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貴族の娘の願い

アタシは後悔している。

童話の神様や世界の王みたいに気軽に願いを言ってみろだなんて言うものではない。

こんなこと、もう二度とするまい。

妖精さんと言われて気分が良かったことと、クラウさんの夢を壊したくないからって演じていたけど。

アタシの漢字知識の魔道具と世界の王から授かった物作りの能力があれば大概の物が作れると踏んで望みを聞くことにしたのだけど。


初めからアタシが何か見繕って渡せば良かった。

だって御祝儀に望むことが『身長を伸ばして欲しい』だと。

海外は知らないけど元の世界では170センチもあれば、満足出来る身長なのにそれを更に伸ばせだと。

そんな願いで伸ばせるくらいならアタシが伸びているって。

兵隊さんが言うように小柄な自分がコンプレックスになっているのだろうが諦めて欲しい。

魔石に『伸』と書いても魔石が伸びるだけだと思う。

身長は伸ばす事は出来ない言うと、今度は『胸』を大きくして欲しいと。

アタシの体型を見ていっているのかと、小1時間説教したくなったがなんとか抑えた。

魔石に『豊胸』とでも書いたらどうなるのだろうか。試してみたい衝動に駆られてしまったがそれも抑えて。

胸を大きくすることは出来ないと言うと、今度は『目』を切れ長に、『鼻』を高く、『顔』を小顔に、『髪』を聖なる色に

って最後は違うかもしれないがどんだけコンプレックスを持っているんだ。

全部まとめて却下だ。

本当は出来ないけど今のアタシは妖精さんだから出来るけどしないと思わせる芝居を打つ。

一つでも身体のパーツを変えたらバランスが崩れる、そうなると全てを変えなければなりません。

そうすると、クラウさんはクラウさんではいられなくなります。

だから体型の変更は絶対にしてはいけない事になっていると伝えたら、

漸く諦めたようだ。

初めからそう言っておけば良かった。

長い回り道をしてしまったがやっと御祝儀を渡すことが出来た。


クラウさんが望んだ物は『闇を祓う聖なる物』。

なんでも、物心がつく前に父親が居なかったらしく母親からは闇の魔物を退治しに行っていて戻れないだけだと聞かされていたと。

小さい頃から帰ってこない父親は私が助けないといけないと考えて魔物を倒す力を得るために鍛えた。

残念なことに魔力が少なかったので魔術師にはなれなかったが人並み以上に力がついたので剣士にはなれた。

そして当時最年少の冒険者となり力だけでは無く技術も磨き続けた。


そして15歳の誕生日、大人となった時に父親はすでに死んでいると聞かされた。

何の前兆も無くある日まるで闇に飲まれたかのように忽然と姿を消した。

当時冒険者ギルドに依頼をして捜索もしたが、足取りさえ掴めなかった。

それを聞いて私は当時の事を知っている人に話しを聞き回った。

そしてそこで噂を聞くことができた。

闇の力に囚われ闇の世界にさらわれた。

ちょっと違う。闇の世界に自分から行った。

闇の力を知り自分が闇を統べようと闇の魔王を退治しに行ったが負けて殺された。

等の闇に関することばかりであった。


私は闇の力に恐怖に感じた。


それからもいざという時に闇の力に負けないように鍛え続けた。

その間も闇について調べた。知らないことが一番の恐怖である。だがあれだけ噂に上がっているのに闇というものが何なのか誰も知らない。

ただ言われるのは闇に関わってはいけないと言うことであった。

闇が何なのか分からないのにどうやって関わらないようにすればよいのか分からない。

だから闇を祓う聖なる物が欲しいと言うことであった。


闇と言うとあの見えない悪魔のことかな

負の心を助長して闇魔の世界に誘ってきていたよね。

なるほど、それなら贈り物が出来そうだ。

基幹となる部分は簡単だ、でも形状はどうしようかな。

結婚するなら武器なんて当然却下だし防具も同じだ。

そうしたら装飾品かな。

リングでは魔石を小さくせざるを得ない。とてもじゃないが祓うなんて出力が足りそうにない。

ネックレスならサイズ的には良いのだが、しっかりデザインにしないと服装によってはおかしな事になりかねない。


そんな訳で選らんだのはリストバンドである。


リストバンドは装飾品じゃないと言われてしまうかもしれないが、はっきり言って生涯使える装飾品のデザインなんて出来ません。

だから安直な方向に進むことにした。


「ちょっと待っておれ」とクラウさんに伝え、木のうろに隠れ潜伏スキルを使う。

作業しているところは見られたくないからね。

ここからは突貫作業だ。

お尻から糸を出して、ゴム編みをする。

魔石に刻むのは

『聖闇近自動起動聖闇祓停止』

丸文字にして当然隠蔽処理する。

世界で一つだけの魔道具の完成である。

潜伏スキルを解除して木のうろから出ると誰も居なかった。


クラウさんは何処に行ってしまったのだろう。


って思っている間に振動感知によって集団が遠ざかって行くことが分かった。


アタシが作業をしている30分間に兵隊さんに見つかって連れていかれたらしい。


アタシってば作業に没頭し過ぎて騒ぎが聞こえなかったみたいだ。

タイミングが悪い。

しかも大剣置いていっているよ。

どうしようか、ってどうもこうもないや、お届けに行かなきゃ。


荷物の増えるマッキーであった。


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