一項 久方振りの休養(第13話)
一部 新世界の産声編 一章 交差する世界 二節 不思議な平原
龍王様視点です
国元を出たのは良いのだが、ここはどこだ?
「ふむ、しばらく出ない間にこうも変わるか」
我の記憶だと、この辺りは広大な荒地であったはずだが、こうも青々としていただろうか?
目の前に広がる平原を眺め、我は訝しんだ。
記憶と現実の差異があまりにも大きい。
「まあよいか」
長く生きていると、こういうこともある。
我も大昔に、眠って起きてみたら大変なことになっていて苦労した。
あの頃の苦労に比べたら、ちょっとした記憶の差異など些末なことだ。
「さて、休みを取るとはいえ、どうしたものか」
休むという行為自体が久しぶり過ぎてどう過ごしたものか悩むな。
思い立ってすぐに出てきてしまったので着の身着のままだ。
当然、金銭の類も持ってはおらず、宿に泊まることもできぬ。
もっとも、我は本来、野宿が普通であったから問題はないのだがな。
いかん、王としての生活が身に沁みすぎている。
ここはひとつ、昔の野生を取り戻す為にどこぞの秘境にでも向かうか?
いや、落ち着け、野生を取り戻してどうする。
長命種は考え方が極端だと昔の仲間に何度も言われたのを思い出した。
そもそも、この平和な世の中に凶暴な龍など要らぬであろう。
となると、人の姿で市井に紛れて生活するというのが無難だろうか?
「そう言えば、我は冒険者と言う物になってみたかったのだ」
そうだ。思い出したぞ。
王になってしばらく経った頃、我は自由気ままに世界を渡り歩く冒険者と言う職業に憧れていたのだ。
「よし、決めたぞ。我は今日から冒険者だ」
確か、冒険者には所属すべき組合と言う物があったような気がするが、組織に所属するのは面倒だな。
まあ、その辺りは適当に誤魔化すとしよう。
自称・冒険者。当面の肩書はこれで往くとしよう。
「しかし、冒険者とはどのようなことをするのだろうな?」
世界を渡り歩いて何かをなしているのは違いないのだろうが、彼らの具体的な活動内容までは知らぬ。
ダンジョンを攻略しただの強大な魔物を倒しただのと言う話は聞いたことがあるが、そのように簡単なことで良いのだろうか?
後は――そうだ。依頼を受けるのだったか。
「ふむ、依頼か……つまり、依頼人が必要なわけだ」
となれば、まずは依頼人を見つけるために人の住む所を見つけねばならんな。
この見慣れない平原のどこかに村でもあればよいのだが。
どれ、気配でも探ってみるとするか。
「……わからんな」
生命の気配があり過ぎてどれがどれだかさっぱりわからぬ。
我としたことが、弱き者達の気配の違いがすっかり判らなくなっていた。
これも王としての生活による弊害か。ままならぬな。
「仕方がない。地道に探すか」
しかし、休養目的で飛び出してきたものの、なかなかに休まる暇がないな。
とはいえ、この程度の事で疲れはしないし、むしろ楽しさを感じているくらいである。
城での詰まらぬ公務よりは余程マシだな。
「くくく、待って居るがよい。まだ見ぬ者共よ。我が貴様らの依頼をすべて解決して見せようぞ!」
短め
ここは抑えられてる




