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お隣は魔王家  作者: kaji
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第六話「可憐vs美空(後編)」

 渡軍団対魔王軍団のサバイバルゲームがスタートした。開始早々、美咲は一階渡り廊下でいきなり大将の美空と対峙していた。

「なんでいきなり大将のあんたが出てくんのよ!」

「私は待っているのは性に合わないです。攻めあるのみです」

「悪いけど付き合っていられないから」

 美咲はあんな普段から刀を持ち歩いている人とまともに戦ったら負けるだろうと考えて、美空のことは海渡に任せることにして自分は屋上のフラッグを狙うことに決めた。

(ただ……ここをどう突破すれば)

「決めた。あんたちょっと犠牲になってね」

「え。ちょ……ちょっと何をするんですか」

「悪いけど、人間大砲になってね」

 美咲は近くにいた可憐隊の一人を持ち上げて、渡軍団に向けて思い切り放り投げた。

「美咲第一球。いーきーまーす!」

「え。ちょっと何ですか。それ」

 美咲の投げた人は渡軍団に突き刺さり、次々と渡軍団は将棋のように倒されていった。

「悪いけど。お先」

 その隙を狙って美咲達は倒れている渡軍団を踏みつけて先に進んでいった。

「しまった。A~D班追いなさい。それ以外は私に付いてきなさい」

「は。お任せ下さい」

 渡軍団とんこつ率いるA~D班は美咲を追いかけた。


    ◇


 その頃可憐達(可憐)は屋上でゲームをしていた。外はかなり騒がしかったが、屋上は平和そのものだった。礼音はパラソルの下の椅子を倒して平和っていいものだなと思っていた。

「可憐。昔は自動レベル上げコントローラーというものがあってだな。こうコマンドを入力しておくと勝手にレベル上げしてくれたんだよ」

「礼音。私はね、ひのきの棒でクリアしたいの」

 可憐は今までに無いくらいシリアスな顔で言った。

「ちょっと私、トイレに行ってくるから礼音はその間にレベル上げしておいて」

そう言って、可憐は屋上から出て行った。と思ったらすぐに帰ってきた。

「早かったな」

「ウン」

 礼音は何かがおかしいと感じた。確かに姿形も可憐なのだが、何か違和感があった。

「変なことを聞くけど……可憐だよな」

「アナタノカレンダヨ。ナニイッテンノ」

「だ。だよね~」

 礼音はどこから突っ込もうか悩んでいた。


    ◇


 B棟を駆け上がる美咲。しかし、とんこつ率いる渡軍団が追いついてきた。

「追いつかれるのも時間の問題だわ。屋上は目前なのに」

「ここはお任せ下さい」

 ずっと美咲の側を付いてきていた背が低めの男が美咲に進言した。

「何か策があるの?」

「はい」

「じゃあ任せたわ。少しでもいいからあいつらの足を止めてみせて」

「お任せ下さい。可憐LOVE隊の威信にかけても止めて見せます。行くぞ。お前ら!」

 背の低い男とその他数名は美咲が行ったのを確認すると、近くの教室から机を運び込んで準備を始めた。

「さあ。さあ。可憐LOVE隊が生写真の販売を始めるよー!」

「今なら美空お嬢さんの写真もあるよー!」

 可憐LOVE隊はどこからか持ってきた可憐の生写真で商売を始めた。

「なにー。それはけしからん。いくらだー」

「お嬢さんの幼女時代の写真もあるじゃないか」

 追いかけてきていた渡軍団も生写真に釣られてしまった。今や我先にと大枚はたいて生写真に心を奪われていた。

「今なら五十パーセントオフだよ。今を逃したら次はないよー」

「カリフラワー。明太子何をやっているんだ。お嬢様の命令を遂行するんだ」

「いや。しかしとんこつさん。これなんて美空お嬢様のスク水写真ですぜ」

 カリフラワーが持っていたのは、見目麗しい美空のスクール水着写真だった。美空は普段は白装束以外を着ることがないのでかなりレア度の高い写真だ。

「なん・だと。それは買いだ。俺にもくれ。百枚だ! 買い占めろ」

 さすがの剣の使い手のとんこつも我を忘れて、クレジットカードで買いまくっていた。しかし、そこに近づく影があった。

「貴様らなにやってんじゃー」

「お……お嬢様なぜここに」

 ものすごい形相の美空がなぜかここにいた。背後にはメラメラと暗黒のオーラが見える。相当怒っているようだ。

「心配になって戻ってきてみたら、どういうことですか?」

「いや。これは。カリフラワーがですね。おい。カリフラワー」

 先ほどまで、写真を持って大喜びをしていたカリフラワーがいなかった。

「カリフラワーならそこで寝ていますよ」

 美空の指の方を見ると、カリフラワーが黒焦げになっていた。もちろん写真も丸焦げだ。

「覚悟はできていますね。とんこつ。それと逃げようとしているそこの写真屋もですよ」

「あ。やめてくださいー。うぎゃー」

「写真だけは! 写真だけはー! ぐわはああああ!」

 美空はその場にいるものを敵味方関係なく成敗した。残ったのは黒焦げの人と何枚かの写真だけだった。

「ふうふう。あいつらめ。しかもこんな昔の写真までどこで入手したんだ」

 美空は何枚か残った写真をかき集めると、懐にしまい再びA棟に向かった。


    ◇


 その頃、美咲はB棟の屋上に到達していた。海渡は屋上にあるベッドで優雅に点滴をうけていた。

「海渡。来たわよ。覚悟しなさい」

 海渡はフラフラと棒(痴漢撃退いらいら棒)を持って立ち上がった。

「あなたと勝負する日が来るとは思いませんでしたよ。私はあなただけには負けません。あの裏切りは許せませんからね」

「裏切り?」

「あれは僕が小さかった時の話です」

「え。回想に入るの?」


     ◇


 その昔、海渡はいじめられっ子だった。それを助けてくれたのが小学生だった美咲。当時美咲はかなりボーイッシュで野球帽に短パン半袖のガキ大将的存在だった。そんな美咲を海渡は頼れる兄貴として尊敬していた。

 なにもかも正反対な二人だったが、なぜか当時は息があった。

「俺たち一生親友だよな」

「うん。僕達一生親友だよ」

 生涯の親友を誓い合った二人は、一緒に病院に行ったり、一緒に献血をしに行ったり、一緒に野菜ジュースを作ったり、更なる友情を育みあっていた。

 それが……ある日を境に二人の友情に亀裂が走った。

 それは海渡と美咲が中学にあがったときのことである。同じ中学に進んだ二人は入学式に向かうために二人で登校するために待ち合わせをしていた。

「おーい。海渡―」

「遅かったじゃないですか? ミサキ……え」

「なんだ? どうした?」

 海渡は驚愕した。ミサキが男のくせにスカートを履いていたのだ。

「なんでスカート履いてるんですか?」

 思わず、海渡は質問してしまった。もう海渡には何が何だか分からなくなっていた。

「なんでって? 俺じゃなかった私女だからよ」

「ど……どういうことですか? もう一回お願いします」

「ん? だから俺じゃなかった私女だから」

「ど……どういうことですか? もう一回お願いします」

「ん? だから俺じゃなかった私女だから」

「ど……どういうことですか? もう一回お願いします」

「ん? だから俺じゃなかった私女だから」

「ど……どういうことですか? もう一回お願いします」

「だー! だから私が! 女だって! 言ってるでしょうが!」

「えええええええええ!」

 海渡はあのショックから三ヶ月ほど入院した。


     ◇


「あの時のショックは忘れられません。未だにボクのミサキはどこかにいると思っています。ボクのミサキを返せ! この泥棒猫!」

 海渡は涙を流しながら、美咲に訴えた。その体は怒りでうち震えていた。

「何を訳の分からないことを言ってるの? それに入院したのは私のせいじゃなくってあんたがもともと体が弱いからじゃないの! 学校に来てるより入院してるほうが多いくせに」

「気持ち悪い喋り方をしないでください。僕のミサキはもっと男らしい喋り方をしていましたよ」

「怒るよ。海渡」

 美咲の眉間がピクピクと引き攣っていた。美咲の怒りのサインであるが、海渡にはそんなことはもうどうでもよかった。

「僕は今日失ったミサキを取り戻します。覚悟!」

「な! そっちこそ覚悟しなさいよ。また病院送りにしてあげるわ」

 かつて親友だった二人の対決が今始まった。美咲は剣技があまり得意では無かったが、とにかく力任せにいらいら棒を振った。剣では無いが、居合い抜きを得意とする海渡に分があると思われていたが、いらいら棒が思ったよりも重すぎて、海渡は上手く扱えないでいた。

(このままでは負けてしまう。卑怯だが仕方がない)

 海渡は意を決して、秘技を使うことにした。

「あ! あそこに「だいそん製の翼がない扇風機」があります!」

「どこ? なんでこんな所に。私欲しかったのよ~」

「美咲さん隙ありです」

「ぷぎゃー!」

 海渡は隙だらけの美咲の懐に入り、いらいら棒を振るった。さすがの美咲もいらいら棒を食らい、気絶した。

「ふー。危ない所でした。ミサキ。仇は取りましたよ」

「よし。僕はA棟に攻め入る。フラッグの防衛は頼みましたよ」

「お任せ下さい。坊ちゃん」

 美咲を倒したので、攻めて来る者がいないと判断した海渡はフラッグを渡軍団に任せて、海渡も攻めあがることにした。


    ◇


 その頃美空はA棟に張り巡らされている罠に戸惑っていた。足を乗せると滑るつるつるの床、巨大な岩が転がってくるトラップ、落とし穴、催涙ガスなどなど数々の罠に面白いように引っかかり、渡軍団も五十人ほどいたが、もう残るは数名となっていた。

「お嬢様申し訳ございません。このプリン切腹する所存であります」

 その数名も今、巨大ゴキブリほいほいトラップに引っかかり身動きがとれないでいた。

「あんたは一生そうしていなさい!」

「そ。そんなお嬢様」

 美空は自分の部下の不甲斐なさにため息をついた。百人近くいた。渡軍団も殆ど全滅してしまった(半分は美空が成敗したのだが)。

『情けないですね。あなたの部下も次はあなたの番ですよ。恵梨のるい~だを潰した罪を償ってもらいます』

 どこからか恵梨の声が聞こえた。恐らくどこかの物陰に隠れてトラップを発動させているのだろうがどこにいるのか美空にも全くわかなかった。美空の恵梨の印象はラーメン作りしか脳のないただの普通の人だったはずなのだが、まさかここまで苦しめられるとは思わなかった。

(仕方ない。時間も無いし、この作戦でいくしかない)

「どこ。出てきなさい。出てきたら、可憐の生写真をあげるわよ」

 美空は先ほど拾った無傷の可憐の生写真を高らかに掲げた。

「どこですか? 生写真は!」

 ものすごい速さで恵梨がどこからか走ってきた。目が血走っていてかなり怖かった。それを見て、美空は写真を投げた。可憐の数々の写真が宙に舞った。

「な。なんということをするのですか? こんな写真があったとはー!」

隙蟻すきあり!」

 美空は隙しか無い恵梨の脳天を一刀両断した。

「しまったー。うぎゃー!」

 恵梨は断末魔をあげ、黒焦げになりながら倒れた。しかし、可憐の写真は気絶しながらも手放そうとはしなかった。恵梨の可憐への並々ならぬ愛を感じて、美空はドン引きした。

「美空さん。ここでしたか」

「兄さん。なんでここに」

 美咲を倒した海渡がここまで来ていた。罠は全て渡軍団が解除(全て体を張って)していたので割と楽に辿り着いた。

「美空さんが心配になって来ました。倒れているのは何ですか」

「それはただのド変態です。さあ。兄さん屋上に行きましょう」

 美空は海渡を促すと、意気揚々と屋上へと向かった。

「おのれ~。美空め~。またしても負けるとは~」


    ◇


「可憐さん覚悟です!」

 美空は屋上のドアを蹴り開け、屋上へと躍り出た。

「あ。もう来た。やば! おい。可憐来たぞ。ゲームやってる場合じゃない」

 礼音は自分が今なんでここにいるのか忘れ、くつろいでいたのでひどく慌てて、椅子から転げ落ちていた。

「くそ。二人もあがってくるなんて美咲と恵梨は何をやっているんだ。可憐頼むからゲームは止めてくれ」

「……ヤ」

「ヤって頼むから。そうだ。いらいら棒だけでも持ってくれ」

 礼音は可憐にいらいら棒を持たせようとするが、まったく持つ気がないようでいらいら棒はむなしく地面に落ちた。

(くそ。いっそのこと早く充電きれやがれ!)

「礼音さん。夫婦漫才はそこまでですよ」

「仕方がない。俺がお前たちの相手をしてやるよ」

 礼音は投げやりにいらいら棒を持った。礼音は普段から素振りは欠かしたことは無かったので剣の腕には自信があった。

(まさかこんな所で日々の鍛錬が役立つとは思わなかったな)

「礼音くん。君とは一度対戦して見たかったんですよ。美空さん。礼音くんは私が倒します」

「兄さん。怪我しないでくださいね。礼音さん……兄さんを傷つけたらタダじゃ済まないですからね」

 美空に凄まれて礼音は引いてしまったが、ここは負けるわけにいかない。いらいら棒を構えて海渡に立ち向かった。

「海渡……。誰が主人公か、ここではっきりさせてやる!」

 礼音は主人公の威信をかけて海渡に立ち向かった。


    ◇


 数分後。

「だめだ。逃げよう可憐。海渡は強すぎる」

何度か礼音は海渡と手合わせをして、あまりの実力の違いに気づいてしまった礼音は可憐を連れて逃げることにした。

「そうはいきません。それならば隙ありです。可憐さん」

 礼音は逃げられる前に大将である可憐を片付けようと、ゲーム中の無防備の可憐にいらいら棒を振り上げた。

「きゃあああああ」

「可憐!」

「止めて……海渡さん」

 可憐は大げさに倒れて、潤んだ瞳で海渡に懇願した。それを見た海渡は振り上げたいらいら棒を振り下ろすことができなかった。

「だめだ。僕にはできない」

 海渡はいらいら棒を手が落として、崩れ落ちた。

「隙ありだ。海渡おおおお!」

 その隙に礼音は海渡を一刀両断した。

「ぎゃああああああ」

「兄さん!」

 海渡は黒焦げになり、屋上に転がった。

「海渡……主人公は俺だ。覚えておけ」

「よくも……兄さんを」

 美空は礼音への怒りで何か変なオーラを出している。駄目だ。勝てそうにない。

「リミッター解除」

 美空はいらいら棒の一番上の透明なプラスチックのカバーを外して、下の真っ赤なドクロマークのボタンを押した。

「おい。何だよそれ」

 美空のいらいら棒から光の筋が伸びた。今やいらいら棒の長さは通常の二倍近くになっていた。

「よくも兄さんをぉ! 死ね。礼音!」

「うお!」

 慌てて美空の攻撃を避けると、そこにあった地面が砕かれたというか消失した。なんというチート武器だ。

(まずい。このままだと俺が消失してしまう。ここは仕方がない)

「参った。俺の負けだ。ちょっとした悪ふざけだ。ほらお前の勝ちだ」

いらいら棒をほうり投げて、礼音は白旗をあげた。

「そんなことで許されるかー!!」

怒りでトランスモードの美空は礼音を本気で殺しにかかってきた。

「礼音。ひのきの棒弱いよ」

「そんなことはいいから助けてくれ。可憐~」

「了解です。礼音。下がっていてください。リミッター解除じゃ」

 すっと立ち上がると、可憐はいらいら棒の赤いボタンを押すと、ものすごいスピードで可憐は美空に襲いかかった。

「可……可憐?」

 夢を見ているようだ。あの可憐が美空と互角にいや美空を押しているようにも見える。映画でも見ているようだ。目で追えない。

「可憐さん。あなた何者ですか? 可憐さんではありませんね」

「それがどうしたというのじゃ。ほれ」

「く。まずい……このままだと」

「大将打ち取りました。美空様。理科準備室に隠れておりました」

そこに巨大ゴキブリホイホイトラップから復活したプリンがぐったりとした可憐を連れてきた。

「可憐が二人?」

「バレたのならしょうが無いの」

 そう言うと可憐はたちまち礼音のじいさんに変身した。どうやらいつの間にかにじいさんが変装していたようだ。

「じいさん。いつの間に紛れていたんだ。ってかなんでここにいる!」

「殺す! 殺す! 殺す!」

「それよりもこのお嬢さんをなんとかしてくれると助かるのじゃが」

「俺には無理だ」

「しかし、ぐふぁああ」

「じじい!」

 じいさんは美空に背後を取られて、いらいら棒の餌食となった。

「礼音さん。そんなただれた関係兄が許しても私は絶対に許さない!」

「俺は関係ないだろ」

 美空の怒りはそれでは済まず、礼音へと矛先を変えた。

「それでなくてもいままでも悪行非道の数々許しがたし……ってあれ」

 さすがに急激に電気を使ったので、美空のいらいら棒は電池切れになったようだ。しかし、単三電池二本であの電圧は考えられない。

「これで俺の勝ちだな。電池が無けれ――ぶふぁあ!」

「そんなものは関係無い!」

 美空は必殺の右ストレートを礼音にお見舞いした。これで美空完全勝利となった。美空は黒焦げから復活した海渡に抱きつこうとした。

「兄さん、私勝ったよ。これで兄さんは私のものです」

「美空さんよくやりま……ぐふ」

「兄さん! 兄さん! しっかりしてください!」

 美空が抱きついてきた衝撃で海渡は地面に頭を打った。そのショックで海渡の意識が失われた。


     ◇


「兄さん。起きて!」

 遠くから声が今はっきりと聞こえる。これは妹の美空の声だ。

「起きなければ……僕にはまだやることがあります」

 そう呟くと海渡は目を開けた。見たことのない天井が見える。見回すとベッドに寝かされていて、体中に管が繋がれている。どうやら僕は病院に入院しているようだ。

(僕はなぜここに……)

「兄さん。良かった……」

 ベッドの側には目を腫らした美空がいた。なぜ泣いているのだろうか。体を動かそうとするが、痛みで体が思うように動かない。

「兄さん。起きないでください重体だったんですよ」

「僕が重体……」

 何か夢を見ていたような気がしたが、怪我の後遺症なのかはっきりしない。でもこれだけは分かっていた。僕は礼音くんに会って伝えることがある。

「礼音くん……待っていてください。今行きます」

 僕はゆっくりと体を起こした。強烈な痛みが体を襲ったが気にしてはいられなかった。美空が何か隣でぎゃあぎゃあと騒いでいるが、それよりもやることがある。

『礼音くん。可憐さんを助けられるのはあなただけです』

 海渡は止めようとする美空を振り切り、病室から抜けだした。


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