第1話 交配とは賭けだ
雑魚モンスターの配合を繰り返して最強を作っていきます
いやっほ〜!! スライム同士、成功確率はたったの25%!! ギャンブルいくぜ! レッツ交配!!」
ドカァァァァアアン!!!!
激しい爆風は俺の小屋を揺らし、俺自身も実験用の庭から道路に吹っ飛んで天を仰ぐ。
俺——レン・グラノヴァ、18歳は粘液まみれで、頭がガンガンし顔を顰める。
「……チッ、また失敗かよ。あぁ、畜生……」
地面に拳を叩きつけた。
そんな事をしていたら近所のオバハンが家から出てきて叫ぶ。
「またあんたかい! うるさいし危険だし無能なんだから静かに農民でもしたらどうだい!」
この人自身も農民なのにネチネチと無能だとか文句を言う。だがもう慣れたモンで、むしろ今はスライムのネチョネチョに困っている。
それに無意味に今まで何匹も殺してしまって罪悪感が強い。
「すみません……まだ夢は諦められないんで」
笑って謝るが正直、心は挫けそうだ。
この通り、俺は村の評判に関わるレベルの落ちこぼれの問題児扱い。
技能方向性は統魔士、つまりテイマーだと示されたが未だ開花はしない、俺は未熟で惨めだ。
そのせいか同じ底辺扱いされているスライムに惹かれる。
こいつからだって交配を繰り返せば国軍や魔王軍を凌駕する、まだ見ぬ至高の魔物が出来る筈だと俺は信じてやまない。これはプライドだ。
……と? スライムの片割れがまだ生きていた!
そのスライムは隅でプルプル震えている。
「そんなところに吹っ飛んでいたか……ごめんよ。ほら、おいで」
ついさっき買ったスライムだ、名前も無い。その子に薬草を与え肩に乗せて庭で座っている。
風とスライムのひんやりとした気持ちよさを感じていると前の道路を歩くローブを着た年寄りがこちらを見た。
何? ギルドの奴か? また文句言いに来たか?
そう思っていると嫌な予感は的中なのか寄って来た。
あーあ、リラックスタイムも終了か。
「何様で?」
ちょっと嫌味ったらしく言う。なんせアイツらは俺を冒険パーティに入ることすら許さない。
だから、そもそも追放されちゃってどうしよう! と同情を集める以前の問題なのだ。
「いや、個人の統魔士なんて久しぶりに見かけたからのぉ〜ついつい話しかけてしまったわい。……お主、先ほどの失敗時の技法的に我流か?装備が無いようじゃが」
ただならぬ魔力を感じる。全身を見るよりも先に魂が感じ全身の毛が逆立つ、これは圧倒的な格上の人間だと。
それにスライムはぷるぷる震え始めた、怯えているのだ目の前の老人を相手に。
「……えぇ、お金も無いので我流だし捕獲器具も無い。それも捕獲ではなく買ったスライム肩に乗せて、もはや統魔士を名乗って良いモノかどうか……」
名乗る資格……無いよな。
「ほお?捕獲の杖や腕輪も買えんのか」
なんだ?
セールスなのか?
こんなオーラでセールスマンなのかっ??
「買える買えないは置いて、それらよりもタカネって人が開発した烙印銃が欲しいですね〜。扱いの難易度のせいであまり流行ってないけどアレが一番イカしてますね、知ってます?」
その老人はフードを脱ぐ。
眼鏡と頭が輝かせながら言う。
「嬉しいのぉ! それ作ったのワシじゃよ、ほれ無料でやるわ!」
手のひらにゴトっとマットでブラックなダブルアクションのリボルバーを渡してきた。これは正真正銘の最上級版の烙印銃だ。
「なっ!?? ほっ、本物のタカネさん!? それにホントに良いんですかァ!??」
な、なんてこった!? 憧れの人に態度悪くしちまったよ! つくづく思うが俺はバカだ。
「正真正銘タカネ・ブランドじゃ! それはやる、未来に投資じゃ。んで今は隠居してお主の様な将来有望そうなのを探し回っているんじゃ。個人でやる度胸のある者が好きでな」
……ん? 将来有望??
「ど、どこが俺が将来有望だと……?」
「お主が秘めているスキルは全て統魔士向けじゃからな、この眼鏡は特殊で素質を見れる」
「それはもうスキル判明の儀式でわかっていますが開花しなくて……」
「がむしゃらに盲目的に走り過ぎておるな、まず低レベルで交配すると危険じゃ、他に例えば……」
そこから俺はとても貴重な話やアドバイスを受けた。俺が感謝すると、気にするなと一言の後に自分の烙印の銃から翼竜を出して飛び立って行った。
「本当に烙印銃貰っちゃった!! じゃあさっそくスライムを捕まえてみるか!」
俺はその場で子供の様にジャンプして喜んでしまった。
そして森の方に足を運び、スライムを2匹見つけたので手持ちの買ったスライム(レベル15)を戦わせる。
「行け!買ったスライム!」
ぷるるっ! と跳ねて野良の方に不意打ちで突進した。
「そのまま木に叩きつけてやれ!」
そう言うと指示通りにタックルの連撃をし、野良達を瀕死に追い込んだ。
「照準を合わせて……発射!」
捕獲用の魔力弾を放ち着弾すると青く光った! つまり成功だ!
スライムは弾丸の中に収納された。レベルは8と12でアビレージ10だ。
「よしっ! 帰るぞ!」
そう言いながら買ったスライムを撃って収納した、今の俺の魔力ではこの3体が限界だろう。俺自身の鍛錬もしなければな……
色々と考えつつも帰路に着いた。そして早速自宅の庭で2匹を並べた。
「確か烙印銃経由で交配させた方が確率が上がるんだよな……」
スライム達を見ると確率と他に見覚えのない項目が現れた。
——
【交配対象:スライム×スライム】
【交配結果予測:スライムorドススライム】
【成功確率:スライム92%ドススライム76%】
——
「ん……? 交配結果が見えるぞ! これはスライムかドススライムに交配出来るのか!」
もちろん選ぶのはドススライム!!
「いくぜ確率は76%! 勝ったも同然! レッツ交配!」
そう言いながら魔力弾を放つと眩い光に包まれた。
「眩しっ!? ……チカチカする〜出来たの? ……おお! ドススライムじゃないか!」
ぶるるんっ!! と大きめで青から緑色のスライムになった。この特徴はドススライムと合致する。
この達成感に酔いしれながらも俺は世界に自身を認めさせる野心を燃やす。
評価などよろしくお願いします!




