第77話 第三層ボス《風牙の白面》と“風の覚醒”
重厚な扉がゆっくりと開く。
中は広い円形の空間。天井は高く、淡い光が差し込んでいる。
しかし――
空気が異様に重い。
サーヤが剣を構えた。
「むぅ・・・ここは・・・ただの部屋ではないのだ・・・!」
ミィは拳を握りしめる。
「・・・つよい・・・なにかいる!?」
リュミナは羽を震わせ、胸の奥がざわつくのを感じていた。
「・・・この気配、わたしの世界の“山の守護獣”の気配に似ている・・・でも・・・もっと・・・荒れてる気がする。」
壮真は前を見据えた。
「来るぞ・・・!」
その瞬間――
ゴォォォォォォォッ!!
突風が吹き荒れ、霧が一気に晴れた。
姿を現したのは――
巨大な白い狐の魔獣。六本の尾を持ち、全身から風が渦巻いている。
サーヤが叫ぶ。
「むっ!?これは・・・ただの魔獣ではないのだ!!」
ミィは目を細める。
「・・・はやい・・・つよい・・・カマイタチより・・・ずっと・・・」
リュミナは震える声で言った。
「《風牙の白面》わたしの世界の“風の守護獣”・・・本来は人を襲わない。でもここでは暴走してる!」
壮真は剣を構えた。
「暴走してるなら・・・止めるしかないな!」
白面が咆哮した。
「――――ッ!!」
その声だけで風が爆発し、4人は吹き飛ばされそうになる。
「むぅぅぅぅ!!風が強すぎるのだ!!」
「・・・うごけ・・・ない・・・!」
壮真は踏ん張りながら叫ぶ。
「リュミナ!風の流れは読めるか!?」
リュミナは必死に風を感じ取る。
「・・・だめ・・・風が・・・荒れすぎて・・・読めない・・・!」
白面が尾を振る。
シュバァァァァッ!!
鋭い風の刃が飛んでくる。
「くっ・・・!!」
「・・・まもる・・・!」
ミィが受け止めるが、風の刃は重く、押し返される。
「このままじゃ押し負ける・・・!」
リュミナは震えながら叫んだ。
「・・・どうして・・・どうして・・・こんなに荒れてるの・・・本当は・・・優しい獣なのに・・・!」
白面の瞳は濁り、苦しそうに唸っている。
壮真は気づいた。
「・・・暴走してるんじゃなくて・・・“苦しんでる”のか・・・?」
リュミナは息を呑んだ。
「・・・そうだ・・・風が・・・痛がってる・・・!」
白面が再び風を放とうとする。
「むぅっ!!来るのだ!!」
「・・・まもる・・・!」
「リュミナ!何かできるか!?」
リュミナは胸に手を当て、風の流れを必死に感じ取った。
「・・・わたし・・・風を・・・癒せる・・・?」
その瞬間――
リュミナの羽が淡く光り始めた。
「リュミナ・・・!?」
リュミナは涙をこらえながら叫んだ。
「・・・お願い・・・風よ・・・落ち着いて・・・白面を・・・苦しめないで・・・!」
ふわり――
リュミナの周囲に、優しい風が広がった。
白面の暴風が弱まり、風の刃が消えていく。
サーヤ「むっ!?風が・・・弱まったのだ!!」
ミィ「・・・リュミナ・・・すごい・・・!」
壮真は驚きながらも叫ぶ。
「今だ!白面の動きが止まってる!!」
白面は苦しそうに唸りながらも、リュミナの風に反応している。
リュミナはさらに魔力を込めた。
「・・・風よ・・・どうか・・・白面を包んで・・・痛みを・・・癒して・・・!」
光の風が白面を包み込む。
白面の瞳から濁りが消え、六本の尾が静かに揺れた。
「・・・治まった・・・?」
「リュミナの力・・・なのだ・・・!」
「・・・やさしい・・・かぜ・・・」
白面はリュミナを見つめ、静かに頭を下げた。
リュミナは涙をこぼしながら微笑んだ。
「・・・よかった・・・風が・・・笑ってる・・・」
白面は霧となって消え、その場に一つの“風の宝珠”を残した。
壮真が拾い上げる。
「これ・・・リュミナの世界の・・・?」
リュミナは頷いた。
「・・・“風の心珠”・・・風の民が・・・本当に認められた時だけ・・・手に入る宝珠・・・」
サーヤは感動で震えた。
「むぅぅぅぅ!!リュミナはもう・・・立派な風の民なのだ!!」
ミィもこくり。
「・・・すごい・・・リュミナ・・・つよい・・・」
リュミナは胸に宝珠を抱きしめた。
「・・・ありがとう・・・みんながいたから・・・わたし・・・風を・・・癒せた・・・」
壮真は優しく微笑んだ。
「これからもっと強くなるさ。家族なんだからな」
リュミナは涙を拭き、羽を広げて笑った。
「・・・うん!!」
こうして4人は、第三層のボスを撃破し、リュミナの新たな力を手に入れた。




