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#1 俺は、信じない!!

学園都市【ヘヴン】。数多の学園が点在する大都市は、

剣や銃、魔法を使う者たちが統治する、世間から独立した"異世界"。

そんなヘヴンに嫌悪の目を向けるヘヴン外の人間が多い中、

一人の平凡な少年が、ヘヴンにある学園【聖騎士学園】への入学を迫られていた...

「待ちなさい、ユウ!!」

母アイリの怒号が響く中、竹中ユウは、家を飛び出そうとしていた。

「俺は、信じないから!! 何が聖騎士学園だ!! そんな学校あるわけないよ!!」

ユウは、アイリから学園都市【ヘヴン】にある、聖騎士学園へ入学するように迫られていた。

日頃から怠惰な生活を送っていたユウに嫌気がさしたアイリは、全寮制の高校である、

聖騎士学園へ入学させることで、しっかりとした生活をするようにさせたいのだ。

「待って、ユウ。これは、あなたのためよ。」

説得しようとするアイリだったが、ユウは無言で走り去って行った。

ため息をついたアイリは、首から下げた半星形のペンダントを見つめた。

「ご先祖様、私は、母として... いったいどうすれば...」



その後、ユウは友達の家に駆けこんでいた。

「ダン、いる?」

息を切らすユウの元に、彼の親友、ダン・ヒーランが駆け寄る。

「また母さんと喧嘩したんだろ?」

ダンには既にお見通しだった。ユウは、前にも母と喧嘩した後に来ていたからだ。

ユウは、今回の事情を、包み隠さず全てダンに話した。すると、ダンは驚きの表情に。

「お前も聖騎士学園へ入れって言われたのか...? オレも父さんから行けって...」

「そうだったんだ...」申し訳なさそうなユウ。

「お前の場合、サボり癖を直すためだろうけど。」ダンがボソッと呟いた。

反論できないユウは、無言で歯を食いしばった。

「オレの場合は... 、言うまでもない。秘密だ!!」

「ずるいよ、ダン!! 俺が行けって言われた理由は知ったくせに!!」

不満を爆発させるユウに、ダンが提案する。

「なあ、ユウ。お前の母さんの望み、叶えてやってほしい。オレも力を貸すから。」

「ダン... 君はいいの? 君だって行くのは嫌だと思うけど...」

しばらく沈黙が続いた後、

「オレの先祖は、聖騎士学園で学んでいたんだ。チュレッカ・ヒーランって名前。」

その名を聞いてユウはハッとした。母アイリからも伝え聞かされた名前。

「チュレッカ・ヒーラン... まさか、君のご先祖様だったなんて...」

「オレも聞いた時は驚いた。まさか、聖騎士学園が御伽噺じゃないなんてな...」

そして、ダンはユウに手を差し伸べた。

「オレの提案だ、ユウ。一緒に聖騎士学園に行こう。学園都市【ヘヴン】に。」

ダンの言葉に、目頭が熱くなったユウは、ダンの手を握った。

「約束するよ、ダン。一緒に行こう。一緒なら乗り越えられる気がする。」

「気がするじゃねえよ、オレは確信してるぜ。お前となら、乗り越えられるって。」



その後、ユウは、ダンに見送られながら家に帰った。そして、母アイリと、父スグルの前で、

「俺、決めた。聖騎士学園に行く。ダンも一緒だから大丈夫。」

息子の宣言に、男泣きするスグル。「行ってこい...!! ユウなら大丈夫だ!!」

アイリも、「決めたなら、しっかり学んでくるのよ。」と念を押す。

「絶対に、無事に卒業して帰ってくる。」ユウは、そう言うと早速ヘヴンに行くため準備を始めた。

母アイリによると、ユウは、無能力学科に入ることになっている。と、ユウは気づいた。

「ちょっと待て... 無能力学科ってことは、ヤバい能力持ちの学科もあるんじゃ...」

深く考えすぎない方がいいと判断したユウは、準備を終わらせて夜の支度を済ませ、寝た。

翌日、ユウはダンと合流し、聖騎士学園の最寄駅に向かう電車に乗り込んだ。

「聖星駅ってカッコイイよな!!」

ダンが、最寄り駅の名前を見て言った。

「俺的にはそう思わない。サークラ駅の方がいいと思う。」

ユウは、地図に書いてある、聖星駅からかなり離れた場所にある駅を指さして言った。

二人で話している間に時間は過ぎ、列車は聖星駅に到着した。

駅のホームに降り立った二人は、唖然とした。

重そうな鎧や見たことも無いような服を着た学生が、剣や斧、弓などを携えて歩いている。

「俺は信じない...」と、ユウ。ダンは驚きのあまり声が出ない。

「俺は、信じない!!」ユウの叫び声が響く。


その声は、路地裏の不良集団に耳にも聞こえていた。

「あ? なんだ? やべぇ奴が叫んでやがる...」

「なんかヤバそうだから逃げようぜ...」

「そうだな、人が集まって来ちゃ、俺らがいることがバレちまう...」

警戒のあまり本来の目的も忘れた不良たちは、そう言うと小声で話しながら路地裏を去って行った。

その不良たちのいた場所で、傷だらけでうつ伏せになっている水色の髪の猫耳少女のピンクの瞳が、

ゆっくりと閉じかけていた。その目には、自分を置いて立ち去っていく不良たちの背中が映っていた...


つづく

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