表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
90/93

第90話 山の中腹──試練の風と崖の道


朝日が海を照らし、波が静かに揺れている。


壮真は登山靴の紐を締めながら言った。


「よし……いよいよ山頂へ向かうぞ。1か月の周回で貯めた2万ポイントの成果、見せてもらう」


サーヤはピッケルを肩に担ぎ、やる気満々で叫ぶ。


「むぅぅぅ!!登山開始なのだ!!山頂に何があるのか、絶対に確かめるのだ!!」


ミィは無言で靴底を確認し、コツコツと地面を叩く。


「……すべらない……これ……すき……」


リュミナは風を感じながら微笑む。


「風が……今日は優しいよ。きっと、登るのを応援してくれてる」


壮真はロープとカラビナを腰に装着し、深呼吸した。


「よし、行くか」


4人は山の麓へ向かって歩き出した。


山の麓は緩やかな草原で、海から吹く風が背中を押してくれる。


サーヤは軽快に走り出す。


「むぅぅぅ!!楽勝なのだ!!このまま山頂まで行けるのだ!!」


壮真「いや、序盤だからな。ここからが本番だぞ」


ミィは淡々と歩きながら言う。


「……まだ……やま……じゃない……」


リュミナは草の揺れを見て言う。


「風が……上の方で乱れてる。きっと、途中で強くなるよ」


壮真「だろうな。山の天気は変わりやすいし」


標高が上がるにつれ、道は険しくなっていく。


岩がゴツゴツとむき出しになり、斜面は急角度でそびえ立つ。


サーヤはピッケルを突き立てながら叫ぶ。


「むぅぅぅ!!ピッケル最高なのだ!!ピッケルが刺さるのだ!!」


「刺さるのはいいけど、振り回すなよ」


ミィは岩を素手で掴み、まるで山を引き裂くように登っていく。


「……のぼる……」


「ミィ……ピッケル使ってくれよ……」


リュミナは慎重に足場を選びながら登る。


「この靴……本当に歩きやすい。Amazonってすごいね……」


「文明の力は偉大だな」


中腹に差し掛かった頃、突然、強烈な突風が吹き荒れた。


ゴォォォォォォォッ!!


「むぅぅぅぅぅぅ!?風が強すぎるのだ!!うなれピッケル!私を守るのだ!」


ミィは髪を押さえながら言う。


「……とばされる……」


リュミナは風を読み、険しい表情で言った。


「この風……自然じゃない。山が……私たちを試してるみたい」


「試練ってやつか……!」


サーヤはピッケルを地面に突き刺し、風に耐えながら叫ぶ。


「むぅぅぅ!!負けないのだ!!こんな風、へっちゃらなのだ!!」


ミィは岩にしがみつきながら言う。


「……ふく……つよい……」


リュミナは風に向かって手を伸ばす。


「風よ……私たちを拒まないで。道を……開いて……!」


すると風が少しだけ弱まった。


「リュミナ……すげぇ……」


リュミナは照れながら微笑む。


「風と……少しだけ仲良くなれたみたい」


中腹の先には、幅30センチほどの細い崖道が続いていた。


下は断崖絶壁。風が吹けば落ちる危険がある。


壮真はロープを取り出し、3人に配る。


「ここはロープで繋がって進むぞ。カラビナをしっかり固定してくれ」


サーヤは胸を張る。


「むぅ!!任せるのだ!!」


ミィはロープを握りしめる。


「……きれない……?」


「Amazonのレビューで“丈夫”って書いてあったから大丈夫だ」


リュミナは手袋を締め直す。


「この手袋……滑らなくていいね」


「よし、行くぞ。一歩ずつ、ゆっくりだ」


4人はロープで繋がり、慎重に崖道を進んでいく。


「むぅ……こわいのだ……」


「お前が一番元気だっただろ」


「……おちない……」


「風が……守ってくれてるよ」


ガラガラガラッ!!


上から岩が転がり落ちてきた。


「むぅぅぅ!?岩なのだ!!」


「伏せろ!!」


ミィは岩を見て拳を握る。


「……どく……」


ドガァァァァァン!!


ミィが落石を殴り砕いた。


「むぅぅぅぅぅぅ!?ミィが岩を殴って壊したのだ!!」


リュミナは風で小さな石を吹き飛ばす。


「風よ……みんなを守って!」


「ナイスだ!ミィ、リュミナ!よし、今のうちに進むぞ!」


崖道を抜けると、小さな平地が広がっていた。


4人はそこで休憩を取る。


サーヤは地面に寝転がる。


「むぅぅぅ……つかれたのだ……でも……たのしいのだ……」


ミィは水を飲みながら言う。


「……のぼる……まだ……」


リュミナは風を感じながら言う。


「風の音が……変わってきた。山頂が近いのかもしれない」


壮真は空を見上げる。


「ここまで来たんだ……あと少しだな」


休憩を終えて歩き出すと、突然、前方に“風の渦”が現れた。


ゴォォォォォォォッ!!


「むぅぅぅ!?なにこれなのだ!!」


「……まわってる……」


リュミナは風を読み、険しい表情で言う。


「この風……

 山が“覚悟を見せて”って言ってる……」


「覚悟……か」


サーヤはピッケルを握りしめる。


「むぅ!!行くのだ!!私たちは家族なのだ!!どんな風でも、負けないのだ!!」


ミィは拳を握る。


「……いっしょ……」


リュミナは風に向かって手を伸ばす。


「風よ……私たちは敵じゃない。ただ……山頂に行きたいだけなの……だから……道を開いて……!」


すると風の渦がゆっくりと弱まり、

やがて消えた。


「……リュミナ……すげぇよ」


リュミナは照れながら微笑む。


「風が……少しだけ、わかってくれたみたい」


風の渦が消えると、視界の先に“山頂へ続く道”が現れた。


サーヤは目を輝かせる。


「むぅぅぅ!!見えたのだ!!山頂への道なのだ!!」


ミィは静かに頷く。


「……いく……」


リュミナは風を感じながら言う。


「山頂の風……呼んでる……」


壮真は深呼吸し、3人を見つめた。


「よし……ここからが本番だ。山頂に何があるのか──確かめに行こう」


4人は再び歩き出した。


中腹の試練を越え、ついに山頂への道が開かれた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ