元パーティーメンバーの災難
主人公をクビにしたSランクの冒険者パーティー『黒鉄の狼』彼らはいつも通りに依頼をこなしたはずが、しかしながら、主人公をクビにしたせいでその名声は下がってしまい?
一方、パーティーメンバー達はようやく邪魔者がいなくなったと喜んでいて、酒を飲んで酔い潰れていた。
「リーダー俺ちょっと頭がガンガンするんだけど」とトレバーが言い、エイリースとジェシカも「昨日は飲み過ぎた」「コッチも二日酔い」と言っていたのでリーダーのガウィンは、「ほらお前ら状態異常回復のポーションだ。」と言ってポーションをメンバーに渡していた。
「ありがとリーダー」と言ってポーションを飲み終わったメンバーは、「よしオーイ、レイ風呂沸かしとけ」と言って「ああ、そういやアイツ追放したんだったな」と軽く笑い、「リーダー風呂沸かしときますよ。」「ありがとよトレバー」と会話してトレバーが風呂を沸かそうとしたが、「これ、どこがどうなんだ?この丸いのはなんだ?」と言ってなかなか風呂を沸かすのに苦労していた。ジェシカは、「洗濯めんどくさいなぁ」と言いながら洗濯用の魔道具を動かして洗剤を箱ごとぶち込んで放置した。その結果魔道具から洗濯物と洗剤が大量にぶちまけられ大惨事となってしまった。
「お前らどうして風呂沸かすのに1時間以上掛けた?なんで洗濯したら洗剤だらけで余計汚くなったんだ?」「ごめんよリーダー、でもよ風呂なんてアイツがいつもやってて、やり方わかんなくなっちまったよ。」「いつもアイツが洗濯してたから取り敢えず洗剤入れとけば大丈夫と思って…。」「分かった分かった、とりあえずギルドに行って新しく雑用係でも募集すれば解決するだろ。」と言ってギルドに行こうとした。「エイリースは何やってんだろ、部屋から出て来てないけど。」ジェシカが「エイリース何してんの〜。」と声をかけたら部屋から「あともう少しあと5分ぐらい寝かせて」と返事が返ってきたので、ジェシカは「起きなさいギルドに行くわよ、昼寝なんか後にしてまずは雑用係を探すのよ。」「分かったから、も〜アイツはやっぱり土下座でもさせてこき使ってやった方が良かったんじゃない?」と愚痴りながら、エイリースの準備が終わり『黒鉄の狼』はギルドに出発した。
ギルドに着いてメンバーが扉をくぐった瞬間、さっきまで談笑していたり依頼書を見ていた冒険者達が一斉に静まり返り、『黒鉄の狼』の顔を見てヒソヒソ話し始め軽蔑するような目でメンバー達を見ている者もいた。「リーダーなんかウチら変な目でみられてないか?」とトレバーが言うとエイリースも「私もあんな目で見られるような事はしてないんですが」と言った。ガウィンは「気のせいだろ、別に何もやっちゃぁいねぇんだから大丈夫だろ。」と軽く言ったが、内心何でだ?と思っていた。そしてギルドでいつも通りに自分達用の依頼を何個か受けて依頼品の納品したり届出をしてギルドホームに戻った。
そして次の日、ギルドの受付で、「俺ら宛ての依頼はあるか?」と聞いたがギルド職員は、「あなた方宛ての依頼はすべてキャンセルされましたので、ありません。」と信じられないような事を言った。「ハァ⁉︎依頼が無くなったてことかよ、どうしてなんだよ説明しろ!」とガウィンが職員に食ってかかった。「いえ突然依頼人達から、『あなた方に依頼するのはもう良い』と連絡を頂きましてキャンセルになりました。」と職員は変わらない態度で答えた。
何故彼ら宛の依頼が突然無くなったのかと言うと、簡単に言えばレイを追放したからである。
彼らは知らなかったが彼は依頼がくるとすぐに依頼主に挨拶しに行き、細かい事前調査や、どの様な背景から依頼したのか、報酬などに関しても適切な値段かなどの細かい業務をギルドとは別件として行い、依頼達成後の納品関係の作業や依頼主にお礼状を書いたり、菓子折りなどの下心を感じさせないような贈り物を、自腹を切ったりして贈り次の依頼もどうかよろしくお願いしますと誠意を見せるなどの行動をとっていた為、メンバーが多少の失礼をしても許してもらっていた。
しかし、そんな彼をクビにしたと言う情報が依頼主の妻や顧客の女性層が『キャネル最高級洋服店』の店主の愚痴で依頼主達(Sランクの冒険者の依頼主は貴族や大商人など)にいち早く伝わり、それとタイミングを同じくして『黒鉄の狼』の依頼達成後の納品した物の質が思いっきり低下したり、依頼主に失礼極まり無い態度を取ったため依頼が無くなったのだ。まあ彼らはそんな事はつゆ程も知らないので理由を理解してはいないということなのだが。
「ふざけてんのアンタ、こっちはSランクの冒険者なのよ、さっさと依頼を持って来なさい。」ジェシカも職員に噛みつき始めたが、職員は「無理なものは無理ですのでお引取りください。」の一点張りだった。ガウィンは、「依頼が無理なら新しく雑用係を募集したいんだが、前いたアイツと同じかそれ以上の働きをしてくれるヤツはいるか?」と言ったら「無理ですね、レイさんは我々から見てもあなた方より優秀でしたので、それと同じ事のできる人間は恐らく私達の知る限り、この世の中にあの人ぐらいです。分かったら帰ってください仕事の邪魔です。」とバッサリ切り捨てられて、ギルドから出て行かされた。
ガウィンは「ふざけてやがる、俺らをなんだと思ってんだよギルドはよぉ。」と言ったが、エイリースは、「そんな事よりお腹空きました。」と言い、トレバーは「リーダー今はでも飯食って取り敢えず落ち着こうぜ。後でまた来りゃ良いだろ。」と言って昼飯を食べに行ったが、街の人達もギルドの冒険者達と同じように、何故か蔑むような目を向ける者やヒソヒソと噂話をしているような者もいてガウィンも流石に気のせいじゃないと思い始めていた。
その後、ギルドで王都近くの森で討伐依頼をこなしたりして、指名の依頼が無くなってもなんとか稼いでいたが、日が経つにつれて仲間の様子がおかしいと思い始めていた。エイリースのバフや治療の効果が弱くなっていたり、ジェシカの魔法が発動が遅くなって威力も下がったりした。
ガウィン自身も剣を振るうたびにどんどん疲れやすくなり、キレが鈍くなったし、斥候のトレバーも能力がガクンと落ちたように探知や弓が当たりづらく貫通もしなくなった。そして、ガウィンの剣は依頼を受けて倒そうとしたメタルタートル(鋼並みに硬く熊並みに素早く動く亀の魔物)を攻撃していた際に、ヒビが入ってしまった。そこでゴドウィッグの鍛治屋に持ち込んだら「お前ら装備の点検やらずに使い過ぎてんな。」と言われ「おいおいアイツの作った剣をこんなひでぇ状態になるまでほっといたのかよ。バカじゃねえのか?この剣はミスリルコーティングと複雑な魔法付与を施してんのに点検もせず使ってるからこうやって壊れたんだ。この剣満足に使えねぇなら新しく身の丈にあった鋼の剣でも買えば良いぜ。」と結構遠慮無しに装備の質が合ってないと言われた。
「それにその嬢ちゃん達の杖も性能が落ちてるな。俺はそれは直せねえから錬金ギルドに直してもらえ、まぁ多分この剣より修理費は高くなると思うけどな。」とエイリースとジェシカは言われた。ガウィンは結局自分の剣だけを直してもらう事にして、パーティーホームに帰った。
「リーダーなんか最近俺らヤバくねぇか?」とトレバーがガウィンに言って、「うるせぇ分かってんだよ!最近確かに調子悪いけどよそれはお前もだろ。」「いやそうだけどさぁ、なんかおかしいだろ‼︎パーティーホームは、だんだん汚くなって湯沸かし用の魔道具とかもなんか煙出て動かなくなって冷たい水しか出ないし、洗濯用魔道具も壊れてるから手洗いだし、何よりゴミ適当に出したせいで近所迷惑の書類が大量にきてるし、アイツ追い出してから、俺ら失敗続きじゃん!」と軽く叫び、エイリースも、「洗濯物ずっと手洗いだから手もガサガサで、化粧水もアイツが作ったやつだったから、もう在庫ないしアイツの持っていった私物が自作の冒険の時に使っていた便利魔道具だったから、ほとんどの冒険で使えてた滅茶苦茶便利な魔道具使えなくて毎回毎回汚いままで帰るのがキツイよ!」と愚痴を漏らし、ジェシカは大慌てでリビングに来ると「大変!消耗品の補助出来てないからもう倉庫がスッカラカンよ!」とさらに頭が痛くなる事を言ってきてガウィンは「クソ!なんで俺らがこんな目に!」と言って冒険者ギルドに向かって行った。
「リーダーどうすんのよ何か考えが?」「レイを連れ戻す。そうすりゃ元通りだろまだ挽回のチャンスはある」と仲間に言うと、「その手があったか!」「そうねそうすれば解決よ!」と乗り気になった。
ガウィン達は冒険者ギルドに着くと職員に向かって、「レイを出せ!」と言った。「ハァ?どうゆうことです?」とイラついた口調の受付に「アイツを許してやろうと思ってな、パーティーに戻してやろうと言いにきたんだ。レイの居場所は何処だ?」するとギルド職員は、「レイさんは冒険者を引退しましたので我々はその質問にお答え出来ません。」と呆れた口調で答えた。
「なんだと!どうゆうことだ!」と怒ったガウィンが職員に噛みつくと、「ですから冒険者ギルドは冒険者の方々の情報に関してはお答えできますけど、引退して一般人になった人に関しては関係ないのでお答えできません。分かったら帰ってください、あぁそうそう近々依頼の達成率が下がっていますのでランクダウンのお知らせが来るかもしれません。それでは。」とバッサリ切り捨てられて、食い下がろうとしたら周りの冒険者達が全員壁みたいにガウィン達を押し返してギルドの外に放り出された。
「畜生‼︎なんでだよあいつら俺らがSランクだって分かってんのか!」「リーダー今はあいつらの事よりレイを探すほうに力を入れていこう、じゃなきや俺たちランクダウンだぜ。」とガウィンをトレバーが宥めて、エイリースとジェシカは「アイツはどこに行ったのよ。」「聞き込みしましょう。」と相談していた。そして、ガウィン達はレイの居場所を1日かけて聞き周り、なぜか騎士団に市民に対する迷惑行為だとコッテリ絞られるなどのハプニングもあったが、ガワラスの街に物凄い腕前の何でも屋が居て、その主人の特徴とレイの特徴が一致していた為、ガワラスの街へ向かって行った。