろうから
それで益々自信過剰になって剣を甘く見ないといいのだが・・・』
そんなベルガー将軍の予想と心配を、粉々に打ち砕くほどの存在が
いる事を彼はまだ知らなかった、こうしていよいよ大会の幕が
切って落とされた。
さて最後の外伝ルキア編です、実はこの一話は凄く長くなってしまった為、二つに分けました
ですので今回の話はやや薄いと感じる方もいらっしゃると思いますが、ご容赦のほどを
それで今回の主人公ルキアの名前なのですが、BLEACHのルキアから付けたわけではありません
というのもお恥ずかしい話、私はBLEACHを見ていなくて知らなかったのです、この名前は近所に
住んでいる男の子で”るきあ君”というという子がいまして、その子から付けたんですが、後からその子
の親から聞くと”BLEACHのルキアから付けた”との事で”あちゃー”って感じです(笑)
結局はBLEACHからの由来という事になります(言い訳にもなっていないしょうもない話ですみません)
どうでもいい話を長と失礼しました、では。




