幸せな日常
「リリアンヌ、この書類を宰相様のお部屋まで持っていってくれる?」
「かしこまりました」
「フィナ、こっちの書類は王妃様にお願い」
「かしこまりました」
王太子妃の執務室であれやこれやと仕事を割り振りし、すぐさま今机に積まれている書類に取り掛かる。
コンコン…
ドアをノックする音にアンが対応してくれた。
「シア、今日も頑張ってるね」
「アルバート様もお疲れ様です」
アルバート様の笑顔に私も笑顔で返す。
結婚してから半年程経った。
私の部屋は王太子妃の部屋に移動された。
といっても聖女の時代に使っていた部屋のなんと2つ3つ部屋を挟んだだけのかなり近くの部屋だったのだけど。
え…私の使っていた部屋ってそんな準王族の近くとかだったの?色々と大丈夫なの?等々驚きはあったけど、聞くのも何やら恐ろしかったので敢えて何も聞かないことにした。
結婚してしばらくはずっと寝不足になっていたんだけど…理由はまぁ察して。
最近は前ほど寝不足の頻度が抑えられていて、比較的元気に公務をこなしている。
アルバート様はアルバート様でお義母様に怒られたらしい。
「いくら聖女時代で慣れた王宮とはいえこれから王太子妃の責務でまた違った緊張や慣れない事が出てくるでしょ!少しは自重しなさい!!」と。
「シア、そろそろ公務も一段落つきそうだなと思ってお茶に誘おうとしたんだ。」
「えぇ、今ちょうどリリアンヌとフィナに書類を届けてもらっていて、それで一段落つきそうです。」
「そうか…ロイド、2人に書類届けが終わったら中庭でお茶会をしてるからそちらに、と伝えてくれ」
「かしこまりました」
アルバート様はロイド様に指示を出した後、「じゃあ中庭に行こうか」とエスコートすべく手を差し伸べてくれた。
和やかにお茶を楽しんでいる2人。
お義父様やお義母様は仲睦まじくおしどり夫婦と国民に言われているが、私達も負けず劣らずのおしどり夫婦だと城内のメイド達の会話を聞いてしまった時は思わず照れてしまった。
今のこのお茶会でも侍女やら騎士達が温かな目で見守ってくれている。
「シア、大事な体なんだからあまり無理しちゃだめだよ?」
アルバート様は気遣う様に私の手を握る。
そう私のお腹の中には新たな命がいるのだ。
「ありがとうございます、アルバート様やお義母様のおかげで自分のペースで公務ができてるのでとてもありがたいです」
アルバート様は元々私に関して過保護な部分があったが妊娠してから更に拍車がかかっている。
段差のあるところを歩く時は常にアルバート様に支えられて歩かなければいけないし、視察等は全部アルバート様や国王陛下や王妃様にお任せしてしまっている。
護衛の人数等も増やされ、他の王族の方よりも厳重になってる様はさすがの私もそこまでしなくても…と言ったのだが、アルバート様も義理の両親も聞き入れてくれなかった。
アルバート様だけでなくお義父様やお義母様の過保護も相まって逆にこっちが困ってしまうという贅沢な悩みを抱えてる。
思わずふふっ微笑めばアルバート様が「どうしたんだい?」というように首を傾げた。
「いえ…ただ、幸せだなぁ…って」
そう言いながらお腹をさすれば、綺麗な笑顔のアルバート様が「そうだね」と返事をしてくれた。
「今も幸せだけど、これからも幸せになろうな?」
「はい」
アルバート様の言葉に私も元気に返事を返す。
今日も綺麗な青空が広がっていた。
これで本編は終了になります。
今までありがとうございました!
後日番外編等も執筆していきますので、そちらの方もよろしくおねがいします!




