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外伝 思う想いは重く

登場人物


ルース・ライオス…祖国の英雄ベルフォードに憧れ聖騎士隊に入隊する、素質と体格に恵まれ世界最強の剣士を目指す

レインヘル・ベルフォード…数々の武勇伝を持つ祖国の英雄”覇剣鬼”の異名を持つ程激しい攻撃が特徴の最強剣士、回復魔法も使う事ができるベルドルア聖騎士団の団長

ベルゲン・アインゼル…ベルドルア聖騎士団の副団長、ベルフォードの愛弟子で秘剣”霞斬り”という技を使う

レインヘル・ジュリア…ベルフォードの一人娘、小柄で非常に美人だが父の名を継ぐ最強剣士を目指している

視線をライオスに向けたまま隣で両膝をついて自分を見上げている父親を


気にすることも無く腰の剣をスラリと抜いた


それに応える様にライオスも剣を抜きジュリアと対峙する


落ち着き払ったライオスに剣先を向け今まで見たことも無いような


凄まじい視線と闘志を見せるジュリア


『行かせない、絶対に行かせない、私はまだあなたに何も伝えていない


 何も伝えていないの ライオス先輩がいなくなるなんて私が認めない


 許さない、引き留めて見せる、必ず勝つ、勝つんだ絶対、死んでも勝つ‼』


自分の持つありったけの想いをぶつけ挑みかかる様な視線を向けるジュリア


そんなジュリアを冷静に見つめるライオス


『凄い目で睨んでいるな・・・無理もないか、あこがれの父親を倒しておいて


 何もかもほっぽり出していなくなるって言っているんだからな・・・


 怒るのも当然だ、でもすまないジュリア、お前では俺には勝てない


 お前だけにはわかって欲しかったが・・・』


二人は薄暗く見ている者もいない修練場で対峙した、いつものように


低く構えるジュリアに対し大きく構えるライオス、いつもと違うのは


持っている剣が真剣であるという事と普段は左右にフットワークを使う


ジュリアが不動のまま前に重心をかけ初動の攻撃に賭けている事であった


その姿はまさに捨身、防御を考えず全てを一撃に賭け”ここから突きます”


と宣言している様であった、当然受けて立つ構えのライオス


しばらく両者動かず緊張感と沈黙が場を支配しベルフォードも思わず息を飲む


月明かりが窓から差し込み二人を照らす、幻想的な雰囲気を感じさせた月が


雲間に隠れ暗い修練場が更に暗くなったその時ジュリアが動いた


「イヤアァァァァーーー‼」


ジュリアの想いを乗せた剣が叫びとも取れる声と共にライオスに向って行く


その姿はもはや剣と一体化しているかのような凄まじい攻撃であった


その閃光の様な速さと鋭さに思わず目を見張るライオス


『速い、そして鋭い‼しかし俺には見える、いつものように


 いなしてから反撃を・・・』


ジュリアの剣激を己の剣で受けいなそうとした瞬間


ライオスが驚愕の表情を浮かべた、何と受けた剣が押されたのである


ジュリアの剣はライオスの剣を押しのけ顔面へと向って行く


咄嗟に首をひねりかわそうとするライオス、しかしジュリアの剣圧と速さに


完全には避けきれずライオスの頬を切り裂いた、血しぶきが宙に舞い上がり


渾身の攻撃がかわされたジュリアが無防備の状態で胴体をさらしている


ジュリアが振り向くとライオスはすでに剣を振りかぶっていた


そしてその顔は嬉しそうに笑っていた、ライオスが強者を相手にした時のみ


見せる顔、今までアインゼルにしか見せた事が無い顔を自分に見せて


くれたのだ、その瞬間ジュリアは幸せの絶頂であった


『あの顔を、私に見せてくれた、この私に・・・嬉しい


 もう死んでもいいほど幸せです、ライオス先輩


 どこまでも強くなってください、どこまでも高く


 大好きですライオス先輩・・・』


当初ジュリアを気絶させこの場を去ろうとしていたライオスであったが


ジュリアを強者と感じた瞬間、スイッチが入ったかのように本能のまま


相手を倒す為に動いてしまうライオス、もはやトランス状態で無防備の


ジュリアの背中に渾身の一撃を振り下ろすところであった


「止めろー‼」


叫んだのはベルフォードであった、暗い修練場に響くその叫び声に


ハッと我に返るライオス、しかしもうすでに剣を振り下ろしている途中であり


止める事は出来なかった、とっさに持ち手をひねり剣の刃の部分では無く


横腹の部分で打ちつける形となった


「ぐはっ!?」


刃の部分で斬られてはいないとはいえジュリアの小柄な体が無防備な状態で


ライオスの渾身の一撃を受けたのである、ジュリアの小さな体は床に


叩きつけられバウンドするかのように一度はずみ動かなくなった


我に返り剣を捨て思わずジュリアを抱き上げるライオスだったが


背中を持ちあげた瞬間、ぐちゃりと嫌な感触が手に伝わった


背中からあばら骨にかけてほとんどの骨が砕けており


ジュリアは完全に気を失っていた、その瞬間”ゴボッ”っとジュリアの口から


大量の吐血が噴き出してきた、おそらく内臓も相当損傷を受けていて


どこかが内臓破裂を起しているのであろう事はわかった


茫然としながらジュリアを見つめるライオス、その時ベルフォードが


ライオスから奪い取る様にジュリアの体を引き寄せ回復魔法をかける


「死ぬなジュリア、死ぬんじゃない、死んじゃだめだー‼」


訴えかける様に叫びながら必死で回復魔法をかける父親の姿を茫然と見つめる


ライオス、改めて先程のジュリアの背中の感触を確かめる様に自分の両手を


見つめた、ライオスの両手はジュリアの吐血で真っ赤に染まっており


自分の手がガタガタと小刻みに震えている事に初めて気が付いた


「俺は何て事を・・・俺はこの手でジュリアを・・・」


その時”ゴホッ”っとせき込むような声が聞こえた、振り向くとジュリアを


強く抱き締め震えているベルフォードの姿が見えた


「良かった・・・本当に良かった・・・」


その様子からジュリアの命が助かった事がわかった、最悪の事態だけは


避けられたことにホッとし、そして静かにその場を立ち去ろうと


背中を向けた時である


「待てライオス・・・」


声をかけて来たのはベルフォードであった、娘を抱き締めながら


そのまま去ろうとするライオスに声をかけたのだ、半分思考が停止している


状態のライオスはゆっくりと振り向いた


「すまない、そしてありがとうライオス・・・」


ライオスには意味がわからなかった、愛娘を殺しかけた男に礼など


どういうつもりなのだろうと、そしてベルフォードは話を続けた


「本来ジュリアが挑んだ勝負だ、殺されたって文句は言えない


 そして私は正統な決闘に水を差した・・・団長として剣士として


 失格だ、それでも一人の父親として・・・ありがとう娘を


 ジュリアを殺さないでくれて本当にありがとうライオス・・・」


ジュリアの小さな体を強く抱き締めながら絞り出す様に話すベルフォード


「何言っているんですか・・・わかってますか?俺はジュリアを


 殺しかけたんですよ、なんで礼を言われるんですか・・・


 頭おかしいですよ団長」


そう言って今度こそ立ち去ろうとするライオス、いたたまれなくなり


もうここにいられないという思いもあって早く立ち去りたかったのだ


そんなライオスを再び呼び止めた


「待てライオス・・・お前に頼みがある・・・」


もう考える事すら億劫なライオスはベルフォードの言葉に煩わしくすら感じ


気だるげに答えた


「何ですか?心配しなくても今日の事は誰にも言いませんし


 俺がいなくなった理由もあなたに挑んで敗れ追放されたとでも適当に


 言ってくれていいですから、団長の名誉に傷がつくような事は・・・」


その瞬間、その話を遮る様に声を荒げて言い放った


「そんな事ではない、私の事などどうでもよいわ‼」


その剣幕に少し驚き振り向くライオス、少し間を空けベルフォードが


再び口を開いた


「私の事ではない、ジュリアの事だ、お前に頼みたいのは・・・


 この子を、ジュリアをもらってやってはくれまいか?」


その信じられない発言に耳を疑うライオス


「何言っているんですか!?今さっきまで俺に近づけたくないから


 毒を使ってまで俺を遠ざけようとしていたんじゃないですか!?


 それに俺は女を幸せにできるような男じゃない、団長の言う通りですよ


 見たでしょ、俺はジュリアを殺しかけたんですよ、団長は自分が


 何を言っているのか本当にわかっているんですか!?」


今度はライオスが興奮気味に語りかけた、そんな苛立ち交じりの訴えも


冷静に受け答えるベルフォード


「私もそう思っていた・・・先ほどの戦いを見るまではな・・・」


「どういう意味ですか!?」


ベルフォードは唇をかみしめた、本意では無いがジュリアの為にと


自分の心を押し殺して話しはじめた


「先ほどの戦いを見てつくづく思った、この子がお前を思う気持ちは


 私が思っているより遥かに強く大きい、見ている私が不憫に思えるほど


 お前だけを見ている・・・お前に斬られる寸前、この子は私の知らない


 女の顔をしておった・・・そこまで思っているのならばせめて父親として


 この子の思いを遂げさせてやりたい・・・そう思ったのだ、もしお前も


 この子の事を嫌いでないのなら・・・」


「嫌いなわけないでしょうが‼」


ライオスは怒りをぶちまける様な口調で叫んだ


「嫌いな訳・・・ないじゃないですか・・・」


両拳を握り締め自分自身に怒りを感じながら話しはじめるライオス


「俺は、俺って奴は、殺そうとしたんですよ・・・ジュリアを


 惚れた女を殺そうと・・・そんな奴世界中探したってどこにもいません


 今の戦いを見ればわかったでしょ、俺の中にはどうしようもなく戦いを


 求める獣がいて、それが出て来ると制御が効かない、もしこのまま


 俺がジュリアのそばにいたらいつかジュリアを殺してしまう、この手で


 斬り殺してしまうんですよ、もしそうなったら俺は一生自分を許せない


 ジュリアは真っ直ぐだ、剣も心も真っ直ぐ、だから必ず本気になってしまう


 俺とジュリアは同じところを目指し同じものを求めている


 団長も言ったでしょ、俺達は自分より強い者を認めないお互いが


 剣の高みを目指すのであれば必ずどこかでぶつかる、団長が降りてしまった


 道をまだ歩いているんですよジュリアは・・・」


その言葉に反論は無かった、そしてしばらく沈黙が続いた後静かに問い掛けた


「ジュリアはどうだった?お前から見た剣士ジュリアはどう映った?」


「強かったですよ、俺が今まで戦った誰よりも強かった・・・」


再び背中を向け今度こそ立ち去ろうとするライオス修練場の入口で


不意に立ち止まり独り言のようにつぶやいた


「思う想いは重く・・・か・・・」


そして再び振り向きベルフォードに話しかけた


「ジュリアが目を覚ましたら一言だけ伝言頼めますか!?」


「わかった、どんな事だ?」


「お前の最後の攻撃、凄かった・・・いや重かったと」


ベルフォードは力強くうなづく


「わかった、必ず伝えよう」


フッと笑い立ち去ろうとするライオスに背中から問いかけた


「それでお前はこれからどうするつもりだ?」


「決まっているでしょ、強い奴を探し戦いを挑みぶちのめす


 剣の高みを目指し最強の一文字を追い求める、それだけですよ」


「だがお前と戦える人間などもうおらんだろう・・・私の全盛期の時でも


 私と互角に戦える人間など”光の英雄”と呼ばれたメッサー・オルランド


 だけだった、そのオルランドも故人となり全盛期の私より強いお前の


 相手になる人間はおそらくもういない、お前は強くなりすぎたんだ」


その忠告とも取れる言葉に再びフッと笑うライオス


「別に強い奴は人間だけとは限らないでしょ・・・」


ハッと何かに気付いたベルフォードは驚きの表情を見せる


「まさかお前、ブランデルウッドの魔獣と・・・」


ライオスは何も答えず悲しげに笑った


「やはりやるつもりか魔獣と!?・・・いやお前その顔は・・・


 まさか魔王ともやるつもりか!?」


ライオスは何も答えなかった、しかしその表情が全てを物語っていた


ベルフォードは思い詰めた様に目を閉じ厳しい表情を浮かべていたが


不意に両目を開くと身に着けていた腰の剣を取り外しライオスに投げた


「こ、これは!?」


「その剣は私が聖騎士団の結成時に国王様から頂いた我が国の国宝


 ”バーニングソウル”だ相手を斬れば斬る程その生命力を吸収し


 威力を増す修羅の剣、今の私が持っていても宝の持ち腐れだ


 お前が持っていてこそその剣も本望だろう、餞別だ持って行け」


ライオスはペコリと軽く頭を下げそのまま修練場を後にした。




修練場を出たライオスはそのままブランデルウッドの森に向った


森の奥へと進んで行きそこでたき火をしながらジッと待っていた


揺れる炎が赤くライオスを照らし月明かりの消えた暗い森の中でその存在を


アピールしているかのようだった、ブランデルウッドの魔獣こと


ジャベリンタイガーは縄張り意識が強く基本的には夜行性である


だから夜の森に入りたき火をするなんて事は本来であれば自殺行為


そのものである、無表情でたき火の炎をジッと見つめる事10分


再び雲間から月が顔を出した時、低い唸り声と共にその魔獣は現れた


自分のテリトリーに侵入したよそ者に殺意を向け赤く光る瞳で


その獲物を敵視する、魔獣はすでに戦闘態勢に入っていた


「待ちくたびれたぜ魔獣さんよ、俺は今日滅茶苦茶ムカついてるんだわ


 悪いが俺の八つ当たりに付き合ってくれや」


そう言って嬉しそうにペロリと舌を出し腰の剣に手をかけた


それを合図に二匹の獣による壮絶な戦いが始まった、たき火の炎は


すでに消え雲間から覗いている月だけが両者の戦いを見守っていた


凄まじい戦闘はしばらく続いた、傷だらけになりながらも致命傷を負わずに


ライオスを睨みつけ唸り声を上げるブランデルウッドの魔獣に対し


傷は負っていないものの体力の限界に近づいているライオス


「ハアハアハア どうした魔獣、それでおしまいか!?


 そろそろこっちも限界近い、名残惜しいが決着と行こうか‼」


言葉が通じるはずもないのだがブランデルウッドの魔獣はその言葉に


応える様にライオスと同時に仕掛ける、ライオスは魔獣に親近感すら


覚え始めていた、両者残りの力を振り絞って二匹の獣が激突した


まるで生と死の交錯する接点に向う様に、そしてそれが運命であるかのように






次の日の朝、メイラード城はまだ朝靄に包まれていた、この日の当番の兵が


城門に向って自分の両肩を抱きかかえるように身をすくめながら歩いていた


「う~~寒い、こんな寒い日の朝の門番当番なんかほとんど罰ゲームだ

 

 な・・・ん?なんだあれ!?」


朝靄で見えにくくなっているが城門の所に何かある事に気が付いた門番兵


目を凝らしながら近づきその物体を確認すると表情が急変し叫び声を上げた




その頃医務室ではベッドに横になっていたジュリアが目を覚ました


医療用のパジャマを身に着け頭には包帯が巻かれていた、ふと横を見ると


父であるベルフォードが愛しげな眼差しで自分を見つめていた


「ようやく気が付いたか、回復魔法を施しておいたから命には別状ないが


 あれ程の怪我をしたんだ、念の為に神官にも見てもらう事にした


 もうすぐ来るはずだ」


まだ少しボーっとする頭の中でようやく状況を理解し始めるジュリア


ベッドの上で上半身の身を起しジッと父を見つめて問い掛けた


「ライオス先輩は?」


その質問に目を閉じ静かに答えるベルフォード


「昨夜の内に出て行った・・・」


「そうですか・・・」


寂しそうにうつむくジュリア、そんな娘の姿をいたたまれなく感じる


「ライオスからお前に伝言を預かっている」


驚くような表情で振り向くジュリア、両目を大きく見開き父親の顔を凝視した


「お前の最後の攻撃は凄かった・・・いや重かったと・・・」


その言葉を聞きうつむきながら両手を胸に当て嬉しそうにつぶやく


「そうですか・・・」


そして目を閉じ噛み締める様にもう一度つぶやいた


「そうですか・・・」


ベルフォードは何も言えなかった、その時一人の兵が慌てて部屋に入って来た


「大変ですベルフォード様、城門に・・・すぐに城門に来てください‼」


ジュリアとベルフォードは何事かと顔を見合わせそのままの格好で


急ぎ城門へと向かう、するとそこにはすでに人だかりができていて


騒がしいほどにざわついていた、二人は人ごみをかき分ける様に


中に入って行き騒ぎの元凶を確認した


「こ、これは!?・・・」


そこで二人が見たものは魔獣だと思われるジャベリンタイガー


の首であった、城門前に生首だけが捨ててある様に置いてあったのだが


その首の部分だけでも無数の真新しい傷が刻まれており、熾烈な死闘が


繰り広げられたと事は想像に難く無かった、、、そこに集まった民衆達は


色々な想像を働かせ口々に勝手な憶測を繰り広げていた


「魔獣を倒すなんて聖騎士団がやったんじゃないの!?」


「いや聖騎士隊が動いたなんて話聞いてないぞ」


「伝説の勇者様がやったんじゃない、我々庶民の為に」


「そんなおとぎ話じゃあるまいしあり得ないよ」


「じゃあ我が国が誇る英雄“覇剣鬼”様が倒してくださったとか!?」


誰もが想像の翼を働かせ好き勝手なフィクションを語り合った


しかしベルフォードとジュリアだけはこれが誰の仕業なのか


一目でわかった、ポカンと口を開け唖然とするベルフォードに


嬉しそうに魔獣の首を見つめるジュリア、そしてやさしくつぶやいた


「ライオス先輩、あなたはどこまで行ってしまうのですか!?・・・」


こうしてベルドルア聖王国の国民を恐怖のどん底に陥れた


ブランデルウッドの魔獣の引き起こした惨劇は正体不明の


何者かによって退治され幕を閉じたのである





それから数ヶ月後ライオスはゲルデンドという町に来ていた


そこは賞金稼ぎや、傭兵、用心棒などを生業としている人間が


スカウトしたりされたりする組合があり、腕っぷし自慢の荒くれ者


が集まる事で有名な町である、当然治安も悪く喧嘩などの争い事も


絶えない物騒な場所である、そんな所でライオスは一人食事をしていた


お世辞にも広くて綺麗なレストランとは言えない場末の小汚い食堂と


いった感じの店である、しかし安価でバリュームのあるメニューが


揃っているのでこの町に来る荒くれ者達に評判が良く、いつも


満員状態で盛況なのだ、しかしライオスがこの店に来たのはそんな食事が


目当てだからでは無かった、こういった店では客同士の何気ない会話から


色々な情報が得られるからである、魔獣を倒したライオスの次の狙いは


魔王“アドギラルロック”である、しかしさすがのライオスも一人で


魔王を倒せるとは思っておらず、自分の仲間となれる人物を探して


この町に来たのだ、この町に来て一ヶ月もすればライオスの強さは


町でも評判になり“是非ウチのメンバーに”という誘いも数え切れない


ほどあった、しかしその度にある条件をつけた、それは


“俺と戦って納得させられる強さがあれば仲間や部下になってもいいぜ”


というものである、しかし当然のことながらライオスを満足させられる


強さの者などいるはずもなく、ここしばらくはその勧誘すら途絶えていた


そんな時、食事をしているライオスの前の席に二人の屈強そうな男が


談笑しながら入って来た、なにやら楽しげに話す内容が自然と


ライオスの耳に入って来る


「おい聞いたか、あのベルドルア聖王国の英雄ベルフォードが


ついに引退するんだってよ!?」


「へえ〜あの“覇剣鬼”と呼ばれた英雄も年には勝てないってことか!?」


「みたいだな、それで後任には副団長を務めていた愛弟子が就任


するらしい、しかもベルフォードの娘と結婚するってよ!?


そのベルフォードの娘ってのがめちゃくちゃ美人らしいぜ!?」


「かああ〜〜 地位に名誉に美女か!?なんとも羨ましい話だな


俺もベルドルアの聖騎士団に入れば良かったぜ!?」


「バカ言え、お前が入れるくらいなら俺でも入ってるっての


あそこは剣の天才と言われた奴達が全国から集まって来て


その中でも一握りの人間しか入れないっていう聖域みたいなものだ


俺達じゃ逆立ちしても無理だぜ」


「しゃあねえ、俺達は用心棒で稼いだ金でまた酒場の姉ちゃんの


ケツでも追っかけるか・・・それにしても強さと美女か


男としてその二つがあれば最高だよな!?」


「違げえねえ ハッハッハ」


そんなことを話しながら笑う二人の会話を聞いてフッと笑うライオス


その表情はとても優しく嬉しそうだった


食事を終え店を出たライオスの前に四人組の男女が現れた


男女二人づつのメンバーで先頭の若い男が微笑みながら近づいて来て


ライオスに話しかけて来た


「ルース・ライオスさんですね!?初めまして私はアドリアン・ルキア


と申します、後ろの三人は私の仲間、ステイメン、ゾフィ、フリニオーラ


という者です、単刀直入に言います、魔王“アドギラルロック”を倒し


人々に平和を取り戻す為、あなたの力を貸してください」


何の迷いもなく真っ直ぐ見つめるルキアの瞳に不思議な魅力を感じた


ライオスは躊躇なく即答する


「ああいいぜ、俺も魔王の野郎をぶっ倒したいと思ってたからな」


その言葉にルキアを始めメンバーの表情が明るくなる


「ありがとうライオスさん、これからよろしく頼む」


嬉しそうに微笑みながら右手を差し出した、しかしその差し出された


右手を力一杯握り返すライオス、思わずルキアの顔が歪む


「ライオスでいいぜ、メンバーになるのはこっちからも望むところ


だし何の不満もない、だけどな・・・」


その時ライオスの目がギラリとルキアを見つめた


「あんた強いだろ、一目見てすぐわかったぜ、模擬戦でも真剣でも


構わない、俺と勝負しろ、俺を満足させてくれ、それだけが


メンバー入りの条件と思ってくれていい」


その提案にルキアは躊躇なくうなづいた、その後他のメンバー達が


呆れるほどの凄まじい戦いを繰り広げたルキアとライオス


こうしてルキア達に五人目のメンバーが加わった。


 






 




お久しぶりです、6話と長くなってしまったライオス編の最終章ですいかがだったでしょうか?

本当は水曜日にアップしたかったのですが今週は個人的に色々あり投降が遅れてしまいました、

申し訳ありません、今回のヒロイン ジュリアですがこの後も再び登場予定をしております

(かなり後の話の予定ですが・・・)それまで覚えていてくれると嬉しいです

さて次話より本編に戻ります、内容は”比叡山焼き討ち”編です、やや重い話になるかもしれないので

懲りずにおつきあいいただけると嬉しいです、では。

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