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令嬢のちょっとした謎解き

「ソフィアー!ようやく見つけた!探したのよー」

ソフィアを助ける術が思いつかなかったのであえて空気を読まず教室に突撃してみた。


もちろんソフィアも令嬢3人組も私を見てぽかんとしていた。


「ソフィアの荷物が教室にあったからまだ帰ってないってのは分かってたんだけどねー」

あははと殺伐とした空気の中呑気に笑い声をあげてみる。


「あなた、いきなり出てきてなんですの?」

赤髪のリーダー格のご令嬢がこちらを睨んでいる。こっわ。


「あら、ソフィアのお友達の方かしら?私はルシア・シュレーゼンと申します」


「ルシア・シュレーゼン…」

ここでリーダー格の令嬢が少し考え込んだ後、ふふっと笑い声をあげた。


「あなた…シュレーゼン家のご令嬢ね?一部の貴族の間で有名なシュレーゼン家の」


私が…有名…?


「えぇ、とてもお転婆なご令嬢でなんでも魔力無しだとか?」

明らかに馬鹿にするように鼻で笑う赤髪のご令嬢。


あーーやっぱり魔力無しで有名なのね?私って…なんて呑気に考えていたら

「ふふ、平民の女にはぴったりのお友達ですわね?」


今度はソフィアを馬鹿にしたような笑いをもらした。


ソフィアは私が馬鹿にされたことにカチンときたらしく「ルシア様は…」と何か言おうとしたが私は手でそれを制した。


「…私のことを知ってもらって光栄ですわ?そんなあなたはどこのどなたなの?」


「な!!私のことを知らないの?」


「ごめんあそばせ?私は皆さんも分かるように田舎貴族の端くれですので、他のご令嬢のことはあまり存じ上げておりませんの?」


実際のところ知ってる人達はいる。ロイド様のご実家のベルベット公爵家も知っていたし、セーラの実家のドゥオンヌ家も知っていた。


ただこのご令嬢は本当に分からない。

王太子殿下の婚約者候補になるくらいだから上位貴族ではあるんだろうけど、うーーーん困った本当に分からない。


「あの…すいません」

私は徐に手を上げた。「何よ!」っと言わんばかりに睨む令嬢。


「ひ、ヒント等いただけないでしょうか?」


「「「はぁ!!?」」」

リーダー格の令嬢だけでなく両サイドにいた令嬢も素っ頓狂な声をあげた。


「いえ、名乗っていただくのが早いのは私でも分かるんですけど、この際自分で思い出したいなぁ…なんて思いましてね?」


私の真面目な顔に唖然とする令嬢達。

私はご令嬢の正体を暴くのを半ば謎解きのような感覚で楽しんでいた。

こう見えてミステリーとか謎解きとか大好物だったんです、昔。


「ご領地は海寄りですか?」

「ええ…」

「なるほど…ということは貿易関係で財を成している有力貴族のご令嬢の可能性もありますわね?それか漁業ですかね…」


ふーむと考える仕草をしてみる。

でも海寄りとは言ったけど海に面している領地であるとは言っていない。


「…では有名な特産物はなんですか?」

「ええっと…」

ここで言い淀むご令嬢。


おい、まさか自分とこの領地の特産物分からないとか言わないよな?さっき貴族の勉強してたとか豪語してなかったっけ?


「あ、ワインが!ワインが有名ですわ!」

私が微妙な表情で令嬢を見ていたのが分かったのだろう。慌てて特産物を言い出した。


「ワイン…ですか…沿岸部にある領地は結構ぶどうの産地として名高い所ばかりですが…あ…」


ここで私はあることに気付いた。

そう、沿岸部にある領地がぶどうの産地として名高い所が何か所かあるが、その中で私と同じくらいの年のご令嬢がいる家と考えると結構絞られそう。


「あなたの赤毛はお父様譲りですか?お母さま譲りですか?」


「…私のお父様とお母様はいとこ同士でどちらも赤毛でしたの」


なるほど…有力貴族では近しい間柄で結婚させるのも珍しくはない。お父様もお母様も赤毛であるということは…。


「…マーズ家のご令嬢ですか?」


「そうよ!!遅いのよ!!私はイザベラ・マーズよ!」

マーズ家…たしか沿岸部に領地を構えるマーズ侯爵家で、家族全員燃えるような赤髪であったことを思い出した。


先程まで堂々としていて洗練されたご令嬢というイメージだったが今までのやり取りで残念さも露呈された。

本人もそのことを自覚しているのか、「いくわよ!!」と顔を赤くしながら両サイドのご令嬢に促して教室を出ていこうとした。

その際に「覚えてなさい!!」とさながら尻尾撒いて逃げる悪役のようなセリフも忘れずに残して。



覚えてたら覚えてまーす、と内心手を振りながら思っていると、イザベラ嬢の隣にいた内の1人の令嬢がこちらを振り返って私の顔を見た。


銀色の髪をツインテールの縦ロールにして、お人形のような可愛らしくもありどこか冷たそうな印象を受ける令嬢だが、表情がなく一見冷たそうに見える青い目もどこか面白そうに目を細められてるのが分かった。

縦ロールというと乙女ゲームを題材にした小説とかでは残念な扱いを受けているが、彼女がするととても可愛らしい物だった。


しかし…あの子どこかで…気のせいかしら?

彼女のどこか既視感のある表情を見送りながら、ソフィアの方へ向き直った。

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