引き抜き 8
「少しばかり風紀委員を離れた方が良いわね」
白川先輩がムッとするにも関わらず南条会長は続ける。
「そうすれば白川雪の意見も通しやすくなるわ」
「私からの要望はありません」
「あら、本当にそうかしら」
ニコニコと楽しげに微笑みながら南条会長は問う。
「白川雪、あなたは新入生の素行について思う所はない? また、風紀委員をより良くする案とかも思い浮かばない?」
「うっ……」
白川先輩が詰まる。
普段ならここぞとばかりに責め立てるのが南条会長だけど、まだ言いたいことがあるようなのか止まらずに。
「いい? あなたが風紀委員を離れるのは裏切りじゃないの。分からせるためーー自分を含め、戦闘用員でなくとも自分達は風紀委員の一員であることを知らしめるためなのよ」
「……非戦闘用員でない風紀委員のため」
「そう、あなた達非戦闘用員の大切さ分からせるのよ」
「……風紀委員の今後のため」
「そう、下を省みない組織に先なんてないわ」
「…………」
白川先輩の瞳が揺れている。
風紀委員に留まるか去るか。
南条会長の言葉を退けるか受け入れるか天秤にかけているのだろう。
さて、南条会長はどうとどめを刺すかな。
おそらく白川先輩は後一押しで落ちるだろう。
僕は注意深く南条会長を観察していると、彼女はタップリと間を置いてから。
「辞めたくなったら圭一君を頼りなさい」
「僕の名を出ーー」
「入ります」
ルール違反だと異を唱えかけた僕だけど、白川先輩の声が被る。
「白川先輩、南条会長の甘言に騙されないで下さい。僕はそんなことをする保証がーー」
「南条さん、折り入って頼みがあるのですが、他の風紀委員も連れてきても良いですか?」
「構わないわよ。風紀委員ならそれなりの人材が揃っているだろうし」
「無視かよ」
またもや僕は蚊帳の外へ置かれてしまった。
「……はあ」
南条会長と白川先輩はすでに具体的な話の煮詰めあいに入っている。
こうなると僕が何を言っても無駄だろう。
果たして二人はこれから先に起こることを理解しているのだろうか。
白川先輩の行為は風紀委員に反旗を翻したと非難されても仕方のないだろう。
「……神崎さんは怒るだろうなあ」
それはもう烈火の如く。
死人すら出てもおかしく無いぐらい怒り狂うだろう。
ここでチラリと南条会長と白川先輩を見やる。
後から入会する風紀委員と含め、マトモな戦闘が出来るのは僕以外にいない。
「神崎さんと戦う羽目になるのか」
おそらく神崎さんは決闘を申し込んでくる。
風紀委員と生徒会だと彼我の実力がありすぎろので、弱い者虐めと指図されないためにどうしてもそうなってしまう。
僕としては神崎さんと戦わなければならないことよりも。
「僕は生徒会役員としてカウントされているんだな」
まはや周知の事実として認識されている事実に僕は黄昏た。
さて、まことに申し訳ないのですが、この話を持って“魔法学校の中の刀使い”は凍結します。
更新するか刷新するかは分かりませんが、この話は消さずに置いておきますのでご安心下さい。
それでは、ここまで読んで下さりありがとうございました。




