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14年目の決意 (1)

「わたくし、決めましたっ。そろそろ陛下とお別れする準備をはじめることにします。」


 新たな決意を込め力強く宣言すると、幼いころからわたくしについている侍女のファティマが驚いたようにこちらを見てくる。


「エルフリーデ様、突然何事ですか? 」


「あなたもわかっているでしょう? わたくしはもう陛下の求める王妃としての仕事を終えているのです。陛下のことは嫌いではありませんが、わたくしは嫌われているとわかっていて傍に居続けることはもう耐えられないのです。」


「エルフリーデ様、そのようなことは___。」


「いいえ、わたくしが陛下に疎まれていることはこの城に住む者なら誰もが知っていることです。なぜなら、陛下はもうわたくしと共に過ごして下さることはほとんどないのだもの_。」


 そう、メーア国王妃であるわたくし、エルフリーデ・ルル・メーアは夫であるこの国の国王陛下とはすでに冷めきった関係である。結婚して15年目、生み育てた王太子も来年で15歳となり成人を迎えることになる。


「王太子ももう立派に育ち、来年には成人の儀を迎えます。陛下には寵愛を与えておられる側室の方々もおられますし、わたくしもそろそろ自由になりたいのです。 あなたならわかってくれるでしょう、ファティ?」


「エルフリーデ様っ...。」 


「...、そう、ですわね。 エルフィ様には幸せになっていただきたいと私も思っております。

 それで、エルフィ様はどうされたいとお考えなのですか? 私にお聞かせくださいな。」


「ありがとう、ファティ。」


 ファティはわたくしの手を取って優しいまなざしで見つめてくる。彼女はいつでもわたくしを支えてくれる姉のような頼れる存在である。彼女と守るべき息子がいてくれたからこそ今までこの国の王妃という立場をしっかりと務めることができたのだ。


「わたくし、陛下と離縁したいのです。そして静かに暮らしていきたいのです。」


「しかし、王妃であるエルフィ様がそんなに簡単に陛下と離縁することができるでしょうか? ご実家の公爵家にはどのように伝えるのです?」


「それは大丈夫よ。ファティは覚えているかしら、わたくしが王太子を生んだ日のことを。」


 そう、わたくしの願いを叶えるための約束...。わたくしが陛下と離縁を決意した日の出来事___。

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