修学旅行8
収穫なしか。冬馬さんは、見てないよね?」
「うん、見たよ。」
「だよなー。って!? 見てた? 沢田さんが誰かにぶつかって、そのはずみで、船木さんに抱きついてしまったんだよね?」
「いいえ、沢田さんは、故意に突き飛ばされた感じだったよ。」
「間違いない?」俺は彼の無実を証明できた。そう思った。
「うん、間違いないよ。ただ、私の友達に触ったのは事実だけど。」
「そりゃそうだけど、触りたくてじゃないし、故意でもないんだから、そこは許してやってよ。」
「そうね、あんまり、庇うのもなぁって。でも、あなたが、真剣になって、彼の無実を証明しようとしてるから、真実を話そうかなって。」
「冬馬さんが目撃したって。」
それから、彼女がことの経緯を説明した。
「彩綾が言うなら、間違いないね。ごめんなさい、沢田さん。」船木さんが謝った。
「わりぃ、勘違いした。悪かった。」翔太さんも謝った。
「いや、いいよ。分かってくれて良かった。僕が自分で証明しなきゃいけなかった。それでも僕の無実を信じて動いてくれた、晴人さん、本当にありがとう。」沢田さんが泣きじゃくって、お礼を言った。
「晴人君やったね、本当かっこよかった。」
「そう言う穂乃果も、頑張ったじゃん。」
「私は、晴人君の…そのためだから…沢田さんのためじゃないから。」
「だけど、晴人君は、偉いよ。尊敬しちゃう。」
「俺の為か、複雑だけど、嬉しいかな。俺だって濡れ衣かけられたら…そう思ったら行動してた。」
「おーい、なんか騒ぎがあったみたいだな。まずは先生に報告だろ?」
先生、今頃…おそっ。俺は心で呆れた。まぁすぐ先生に頼っても良かったな。
「先生、私が説明しますね。」穂乃果がことの経緯を説明した。
「先生遅すぎですよ、何やってたんすか?」翔太さんが言った。
「あのな、俺はみんなを見てなきゃいけない。そもそも別のトラブルもあったんだぞ。」
「別のトラブル?」
「ああ、財布を紛失したらしい。それで遅れた。」
「色々トラブルありますね。」俺はそう呟いた。
「晴人お疲れ様。」美咲が言った。
「ありがとう。」美咲に返事をした。
肘で突っつかれた。その方を見ると穂乃果がいた。
「晴人君、お疲れのところ悪いですけど、本堂、行こう。」
「おーい、次まわるぞ! トラブルで時間押してるから急いで。」先生が大きな声で言った。
「えー…晴人君と本堂の景色…見たかったのに。」
穂乃果が落ち込みながら言った。
そんなに落ち込む? まぁ好きな人と景色共有したいよな。って…俺か。慰めてやるか。
そう俺は思って、穂乃果の頭にポンと手をやった。
「またこよう。今度は2人でさ。」
「晴人君…うん。絶対だよ。」穂乃果がそう言って、俺と腕を組んだ。
「ちょっと、私の目の前で、あんまりイチャイチャしないでくれる? それと修学旅行なんだから、そんな腕組んだら駄目でしょ。」美咲が言った。
「美咲ちゃんの言うことも一理あるけどさ、個人の自由だし、そこまで、厳しいのは、カップルには酷だと思うの。」穂乃果が美咲に言い返す様に言った。
怖っ…女の子同士の言い争いには、参加しない様にしようと思った。
「カップルですって? はぁ、あなた達、カップルになってたの? 晴人、穂乃果ちゃんの言うことほんと?」
「俺に振るなよ。勘弁して」俺は美咲に言った。
「ウフフ、公然の仲だよ。」穂乃果が笑顔で言った。
「付き合ってたんだ…そっか。」美咲が呟いた。
「ううん、まだ付き合ってないよ。あは。」
「はぁ? どういうこと? カップルじゃないんじゃん。」
「えへへ、仮カップルかな。」穂乃果が小悪魔に見えた。
「穂乃果ちゃん、揶揄ってるのかー。全く腹だたしいわね。」
美咲がイラッとした様に言う。
「次は、嵐山か。楽しみだね。」俺は話をぶった斬った。
「うん、晴人君となら、何処でも楽しいよ。」穂乃果が微笑んで言う。
「穂乃果ちゃん、なんて、猛アピール。私より凄い。」美咲が驚いて言う。
「うん、けど、2人きりじゃないからかも。それがテンション高いからかも。」
「多分2人きりだと、緊張しちゃう。」穂乃果説明する様に言う。
「普通逆だも思うんですけどー。
やっぱり穂乃果ちゃんも、結構変わってるよね?」美咲が口を尖らせて言った。
「だって…ドキドキしちゃうもん。2人だと。美咲ちゃんは、そう言うのない?」
「晴人と2人きりの時は、確かにドキドキするね。分かるよ。私も。」美咲が同意した。
「えっ…違うよぉ、晴人君じゃなくて別の男子ね。」穂乃果が動揺した感じで言う。
「他の男子なんて、緊張しないわね。ドキドキしないもん。」
「そーですか…私もだけど、はぁ、晴人君モテモテだぁ。」
「はいはい、ってか穂乃果のが数倍モテるけどな!」俺は穂乃果が告られる現場を、よく見るからそう言った。
「晴人君のその台詞、それ前にも聞いた気がする。私の場合すぐ諦めてくれるよ? でも、晴人君は、みんなしつこくない?」
穂乃果が聞いた。
「…しつこい?」美咲が言って、穂乃果を睨んだ。
おーい失言だぞ。と心で呟いた。
「なんでそう思うの? しつこいって。」
「えっと…私が見る限り、晴人君にアプローチしてくる子は、すぐに諦めないで、何度もアタックしてる子が多いかなって感じたの。それに比べて、私は一度告白されても、その場でフったら、その後はほとんどアタックされないし…。特に意味深に言ってるわけじゃないよ!」
「それってさ、私のことだよね? 喧嘩売ってます?」美咲が言った。
「ううん、私の友達の子もそうなんじゃないかなって。ごめん、想像で言ってたかも。気に触ったらなら、謝ります。」穂乃果が頭を下げて言った。
「ふーん。想像か。ちょっとイラッときちゃった。本当のことなのにね。」
「まぁまぁ、その話はこれでお終い。俺が全部悪いって事で。それより修学旅行楽しもうよ。」
2人が頷いた。
「お、嵐山が見えてきたよ。」そう明るく俺は言った。




