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第二項 安らげない休み(第14話)

第一部 新世界の産声編 一章 交差する世界 二節 不思議な平原

話数付けないと分からなくなるので追加

「何なのだここは……ッ!」


 奇妙な平原にやってきてからひと月が経った。


 相変わらず何も無いところだが、どこからともなくおかしなモノが沸いてくるのだ。


 ある時は地面から滲み出るように這い出し。


 ある時は草木に擬態してこちらに取り付こうとし。


 ある時は何もないところから浮き上がるように姿を現す。


 多彩な出現の仕方であるが、おそらく根源は同じ種の生物。


 不定形の実体を持ち、有機物無機物問わず融合可能な性質を持つようだ。


 生意気にも我を取り込もうとしてきたから消し飛ばしてやったわ。


 しかし、問題が一つ。


「どれだけ居るのだ!」


 どうにも、この不可思議な平原にはそこら中にこやつ等が居るようであった。


 以前、気配を探った時にはこやつらがそこら中に居たという事なのだろうか?


 今に至っては我が反撃したのが切っ掛けか、この平原に居たこやつらの仲間が続々と集まってきているようであった。


 おかしい、我は自由と休養を求めてここまで来たというのに、このような木っ端共に煩わされている。


「ええいっ! 鬱陶しいぞ貴様らぁっ!」


 こちらに群がってくる化生共を薙ぎ払い、我は久方ぶりに力の一端を解放した。


 そうして唱えるのは、殲滅魔法と恐れられた我が得意とする魔法の一つ。


 生身で唱えようとするならば、頑強な声帯が複数なければ唱えられぬこの魔法は、近隣の指定した対象物及びその同種同族を文字通り殲滅する物だ。


 近年では無詠唱などと言う甘えた技法が流行っておるようだが、詠唱を蔑ろにして魔の深淵を極めた気になっておるとは片腹痛い。


 解放した力を喉に収束させ、龍の声帯を通して魔声と共に龍言語にて魔法を発唱する。


『汝ら悉く灰燼と化せッ! アナイアレイション!』


 こちらの発声と共に発生した消滅の光を伴った波動が化生共を飲み込み、塵芥へと変えていった。




「よし、来なくなったな」


 鬱陶しくも奇妙な化生共を消滅させた後、しばらく待ってみたが襲撃の気配はない。


 平原に居る生命の気配はだいぶ落ち着いた。


 あの数の多さはあれらのせいであったらしい。


 ひと月ほどあれらの相手をしていたせいで飲まず食わずに加えて睡眠も取れておらぬ。


 何か口にして睡眠を――と思ったが、龍種である我にとって、断食も不眠も特に意味のない物であった。


 王として生活している間は食事も睡眠も毎日のように取って居たが、自由な今はその必要もない、か。


「……いや、食事と睡眠は必要だな。うむ」


 大昔に死んでしまった我の連れ合いが文化的な生活を取れと口煩く言っていたのを思い出した。


 野生に帰るのならともかく、これから冒険者を目指す我が文化的な生活を忘れてはいかぬからな。


 とはいえ、何か我の口に合うようなものはあるだろうか?


 まあ良い。ようやく静かに見て回ることができるのだし、周囲を散策してみるとしよう。


 とりあえず、野兎の一匹でもいたら行幸だろう。


「それにしても、あのような生き物は初めて見たな」


 歩き出しながら思案する。


 記憶を探ってみるが、あのように奇怪な生物は見た覚えがない。


 強いて言うのであれば粘液生命体が近いが、あれに何かしらと融合するような性質はなかったはずだ。


 或いは、突然変異か?


「どうせなら、一匹くらい捕らえておけば良かったかもしれぬな」


 ああいった珍しい生物の研究をしていた友を思い出した。


 まあ、捕らえたところで研究する者がいないか。


 それよりも、今は食することが出来そうなものを探そう。

短い

自重できてる

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