聖女を巡る思惑①-2
前ページの後半です。
レイは不満を押し殺し、黙って聞いていた。
その後も細かな確認が続き、会議はようやく解散となった。
レイは部屋を出る前に、レオニスを呼び止めた。
「どういうつもりだ?」
レオニスは薄く笑う。
「ルシナスのことか? それとも、“妃にふさわしいか見極めている”そっちの話か?」
レイは苛立ちを隠さず言う。
「両方だ」
「あの場でレイの意見を押し通せば、余計に反発を招いていた、ルシナスなら適任だと思ったのも本当だ」
レオニスは苦笑する。
「まあ……私はレイより弟の味方だ。私情も入っている」
「妃の件は…彼女はまだ“王太子妃”という立場が何か理解していない。器があるとは思えない、それだけだよ」
そう言って、後ろ手を振り去って行った。
(あのままでは、確かにレオニスの言う通り余計な反発を招いていただろう……しかし、ルシナスの側に置くというのは)
レイは拭えない違和感を抱えたまま、執務室へ戻った。
仕事に戻ると、すぐにアルヴェインへ指示を出した。
「各地の有力貴族へ即時通達しろ。“聖女”の処遇について、二週間後に協議を開く」
「ということは…私の兄上が来るのですね」
アルヴェインは小さく呟くと、すぐに各所へ知らせを送り始めた。
数日後、レイのもとに一通の書状が届いた。
差出人は北方のハーヴェル侯爵家だった。
『報告にあった“聖女”として扱われている仕立て屋の少女について、思い当たるところがある。協議の後、彼女と面会したい』
と書かれていた。
レイは、まさかと息を呑んだ。
(リアは幼い頃に母を亡くした町娘だ。それが侯爵家の令嬢だとすれば……なぜ平民として?)
(もし本当に母親がハーヴェル侯爵家の出なら、妃に迎えることもそう難しくはない)
(それなら、本来魔力を持たないはずの彼女が魔力を持っていることにも説明がつく)
だが、現時点で断定するには早い。
このとき、レイはまだハーヴェル侯爵家の思惑を知る由もなかった。
一方で、セレニアは会議での苛立ちをまだ引きずっていた。
(なんとしてでも彼女を“聖女”として教会に迎え入れなければならない。民は癒やしを求めているはずだ)
「彼女がいれば教会の権威が高まる」
何か策はないかと焦り、爪を噛んだ。
それぞれの思惑が交錯していく。
スマホのメモに書いてて区切っちゃった。
0の話と繋がってくるかも?




