「暗躍?する影」
戦国時代に来てみると1598年になっていた。
何度か来ているが、時間のズレのようなものが大きくなっている気がする。僕の時代では前回この時代に来てから3日くらいしか経っていないが、この時代はかなり進んでいる様に思う。
前回来たときが何年だったかはわからないからどれくらいの速度かはわからないが確実に時代は進んでいた。
正継さんと町中の様子や三成さんが人と仲良くできない話などの軽い愚痴の話をして帰ろうとすると正継さんが
「すみません、正澄が人と会う約束がありお送りできないそうです。まぁ、何度もおこし頂いているので道に迷われる事もないかと思いますがお気をつけてお帰りください。」
「大丈夫です、もう道も完璧に覚えましたから!」
僕は自信満々に答えた。数分後、これをかなり後悔するとも知らずに。
―数分後―
「あれ?ここはどこ?私は・・・・、とかふざけてる場合じゃないな。くそ、道に迷ったな。大見得きったから正継さんの所に戻るのは恥ずかしすぎるな。僕のこの城での知り合いは正継さんと正澄さんだけだしな。
正継さんの客って認識ではあるだろうけど、人払いされてるから他に人も全然いないしな、どうしようかな」
独り言ではあるが誰か声を聞いて駆けつけてくれないかと思った部分もあったが高望み過ぎたようだ。
物音の全くしない廊下を歩き続けているとかすかに人の声が聞こえてきた。声の主はどうやら二人であまり大きな声で話していない。僕は気づかれないように近づいていき耳をすませた。
「それで、上手く事は運んでいるのですか?」
「ご安心下さい。問題はありません。」
二人目の声は正澄さんだ。もう一人の声は聞き覚えがない。
その人が
「あの札に関してはそう長くは使えないものとお考えください。
効き目のある薬ほど高価だったり、副作用があったりするものです。自然の理を無視しているわけですから、大きな影響がないとも限りません。」
「承知しております。大谷殿のおかげで父もずいぶんと気が楽になっているようです。」
僕の話かな?そうであれば嬉しい話だが、それなら直接言って欲しいなと思った。もう一人の男が
「そうであれば問題はありません。
しかし、正継殿に気づかれないように十分にご注意下さい。
我々の計画だとバレれば彼はかなり怒るでしょうから。」
「承知しました。」
二人の話からこれは聞いてはいけない感じの話だと思い音を立てないようにその場を離れた。