危険な三角関係2
俺と可憐は腕を離した。
「やぁ、穂乃果元気?」
「ふふ、晴人君、元気だよ。」そう穂乃果は、返事を返した。
「ごめん、私が勝手に晴人にくっついたの。さっき絡まれてるところを助けてもらったから。」可憐が事情を説明した。
ふぅ、危な。これで納得してくれるかな。いや、そもそも穂乃果は、彼女じゃない。そんなに気にする…いや、好きなのに、この考えは間違いだな。
「そうなんだ…へぇ…そっか。でも身体密着させる必要あったのかな?」
そう言った穂乃果の表情は、険しくなっていた。
ピンチ…確かにそうだけど、なんて説明すれば…穂乃果に特別って昨日言ったばかりなのに、これは、彼女が怒るのも無理ないし。
「「凄い怖かったから、晴人に甘えたの。だから晴人は悪くないの。」
「…悪いなんて言ってないよ。2人の邪魔しちゃったね…私。」
ん…デジャブ感が…そうか! 図書室の時の。これって、あの時、俺と可憐に嫉妬して立ち去ったんだ。
つまりあの時から俺のこと…好きだったのか?
なら、また穂乃果が立ち去ってしまう。止めないと。
「邪魔してないよ!」俺は、叫んで言った。
2人は、俺の声を聞いて驚いた表情をした。
可憐には、悪いけど、今は穂乃果のことを考える。
「ごめん、いきなり大きい声だして。」2人に謝った。けど、そう叫ばないと、穂乃果が前回同様立ち去るから、そうした。
「可憐ごめんな、ちょっと穂乃果と2人で話し合いたいから、ちょっとここ離れる。」俺は可憐にそう伝えた。
可憐は無言で相槌を打った。少し寂しそうな表情をしていた。それが俺の心を強く締め付ける。
「穂乃果俺とちょっと2人で話そうか。」
「うん。晴人君が話したいなら。可憐ちゃんとも今日話し合いしようと思ってるから。」
「後で可憐ちゃん2人で話そう。」
そう穂乃果が言った。
「分かった、私待ってるね。それとも私がここ離れようかな。」
「いや、ここにいて。さっきのやつの事もあるし、心配だからさ。」俺は可憐にそう言った。
「はい、そうします。」可憐が言った。
そうして俺は、可憐と距離をとったところに穂乃果と一緒に移動した。
ふぅ…心で深呼吸をした。
穂乃果の表情を窺うと、ちょっとムッとしてる感じを受ける。けど、緊迫した状況なのに、やっぱり可愛いなと思ってしまう。
さてこれから、何を話そう。穂乃果、俺のこと好きだろ…か? それとも誤解してる…か? もちろん、下手なことを言うよりは、まず謝ることが先だろうけど。
でも…謝る? どう謝るんだろ。君の気持ちを知らないで、可憐と身体を密着させたこと?
そもそも彼女でもないのに? それも変だな。難しいな。謝るにしても。
「ごめん、昨日穂乃果のこと特別って言ったのに、他の子とその…密着させるの断れなくて。」これが、考えに考えた謝り。俺の思いは伝わってたかな。
「本当だよ、晴人君。昨日私のこと特別って言って、今日違う女の子とイチャイチャするなんて、そんなの普通に怒りますよ。」
彼女は、人差し指を立てて、注意するように言った。
「でも…事情聞いたから、可憐ちゃんの気持ちも分かるよ。晴人君がかっこよすぎて、そうしたんだと思う。」
「私だって昨日晴人君に、手を重ねたし。可憐ちゃんに怒る資格ないから、やるせなくて。」
「ああ、そっか。ってか、かっこよすぎたってちょっと恥ずかしいよ。」俺は照れながら言った。
「本当の事だもん。晴人君は、かっこいいよ。」穂乃果がそう言って、俺を見つめた。
「晴人君、私も身体密着する。いいよね?」
負けず嫌いなのかー。ちょっと可愛すぎる。
ただ…可憐が見てるしな。けど拒否するの無理だ。
「良いよ、おいで。」そう言って手を広げて言った。
「行くね。」そう言って穂乃果が抱きついてきた。ふぅ、幸せ者だ俺。
「あはは、あったかい。これで許してあげる。」そう言って穂乃果は、離れた。
「じゃあ、私可憐ちゃんと話してくるね。」そう笑顔で言った。
「分かった、俺ここで待ってるよ。」俺は笑顔で穂乃果を見送った。
可憐の視点
「可憐ちゃん、お待たせ。話し合いしよう。」そう言って、穂乃果がベンチに座ってる、私の隣に座った。
晴人とさっき抱きついていたのを、私は見逃さなかった。
「うん、話しってやっぱり晴人の事だよね?」
彼女は、晴人しか見えない…だからそう思った。
「うん、そう。私ね、誕生日に晴人君に告白しようと思う。だからその前に、可憐ちゃんに告白してもらおうと、思ってるの。」
「それで、お互いスッキリしよう? 恨みっこなしで。駄目かな?」
「それと出来れば、わだかまりなく、これからも、可憐ちゃんと仲良くしていきたいです。」
私が振られるの分かってて、2人でさっき話してて、告白してお互いスッキリしようって言ってるんじゃ。穂乃果と晴人もう2人で付き合う約束してるんじゃ。それは酷いよ。
「私に先に告白させて、わだかまりなくだなんて、2人で結託してるんでしょ? 友達にすることじゃないよね? 最低だよ穂乃果。」
「結託なんてしてないし! 私だって我慢したよ? 告白したくても我慢した。それなのに、可憐ちゃん、晴人にくっついたじゃん、あれは何? 抜け駆けじゃないの?」
穏やかだった彼女が、急に怒って言った。
それに対して、図星だったんじゃないかと、私は思った。
「良く言うよ。そんなの通じ合ってて、私の気持ちを、弄んでたくせに!」
穂乃果の怒りが私に移ったように言った。
駄目そんなこと言っちゃ駄目だ。そう思っても、口からどんどん酷い言葉が止まらない。
穂乃果を非難しても、どうにもならないのに。
「その通りだよ、私、晴人君が私のこと好きだって知ってた。私、晴人君を優先させて、可憐ちゃんを後回しにしてたと思う。」
「けどね、晴人君と結託した訳じゃないから。晴人君はそんな人じゃない。彼のこと悪く言うなら、可憐ちゃんでも許さないから。」
そっか、穂乃果は、晴人のことで怒ったのかも。なら、結託したのは、間違いかも。確認しないと。
「うん、穂乃果の言う通りだ。晴人がそんなことする訳ないないんもんね。彼には、この後謝らないと。」
「ちょっと晴人に謝ってくるね。それと、穂乃果が、誕生日に告白するの、私は、止めないから。」私はそう言って、穂乃果の返事を待たずに、晴人の元に向かった。
穂乃果を私は、まだ信じたかった。彼女の疑いは、全て私の妄想であって欲しいと願った。
私は、そこで晴人に確認するためある質問をした。
「晴人ごめんなさい、晴人の事、悪く言っちゃった。穂乃果に言われて、謝りに来たの。」
「それと、ねぇ晴人、私と一緒に修学旅行まわらない?」
お願い、良いよと言って。そうすれば、穂乃果は、私の事を考えて、ああ言ったのだと思える。
「ごめん可憐、ちょっとまわる人決まっててさ。」彼は、断った。私の願いは、叶わなかった。
「それって穂乃果とも一緒にかな?」
確信に迫る質問を彼にした。
「うん、実はそう。」
「それって穂乃果にも事前に伝えてたのかな? その、まわる約束してたのかなと、思って。」
「うん? そうだけど?」
やっぱり私の気持ちを知ってて、彼と遊ぶ約束までしてたんだ。
ぐっ…友達だと思ってたの私だけか…絶対に許さない。そう思いながら、私は唇を噛んだ。
「晴人、穂乃果の事どう思ってる?」
「えっいきなり? えーと好きだよ。穂乃果の事。」
「なら、ちゃんーと告白してあげなきゃ。穂乃果待ってるから。」
「うん、そうだよな。」彼は、髪を触りながら言った。
「出来れば、穂乃果の誕生日の日に告白してあげて。その日がいいみたいだから。」
あ…うん、分かった。その…可憐ありがとう。色々応援とか、教えてくれて。」
「ううん、私から言えるのそれぐらい。またね。」
私は気持ちを押し殺して彼に言った。
私は、晴人と、穂乃果に守ってもらってばかり。だから、それに報いるために、こうした。けど、穂乃果に対して憎しみが…胸に込み上げてくる。




