美咲との会話
「ずいぶん長かったわねー電話。
待ちくたびれたように、美咲が言う。」
「まぁね。楽しかったからね。」
「むぅ…穂乃果ちゃんが羨やまだわ。ちぇ。」
「それで修学旅行一緒にまわるのOKもらえた?」
「ああ、もらえたよ。」
それは良かったわね〜。ああ、私って損な性格。はっきり言って、穂乃果ちゃんと晴人くっつけるの嫌だからね。
「はっきり言う性格だね。俺はその性格が羨ましいよ。好意を開けっぴろげに言えるなんてさ。」
「結構傷ついてるんですけど? 心が痛いし。届かない好意なんて…はぁ。」
「そう言われると、俺罪人みたいなんだけど。その気持ち、ごめん答えられなくて。」
「謝られると余計惨めになるから、辞めて。いいよ、私素敵な人見つけて、晴人に後悔させてやるから。大学でだけど。それまでは好きでいるけど。」
「大学か…将来見据えてるんだな。その前に出来るんじゃないか? 一つ聞くけど、穂乃果誘うの止めないんだな。」
「止めて欲しいの? 止めたってしょうがないもん。ねぇ、もう1人の好きな人は誘わないの?」
「うん…誘わない。透と穂乃果誘ったから。なんか重苦しい雰囲気になりそうだし。」
「ほーん。それって言い訳だよね? 穂乃果ちゃん誘いたいからでしょ? もう彼女しか見えないんでしょ?」
「なんだよ、急に。ストレートに言うな、相変わらず。」
「だって、好きな2人一方誘って、もう一方誘わないなんて、おかしいじゃん。あれ? 私が誘われないの? って傷つくじゃん。」
そう言った美咲は涙を浮かべていた。
自分と可憐を照らし合わせてるのかな。確かに彼女の言う通り、可憐も誘うべきなんだろう。
「もうこの話は辞めよう。ほら。」俺はハンカチを取り出して美咲の涙を拭いた。
「なによ、もうバカ。」そう言った美咲は涙が余計に流れてしまう。
「ねぇ、抱きついていい?」美咲が悲しげに言う。
「いいよ、おいで。」何を言ってるんだろう俺は。そう思ったけど、「今、彼女を拒むなんて、俺にはできない。」
しばらくたち、俺は彼女に聞いた。
「落ち着いた?」
「ん…ありがと。ねぇキスもしていい?」
彼女が上目遣いで聞いた。
「ごめん、それは出来ない。」
「だよね。今のは、聞かなかったことにして。今度は勝手にいきなりしようかな。」
「それは冗談かな? 本気なら無理矢理ってことになるぞ。それに大学で素敵な人見つけるんだろ?」
「ほっぺにね。口付けは、無理矢理はしないよ。晴人に嫌われたくないもん。」
「そっか、なら聞かなかったことにするよ。」
「うん、素敵な人探すって言ったばっかりなのに…感情が爆発しちゃった。まだまだ子供だね、私。」
「いや、子供じゃない、美咲は、大人の考えができる、素晴らしい子だよ。」
「晴人…やっぱり好き…好き。」
「おわっ、なに抱きついてんだよ。」アトラクションを乗り終えたのだろう、船木さんが来て、驚いたように言った。
「あっお邪魔しました。」冬馬さんがバツの悪そうに言った。
助かった、この雰囲気は困ってたから、彼女達が来てくれて良かった。
「なんでもないよ…ちょっとつらくて晴人の胸借りたんだ。」
「つらいこと? まぁなら、そのまま慰めてもらいな。彼氏か知らんけど。私達もう帰るわ。抱き合ってるの見たら、彼氏と話したくなったから。」船木さんがそう言ってバイバイと去っていった。
「あっ…じゃあ私もかな。今日はありがとうございました。また誘って下さい。ではまた。」冬馬さんは、ずっと礼儀正しかった。
2人きりになってしまった。
「じゃあ、そろそろ俺たちも帰りますか。」
「…もう少しこうしてたい。」
「なんでそんなに俺のこと好きなん? 勉強教えただけだよ?」
「それに気がつかないからバカなんだよ。また涙が溢れるぅ〜。はぁ…優しくて包容力があるの、あんたには。」
気になって美咲に聞いたけど、そうだったのか。そう言えば穂乃果にさっき注意されたな。
気をつけないとな。発言には。
「ふぅ…ごめんね晴人。落ち着いた。じゃあ帰ろっか。もう日が暮れるし。」
「だな。美咲ちょっと待ってて。」
「うん? 分かった。」
俺は手ぶらで帰らせるのは、良くないなと思い、お土産物買いに行った。
「お待たせ。今日は誘ってくれてありがとうな。これお土産のお菓子。」
「いいのに…私が無理に誘ったんだよ?」
「でも、楽しかったからさ。それに無理に誘ったなんてそんなこというなよ。ほら笑顔、美咲せっかくの遊びなんだから、泣くのは、なしな。」
「うん。ありがとう晴人。味わって食べる。」彼女は笑顔でそう言った。
そして美咲は先に帰ることになっている。2人きりのところを見られないよう配慮されたからだ。
気をつけてな。
うん、それじゃ。
しかし、凄い人混みだな。
だぁ〜れだ。
俺は突然視界を遮られた。




