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リオン冒険記  作者: 悠木 隼
少年編
2/2

瑠璃色の髪の少女

「で、帰ろうとしたら君が来た訳だ」

「あまり長く無かったわね。それと別に隠れる必要は無かったと思うけど」

「ちょっと言ってみたかっただけなんだよ」


読んだ本に書いてあった言葉を使いたくなる時がたまにある。


「あと、この辺は比較的安全だけど、念のためにね」


決して村の人に見つかって、父さんに伝わるのを恐れた訳じゃない。


「確かにのどかなで良い所よね」


ハルン村の西と北には森があり、東と南には平原が広がっていて王都や隣町に道が続いている。


「残念もう出口、結局何も無かったわね」

「俺も少し期待してたんだけどな」


ただの洞窟だった事に2人で肩を落としながら外に出る。外は変わらず快晴だった。


「今日は本当に良い天気ね」


彼女は大きく両手を上げ体を伸ばしていた。

フードを深く被っているせいか顔がよく見えない。


「俺の名前はリオン。リオン・リオート、夢は立派な冒険者になることだ」


自己紹介は自分から、俺のこだわりの1つだ。

唐突ね、と彼女は笑いながら俺に体を向けフードを取った。


「私はエリカ、よろしくね」


彼女の名前はエリカと言うらしい。

エリカは瑠璃色の髪に透き通る様な青い瞳をしていた。


「どうしたの」

「えっ、いや、そのエリカさんの事この辺りの村じゃ見たこと無いと思いまして」


エリカの顔に目を奪われていたとは言えず、慌てて誤魔化した。


「あはは、何その話し方。さっきみたいに普通でいいわよ」


なんとか誤魔化せたようだ。


「あとエリカでいいわ、私もリオンって呼ばせてもらうわね。堅苦しいのは苦手なの」

「分かった、改めてよろしく」

「立ち話もなんだし座りましょ」


そう言ってエリナは近くの木陰に腰を下ろし、俺は近くに座った。


「えっと私はアイレスに住んでるの。親の用事で一緒にこの辺りに来たのだけど、難しい話してたから抜け出して散歩してたのよ」

「なんか俺と似てるね」

「リオンも親から逃げて来たの?」

「逃げたとは人聞きが悪いな。今日は父さんが出かけて剣の鍛錬が無いから、冒険に来たんだ」


そう言って俺は洞窟を指さした。


「冒険…探検の間違いじゃない?」

「エリカも妹と同じ事言うんだな」

「それはそうよ、だって」

「だって?」

「冒険ってのはもっと壮大な物なんだから!!」


エリカは目を輝かせて勢いよく立ち上がった。


「島の様な大きさの亀に人の何倍もある狼、たくさんの財宝が眠ると言われる迷宮、そう言う生き物や場所を見つたりする事を冒険と呼ぶの」

「やっぱりそうだよなぁ」


正直自分のやってることは冒険と呼ぶには程遠いものだとは理解していた。


「俺もいつかはカルマみたいに世界中を巡ってみたいよ」

「カルマって、あの伝説の冒険者カルマよね」

「そうそう」


俺は持ってきたカバンから『カルマの冒険譚』を出した。


「これに書いてあるような人と話せる龍に会ったり、翼の生えた馬に乗ってみたいよ」

「ちょっとそれ見せて!!」


凄い勢いで本を奪われた。


「人と会話出来る龍に空飛ぶ馬………私『カルマの冒険』は全部持っているはずだけど、こんな物語読んだことないわ」

「え、『カルマの冒険譚』って他にもあるの」

「彼が巡ったとされる3つの大陸に2つの海の体験が書かれていて全部で5冊しか無いはずなのに」


信じられない、と喜びと戸惑いが混ざった様子で本を読んでいた。


「エリカもカルマを信じているの?」

「当たり前よ………今エリカも、って言った?」


エリカは本を読むのをやめ、こちらに目を向けた。


「もちろん俺も信じてるさ、ハルン村の皆はカルマを信じて」


無いんだよ、と良い終わる前にエリカが抱きついてきた。


「本当!?私も、私もカルマを信じているの!!」

「分かった、分かったから」

「あ、ごめんなさい。今まで私以外にカルマを信じている人に会ったこと無くて、嬉しくてつい」


エリカは照れくさそうに離れた。少し勿体なく思ったのは内緒だ。


「ねぇリオン、もし良かったらこの本貸してもらえないかしら」

「俺は昔から何度も読んだからいいけど、宝物だから無くさないでね」

「ありがとう、もちろん大切に読むわ。それにしても私の知らない『カルマの冒険』があるなんて」


喜ぶエリカに少し違和感を感じた。

エリカは冒険譚ではなく冒険と言っている。


「でも好きな本なら題名を間違えちゃ駄目だと思うよ」


彼女は不思議そうな顔をして、表紙を見た。


「冒険…譚」

「そうそう冒険じゃ無くて冒険譚」

「ねぇこの本どこで買ったの?」

「買ったんじゃなくて、誕生日に父さんから貰ったんだよ」

「そう」


エリカは心ここにあらずと言う感じだった。


「リオンのお父様は今日はいないのよね」

「帰って来るとしても夜遅いと思うよ」

「明日は?」

「新しい剣の稽古をするって言ってたからいるはずだよ」


明日からの稽古を考えると気が重くなる。


「なら明日貴方の家にお邪魔してもいいかしら」

「別にいいけど、村の場所は分かる?」

「ハルン村よね、大丈夫。ではまた明日」


エリカは難しい顔をしながら駆け足で帰って行った。

そんな彼女を見送ってから家路についた。

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