表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
フェイの賑やか家族観察  作者: L☆E
とある一日
22/77

弟は優しい長男が大好き


 勢いよく部屋に押しかけた隆星。

 いつもはいるはずの秋光は部屋にいなかったようだ。だが、嫌な予感はしないから結城のとこではないだろう。・・・多分。


「あれ・・・?」

『トイレじゃん?』


 声は聞こえていないだろうけれど、オレと同じくトイレかと思った隆星が部屋を一度出る。

 そこへちょうど出てきたのは結城。不機嫌・・・いや、気色悪そうに部屋から出てきた結城は兄達の部屋を指差すと音も無く下へ降りていった。


「和兄~、秋兄~。いる~?」


 ひょいと隆星と同時に部屋を覗くと二人は見つかった。なぜか和茂に秋光が抱きついていたのだが、確かにそこにいた。

 さっき結城が降りていったのは和茂のいる部屋へおそらく過去問の資料をもらいにいっていたのだろう。結城の事だから既にきりかやみさきのとこには行っているだろう。それに、あの2人の部屋より人数のわりに広いこの部屋においている可能性が高い。男は女ほど物をいろいろ持たなさそうだし。軽く物置として一部使われているし。

 そうしてこの様子を目撃したからだと気付くと苦笑した。隆星と同じことを考えているのだ、この馬鹿あきみつは。


「和兄、秋兄、気持ち悪いから他所でやってよね。(溜息)きり姉~ちょっといい?」


 階段を上って部屋を覗いたのはあんずだ。チラリと部屋の惨状を見て溜息混じりにそう言うときりかとみさきのいる部屋へ入っていった。部屋から何か話し声が微かにだが聞こえてくる。

 和茂は流石に10年以上も秋光にこう懐かれ続ければ対処の仕方は嫌でも覚えるだろう。

 和茂は後ろにいる邪魔な人物を無視して受験勉強に励んでいた。構ってしまえば負けであるのはオレでも分かる。でも、実践できる自信はオレにはない。まず邪魔だといって攻防戦が始まると思う。

 秋光は秋光で無視されているのにご満悦顔でいるところがすごい。隆星だったら構って欲しくてひたすらちょっかいを出す。

 ちょっとずれた所で秋光を尊敬してしまっているのだろう隆星は秋光と和茂に飛びついた。


「うおっ!」


 まあ、結果は簡単だ。

 中学生にもなればそれなりに体格が良くなってくる。その例に漏れず隆星もここ一年でかなり成長している。その上隆星は運動神経が天才的で馬鹿だ。力加減など考えずにもうダッシュで飛びつく。当たり前に和茂と秋光が前に押され、一番前にいる和茂が勉強机に頭を打つ。


「~~っ!」


 鈍い音を出して強かに頭を打ったということはやはり勢いが普通ではなかったようだ。

 秋光は間一髪難を逃れていた。突然の事だったのに見事に要領よく安全な部分に移動している。


「痛いんだよ、隆!」

「俺はもう慣れちゃったよ、毎日こうだし」

「和兄だって運動神経なくはないんだから頑張れ♪」

「だってさ、和兄」

「ったく・・・頑張るしかないのか」

『そこは違う方法を考えようよ!』


 馬鹿弟に頭を抱える馬鹿兄。馬鹿な遊びに付き合う覚悟を決めた。どう考えてもそこは覚悟を決めるところではない。厳しく弟を突き放すか叱るべきだと思う。


「やめさせるって言う選択肢はないの?(呆)うるさいよ」

「こっちまで声聞こえるの」


 いつの間にかあんずと話し終えていたきりかとみさきが文句を言いにやってきていた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ