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外伝 花とスフレと少女の想いと

登場人物


ロット・ステイメン…三十半ばにして教団最高峰の魔法である”死者蘇生”を独学で

習得し使いこなす天才僧侶。

ルブレット・ソフィア…両親を魔族に殺され、自分も危なかったところをステイメンに

救われ、それ以来ステイメンに思いを寄せている12歳の美少女

パラヒィン・ケブラハム…聖教神師団という世界最大を誇る宗教団体の総大司教にして

最高指導者、規律に厳しく独自の考えで勝手に行動するステイメンを良く思っていない

べストア・デルフィン…聖教神師団の幹部で司教、実働部隊の総司令官の役目も

担っておりケブラハムを尊敬している為、ステイメンの事を良く思っていない

コービン・ハウエル…ステイメンの同僚で親友、非常に腕が立ち心優しい男だが

何かとステイメンを庇うのでいつもとばっちりを受けている

レイジャモ…魔王軍幹部、いつも牛の様な魔獣に跨っていて強力な病原菌を操る


魔族達がサムス村を襲いステイメン達が


それを撃退してから一晩が過ぎた


今回の指揮官である


デルフィン司教を始めとして


僧侶たちは引き続きサムス村に残り


様々な問題に対処していた、しかし


村の被害は甚大で各所では復旧活動が


おこなわれていたが人手も足りない上に


怪我人、病人が多くむしろそちらの方に


人手を取られ物理的な対処はほとんど


手が付けられない事態となっていた


そしてさらに追い打ちをかける様に


大きな問題が発生した


「大変ですデルフィン様


 昨日のレイジャモとかいう


 魔族が放った病原菌は


 我々の治癒魔法では対応できず


 更に他の者にも二次感染を


 引き起こし被害が拡大して


 おります・・・


 いかがなさいましょうか?」


「何だと、まことかそれは!?」


その兵の報告に驚愕の表情を浮かべる


デルフィン


横で聞いていた補佐官が厳しい顔で


考えながらその兵に問いかけた


「で、今病原菌に感染した者達は


 どうなっている?」


「はい、これ以上の二次感染を


 防ぐため一時、別の場所へと


 隔離しております、ハウエル様と


 ステイメン様がそれらの病人を


 診ながら現在病原菌の対処法を


 検討中です」


ステイメンの名を聞いていっそう


厳しい表情を浮かべるデルフィン


その時、補佐官が諭す様に助言する


「デルフィン様、ステイメンに


 思うところはございましょうが


 今は緊急事態です、あの者ならば


 解決法を見つけるかもしれません


 ですから・・・」


補佐官を睨みつけるように


厳しい視線を向け


強い口調で言い放つデルフィン


「そんな事わかっておるわ‼


 しかしお主も見たであろう


 昨晩のあ奴の戦い方を!?


 神聖なる力をあのような


 方法で使うとは!?


 あの所業は女神様への冒涜だ


 決して認められるモノでは


 ない‼」


声を荒げ興奮気味にまくしたてる


デルフィン、それを聞いた後


軽くうなづき、落ち着くまで


少し間を置き再び口を開く補佐官


「デルフィン様のおっしゃることは


 まことに正論であります、私も


 昨晩のステイメンには驚きました


 しかしステイメンがいなければ


 昨晩この村は全滅していたかも


 しれぬのです、そういった事を


 踏まえますとひとえに悪逆な


 所業と切り捨てるのはどうかと


 ・・・」


その言葉を聞きさらに物凄い形相で


補佐官を睨みつけるデルフィン


「ならばお主はステイメンの


 あのやり方を認めると


 いうのか!?あの女神様をも


 恐れぬ非道な所業を!?」


その質問には首を振る補佐官


「いえ認めはしません


 しかし非道な所業とは


 どうしても思えません


 正しくありませんが


 間違ってもいない


 そう言いたいだけであります」


キッパリとそう言い切る補佐官


その毅然とした態度が更に


デルフィンをイラつかせた


これまでは自分の言う事には


忠実なイエスマンだった


この男がステイメンの影響で


これほどの主張をするように


なってしまったのである


デルフィンの頭の中では


”やはりステイメンは危険分子である”


という認識を改めて強めると共に


”早速帰ったら大司教様に報告せねば”


と意思を強くするデルフィンだった



その頃ステイメンとハウエルは


病原菌に犯された兵を診ながら


二人で話していた


「どう思うステイメン?」


「やっかいですねぇ・・・


 通常の病気や魔法による


 病ならば回復魔法で


 治す事が出来ますが


 これは回復魔法に対して


 耐性を持った新種の


 病原ウイルスの様です」


「それは厄介だな・・・


 じゃあ病原菌ウイルスが


 体内のどこに感染したかを


 特定し個別に対処して


 いかなければならない


 という訳か!?」


「ええ、しかもこの


 病原菌ウイルスは


 感染力が高く体内の


 所々に転移する上に


 空気感染で人にも


 広がりやすい、そして


 恐ろしく凶悪です


 呼吸器系に感染すれば


 呼吸困難を起しますし


 心臓に感染すれば


 心臓麻痺をも引き起し


 肺に感染すれば肺炎を


 発症します・・・」


「つまり感染したら最後


 確実に死に至るという


 という訳か・・・


 全くとんでもない物を


 バラ撒きやがって


 クソッ‼」


「あまり抵抗力の無い


 お年寄りや子供であれば


 早ければ半日で死に至る


 でしょう・・・」


「じゃあ急いで治療しなければ


 患者が危ない、急ぐぞ


 ステイメン‼」


「そうですね


 急ぎましょう‼」


二人は急いで病原菌に感染した患者を


治療にかかった、そして全ての患者の


治療を終了し寄宿舎に帰って来たのは


寄宿舎を出てから四日後の事だった


「お帰りなさいませ


 ステイメン様・・・


 本当にお疲れ様でした」


いつもの様にソフィアが迎えてくれた


しかし普段の様な明るい出迎えでは無く


悲壮感漂う悲しげな表情でステイメンを


見あげているソフィア


「やあソフィア、ただいま


 遅くなっちゃったね・・・


 ここのところずっと


 寝てないんだ、まずは


 寝かせてくれ」


コクリとうなづきステイメンが


手に持っていた荷物を静かに


受け取るソフィア


「あれほど無理をなさらずに


 といったのに・・・」


「すまない、でも困っている


 人が大勢いたからね・・・」


ヤレヤレとばかりにため息をつく


ソフィア、その表情にも少し元気が


出てきた様で少し笑顔が見れて


嬉しく思うステイメン


「そうだソフィア・・・


 たまたま帰り道でこれを


 見つけてね、君にと思って」


そう言ってカバンから


一輪の花を差し出した


「ステイメン様!?


 これを・・・これを私に


 くださるのですか!?」


目を丸くし大袈裟と思える程


驚くソフィア、そのあまりの


仰天ぶりに逆に驚いてしまう


ステイメン


「え、ええ・・・でも


 たまたま道で見つけた


 だけの花ですよ!?」


「ありがとうございます


 本当に・・・ありがとう


 嬉しいです‼」


花を両手で抱き締め


感激しているソフィア


逆に花ぐらいでそれ程


喜んでくれるのか!?


とやや違和感を感じながらも


素直に嬉しく思ったステイメン


そこにハウエルが部屋に入って来た


「お~いステイメン


 起きてるか?


 帰ってきて早々だが


 大司教様がお呼びだそうだ


 全く人使い荒いぜ・・・ん


 どうしたんだソフィア?」


ソフィアはステイメンの横で


感激で少し震えていたからだ


「ハウエル様、実は


 ステイメン様が


 これを私にと・・」


ソフィアはもらった花をハウエルに


見せつける様に差し出した


「それでは失礼します‼」


そう言ってハウエルにも頭を下げ


足早に部屋を出て行ったソフィア


来た時とは打って変わって


嬉しそうに走り去る背中が


とても印象的だった


「おい、ステイメンあの花は!?」


驚いてステイメンの方を見るハウエル


「帰り道に咲いていて


 とてもいい香りだったもの


 ですから・・・あの花が


 どうかしましたか?」 


ハウエルは呆れる様に


ため息をついて語り始めた


「あのな、よく聞けステイメン


 あの花はなアングレカム


 といって色々意味が・・・


 まあいいか、何でもねーよ」


不思議そうにハウエルを


見つめるステイメン


「何ですか、途中で止められたら


 気になるじゃないですか!?


 教えてください‼」


「悔しいから教えねーよ


 知りたければ自分で調べろ


 この唐変木《とうへんぼく》‼」


「えらい言われ様ですが


 そろそろ総大司教様の所へ


 行かなければいけませんしね」


諦めて立ち上がるステイメン


そんなステイメンを見て


フッと笑うハウエル


『他国から来たお前は知らない


 だろうが、あのアングレカム


 の花言葉は


 ”ずっとあなたと一緒です”


 という意味でな、この国


 ではプロポーズの際に


 渡す花なんだよ・・・』


そんな事とは露知らず


大司教ケブラハムの待つ大聖堂へ


向かうステイメンだった。






聖教神師団の本部の建物の最深部に


あるのが大聖堂である、その奥には


総大司教しか閲覧できない数々の魔道書が


存在し”世界の深淵を覗ける場所”とまで


言われていた、この聖教神師団に所属する


500人の僧侶が全て入り礼拝することが


可能な広々とした専用空間である


正面には三人の巨大な女神像が奉られており


右から 心理の女神ファルム


    慈愛の女神ミューゼ


    規律の女神ドラーヒム


の順で並んでいる、その三女神の像の前で


聖教神師団の幹部達が横並びで待っていた


「これはこれは皆さんお揃いで


 遅くなりまして大変


 申し訳ありませんでした」


到着早々ステイメンが幹部連中に


声をかける、その軽口にも感じる


言葉遣いに幹部の一人が苛立つ


様に語気を強めて言い放つ


「おのれは総大司教様を



 待たせるという無礼を


 犯しておきながら


 なんだその態度は!?」


それを制するように口を開く


総大司教ケブラハム


「そんな事はよい、今回の


 サムス村の件ご苦労だったな


 ハウエル、ステイメン


 帰ってきた早々ここに来て


 もらったのは他でもない


 今後我らの方針の決定事項を


 伝えようと思ってな・・・」


その言葉に違和感を感じ


ハウエルの目つきが鋭く変る


「総大司教様自ら我らの様な


 ヒラ司祭に伝達事項とは!?


 いつもの様に回覧で連絡


 いただければ良かったですのに


 何故ワザワザの御呼び出しですか?」


少し含みのあるその言い方に


ざわつく幹部連、しかし逆に


余裕の表情を見せニヤリと笑う


ケブラハム


「お主達の様に人々の為に日々


 働いている者達への感謝も込めて


 私自ら声をかけるのは当然の事


 それにどういう訳か、最近規律を


 守らない不届き者がおるようでな


 もしかしたら回覧では不十分で 


 ちゃんと伝達されていないのでは?


 と思ってな、ワザワザお主達に


 来てもらったという訳じゃ」


その言葉にニヤつく幹部連


逆に馬鹿馬鹿しいとばかりに


軽くため息をつくステイメン


「で、どのような


 決定事項なのですか?」


ステイメンの質問に対し真剣な表情に


変り重い口調で話しはじめるケブラハム


「此度の件で魔王軍幹部を名乗る


 レイジャモとかいう魔族が


 まき散らした病原菌の事じゃ


 あの病原菌は魔法耐性を持ち


 非常に凶悪な病原ウイルスと


 聞いておるが相違ないな」


「はい間違いありません」


質問の内容が内容だけに


双方真剣な表情で会話を続けた


「それでじゃ、この病原菌に


 対処できる人材が少ない


 という点、そして対処


 できたとしてもかなりの


 時間と体力を要するという点


 そして対応した人間に対し


 二次感染が引き起される


 危険性がある点を踏まえて


 我々が出した結論は・・・」


その次の言葉にステイメンたちは


耳を疑った


「病原菌に感染した一般の者


 に対し我々は一切関わらない


 という事に決定した」


それを聞いたステイメンとハウエルは


一瞬頭が理解できない程驚き唖然と


してしまう、目を大きく見開き


信じられないといった表情で


ゆっくり首を振った


「何を言っているのですか


 アナタは・・・民の苦しみを


 助け救うのが我々の役目では


 ないですか!?いくら


 危険で困難な事態だといえど


 救うべき人々を見捨てるなど


 本末転倒であり言語道断と


 言わざるを得ません


 お考え直し下さい総大司教様‼」


総大司教ケブラハムの横の幹部連が


一斉に反論する


「総大司教様とて苦渋の決断


 なのだ、それを貴様ごとき


 司祭の分際で恐れ多いわ‼」


「その通りじゃ、貴様は


 少しできるからといって


 思い上がるのも大概にせい‼」


「お前はどの立場でものを


 言うておるのだ黙らんか‼」


幹部連の反論を一括するかのように


強い口調で言い返すステイメン


「黙りません‼苦しむ人を


 見捨てるなど人の道に


 反します・・・


 とても三女神様を信奉する


 人の言葉とは思えません


 申し訳ありませんが


 その決定には従いかねます‼」


怒り交じりの様な言葉を吐き捨てる様に


言い放ちクルリと背中を向け踵を返すと


そのままその場を立ち去ろうとするステイメン


「待てステイメン‼」


ケブラハムが声をかけて来た


「お主の気持ちも


 わからんでは無い


 しかし考えてもみよ


 病原菌に感染した者を


 治そうとしてその者自体が


 二次感染してしまった時


 それに対応する人間が


 最初の二倍必要になる


 そして悲しいが我ら僧侶の


 人数も体力も無限ではない


 その感染者に関わっていると


 他のけが人や病人を診る事が


 できなくなる、結果感染者を


 見捨てた場合の方が遥かに


 多くの人間を救う事ができるのだ


 そんな簡単な理屈わからない


 お主ではあるまい」


総大司教ケブラハムの言い分にも


一理あった、しかしどうしても


納得はできなかった


「人の命というのは単純な


 数の論理で計れるもの


 ではありません・・・


 助けを求める者がいれば


 それに手を差し伸べ救うのが


 僧侶の、いえ人の道では


 無いでしょうか!?」


背中を向けながら震える声で


総大司教に反論するステイメン


「いや違う、全てを救える


 などと思うこと自体驕りだ


 どうしても全員を救えないと


 判断した時、なるべく多くの


 人間を救う事こそ我らが役目


 人間は何の制限も無く生きて


 いけば必ず堕落する


 規律を守り、常に最良を選択


 していく事こそ我らが使命


 それこそ我らが崇拝し


 最高神の一人であられる


 規律の女神ドラーヒム様の


 教えではないか!?」


「私の考えは違います


 全員を救えないなどと判断する事


 自体が間違いなのです


 とにかく目の前で苦しんでいる


 人を助ける、誰がとかどれだけ


 では無く全てのモノを慈しみ


 慈愛を持って接する、それこそ


 我らが崇拝し最高神の一人で


 あられる慈愛の女神ミューゼ様の


 教えではないでしょうか!?」


二人の意見は真っ向から対立した


この二人が根本的に合わないのは


これが原因と言っても良かった


今までひたすら生真面目に規律正しく


生きて来て愚直なまでに敬虔に信仰


してきたケブラハムは三女神の中でも


特に規律の女神ドラーヒムに


感銘を受けていた、それに対し


自分の思いと良心に従い全てのモノに


慈愛を持って生きてきた


ステイメンにとっては


慈愛の女神ミューゼにこそ一番の


感銘を受けていたからである


結局二人の主張は平行線に終り


そのまま解散となる


次の日からステイメンには


過酷な任務が与えられた


普段なら二人でおこなう様な


仕事の量を一人で任される事となる


これは明らかな思惑があり


勝手に病原菌に感染した者への


治療に向えないようにとの


総大司教達の意図が感じられた


しかしステイメンは与えられた


任務をこなしながらも各村の


病原菌感染者を治療して回っていた


休憩も取らず睡眠時間もそこそこに


それこそ朝から晩まで人々の為に働いた


そんな毎日が続きその日も夜遅くになり


クタクタになって帰って来ると


いつもの様にソフィアが迎えてくれた


「お帰りなさいませステイメン様


 今日も一日ご苦労様でした」


ペコリと頭を下げいつもの様に


一杯の水とタオルを持ってきてくれた


しかし部屋の様子が何かいつもと違う


事に気づくステイメン


「おや?何やら机の上に色々置いて


 ありますね、一体なんですか?」


ソフィアがニコリと笑いその問いに答えた


「ステイメン様が今日中に


 帰って来てくれて本当に

 

 良かったです、時間的には


 ギリギリですが・・・


 今日はお祝いの為に色々


 用意したのですよ!?」


よく見ると机の上には


手作りの料理やデザートが


綺麗に並んでいたのだ


どうだと言わんばかりの


得意げな表情でステイメンの


顔を覗き込むソフィア


「これは一体・・・?」


不思議そうな表情でマジマジと


机の上を見つめるステイメン


「私からのサプライズです


 やはりお祝いはその日の内に


 やっておきたいですからね!?」


嬉しそうに話すソフィアに


思わず問いかけるステイメン


「お祝いとは・・・あなたに


 初潮でも来たんですか


 ソフィア?」


そのあまりな質問に顔を真っ赤にして


絶句するソフィア、そしてその優しかった


眼差しは一変しステイメンを睨みつける


ように見つめると、両手を腰に当て


先程までとは違う厳しい口調で


説教を始めた


「ステイメン様はどうしてそんなに


 デリカシーが無いのですか!?


 凄く頭がいいのになぜレディーに


 対して言っていい事と悪い事の


 区別がつかないんですか‼」


急に態度が変わり怒りはじめるソフィアに対し


なぜ怒られているのかもわからず


キョトンとした顔で見つめるステイメン


「いやでも初潮というのは


 女性にとって・・・」


再び話しはじめるステイメンに対し


「もうその話はいいです‼」


強い口調で強引に一括し


話を打ち切らせるソフィア


思わず大きなため息をついた後


ボソリとつぶやく


「だからステイメン様は


 女性達に人気が無いのですよ


 ・・・まぁ私にしてみれば


 ライバルが減ってくれるのは


 いい事ですけど皆に誤解された


 ままというのはあまり気分の


 いいモノではありませんし


 ・・・」


ブツブツ言いながら複雑な


気持ちのソフィア、そんな事とは


露知らずのんきな声で聞き直すステイメン


「えっ!?なんですか?


 よく聞こえませんが?」


「何でもありません‼」


再び呆れ気味に言い放つソフィア


ステイメンにとっては何が何だか


さっぱりわからずヤレヤレと


ばかりに首を振る


「今日はステイメン様の


 誕生日ではないですか!?


 だから私が出来る限りの


 精いっぱいのおもてなしを


 したんですよ!?」


思わず”あっ”と声をあげるステイメン


「そうでした、自分でも忘れていましたが


 よく覚えていましたねソフィア?」


エッヘンとばかりに胸を張るソフィア


「これは私が作ったペンダントです


 あまり上手くできませんでしたが


 どうしてもあの花のお礼がしたくて」


それはあの花と同じ白い花を模った


ペンダントだった、確かにあまり


いい出来とは言えなかったが


嬉しそうにそれを受け取るステイメン


「ありがとうソフィア


 大事にするよ」


その言葉に満面の笑みを浮かべるソフィア


「それとこれは私が作った料理です


 ペンダントよりは上手く


 できたと思いますから


 どうぞ食べてくださいな


 私、頑張ったんですから」


「そうですか、ありがとう


 ソフィア、では早速


 いただきます」


昼から何も食べていないステイメンは


空腹もあってか机の上の料理をどんどん


平らげていく、それを嬉しそうに見つめる


ソフィア


「いや~ソフィアは


 本当に料理が上手ですね


 きっとあなたはいい


 お嫁さんになれますよ!?」


その言葉を聞き顔を赤らめながら


両手を頬に当て恥ずかしそうに


つぶやくソフィア


「最近グイグイ来ますね


 ステイメン様・・・


 そんなに猛アピール


 しなくても私の心は・・・」


そんなソフィアのつぶやきなど


聞こえているはずも無く、料理を


食べ終わったステイメンは最後に


デザートに手を伸ばし口に運ぶと


驚きの表情を見せた


「ソフィア、このスフレ・・・


 メチャクチャおいしい


 じゃないですか!?


 舌触り、口どけ、上品な甘さ


 フワフワ感、どれをとっても


 高級店レベル・・・というか


 これほどの物は早々


 ありませんよ!?」


ステイメンの大絶賛の言葉に対し


大喜びするのかと思いきや


少し表情が曇るソフィア


「このスフレは母に習ったんです


 でも最終的には私の方が美味く


 できるようになって・・・


 私がこれを作ると父も母も


 おいしいおいしいって・・・」


ソフィアの目からポロポロと


涙がこぼれ落ちる、両親が


魔族に殺されてからまだ一年足らず


急に家族の事を思い出し感極まる


ソフィア


「ごめんなさい・・・


 せっかくのお祝いなのに


 御免なさいステイメン様


 私・・・私・・・」


我慢しようとすればするほど


止まらない涙、ソフィアは


そんな自分に腹を立てていると


そっと頭を抱いて優しく


語りかけるステイメン


「辛い事を思い出させて


 しまいましたね・・・


 でも悲しいときには


 泣けばいいのです・・・


 それは貴方の心の中の


 大切なモノなのですから


 ・・・


 お母さんやお父さんの


 為にも泣いてあげてください」


その言葉にソフィアの感情は


爆発し涙腺は崩壊した


ステイメンに抱きつき


ワアワアと泣きじゃくった


今まで気丈に振る舞い


しっかりしている様に見えるが


まだ十二歳の女の子なのだ


周りにも魔族によって家族を


殺された子供たちが大勢いて


それを支えるために


ステイメンたちはそれこそ


わが身を犠牲にして頑張って


いるのである、ソフィアは


それを知っているからこそ


自分がメソメソしていては


皆に申し訳が立たないと


思い決して人前では


悲しい顔を見せなかった


それゆえに爆発した感情は


どうにも抑えられず


溢れる涙が止まらなかった


「わあぁぁぁ~~お母さん


 お父さん~~~あああぁぁぁ~」


ソフィアのサプライズパーティーは


思惑とは少し違い重いモノになって


しまったがステイメンの事を更に


好きになれたという事だけが幸いした


悲しいバースデーパーティーとなった






 

ステイメン編の2部でしたがいかがだったでしょうか?

私は持論として”誰がみても悪人”なんて人物など存在しない

という屁のツッパリを持っておりまして(笑)ここに出てくる

総大司教ケブラハムという人物の考え方はむしろ私の考えに近い

ものであります(話の中では完全な悪役ですが・・・)

ですからこの作品自体、勧善懲悪とは言えない微妙なモノに

なっている事も否めませんが、私のおかしなこだわりに

もう少しおつきあいいただけると幸いです、では。


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