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最弱テイマーは魔物の王と無双する  作者: ゆる弥


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49.華未山

 鍛錬をしながら南下し、関所を探していた。


「そろそろな……はずなんだけど……な」


 走りながら話す。


「そうですね……壁は見えてる……から……もう少し……のはずです!」


『あっ。見えたよぉ』


 ギルドカードを見せてオッケーを貰い通る。


 通ると遠くに花が咲いてる山が見える。


「あれ登ったら景色良さそうだなぁ」


 一斗がジィっとこっちを見て怪訝な顔をしている。


「なんでそんなこと言っちゃうんですか? 行く流れになっちゃうじゃないですか!」


『よーしっ! 行こう! 坂も休んじゃダメだよ!?』


「うっす!」


「ほらぁ。行く事になっちゃったぁ」


「まぁ、いいじゃねぇか! 案外ホントに綺麗で穴場かもしれないぞ?」


「わかりましたよ! 行きますよ!」


 坂を全力で登っていく。

 急勾配ではないが坂であるのは間違いないのでかなり疲れるのだ。


 登っていく道中から綺麗な花が咲いている。

 花を見る余裕さえあった。

 体力が付いている証拠である。


 頂上に来ると一面が桜の木であった。

 満開になった姿には圧倒された。

 頂上にこんないい所があったなんて。


 ゆっくりと腰を下ろす。

 後ろに手を付き上を見上げる。


「あぁぁぁぁ。すげぇ良いな。すげぇ良い」


 同じ体勢になる一斗。


「おぉぉぉ。綺麗ですねぇ」


 蘇芳も横に並ぶ。

 すると寝っ転がった。


『これいいねぇ。空を視界に入れるとまた違くない?』


 真似してみる。

 確かに空の水色の中に白が散らばりピンクの花が映えるように見える。


「おぉ。これいいね!」


 大の字で寝転がりながら眺める。

 三人で同じように空と花を眺める。


「ここって穴場じゃねぇかな?」


「そうですか? ただ単に朝早いから人が居ないだけじゃないですか?」


『多分そうだね。今は僕達しかいないから満喫しようよ』


「だなぁ」


 しばらく眺めているとお腹が空いてきた。


「腹減らない?」


「自分はペコペコです!」


『僕もお腹すいたな』


「蘇芳は、すくお腹あるっけ?」


『やだなぁ。ノリじゃないノリ!』


 そんな軽いノリを見せながら山を下る。

 軽く小走りで下山する。


「さっき上からあそこに町があるの見つけたんだよ!」


「行きましょう!」


『行こう行こう!』


 蘇芳が本気で走り始める。

 一斗は身体強化をして走り始めた。


 そう来たかコノヤロー!

 もう人魔一体は開く!


 ステータスが上がった事により速度が上がる。


「はっはっはっ! 我が先じゃー!」


 一瞬で一斗を抜き去るが蘇芳には及ばない。


『僕の勝ちぃー!』


「くっそっ!」


 悔しさのあまり地面に拳を叩きつける。


ドゴォォォンッ


 小さなクレーターができる。

 悔しかった為に少し力が入ってしまった。


「あっ……」


 街の近くまで来ていた為に通行人に見られてしまう。

 咄嗟に知らない振りをして町の中に入る。

 後を追って走ってきたのは一斗であった。


「はぁ。はぁ。置いていかないで下さいよ! ……はぁ。はぁ。……入口で待っててくれればいいのに!」


 チラッと一斗を見て言い放ってやった。


「俺にも事情があるんだよ」


 キリッとした顔で言うと。


『何カッコつけてんの! 翔真が地面殴ってクレーター作ったのが悪いんだよ!? 自業自得!』


「あぁー! さっきの音それですか? いたたまれなくなって町に入ったんですか? 自分が悪い話じゃないですか!」


「う……うるさい! 行くぞ! 腹減ったなぁ」


「まったく……誤魔化してぇ……」


 スタスタと町に入る。

 お祭りをやっているようであった。

 屋台が沢山出ている。


 美味しそうな屋台が並んでいる。

 見てみると美味しそうな焼きそば、焼き鳥、お好み焼き、わたあめ。

 しかし、俺は本物のグルメを探すのだ。


 屋台の通りの先には店が並んでいる。

 その中に老舗のような佇まいで、ラーメンののぼり旗をかかげている店があった。


 俺にはわかる。

 ここは本物だ。


ガラガラッ


「いらっしゃーい! 何名様で?」


 元気のいい女の子が聞いてくる。

 指を3本立てて。


「3人です!」


「空いてる席にどうぞー!」


 席はチラホラ空いている。

 テーブル席に座ると、メニューを見る。


 ラーメンの欄には喜多方ラーメンのみ。

 後はチャーハン、円盤餃子。


 これは、やっぱり正解じゃねぇか?

 絶対うまいよ。


『僕、全部食べたいんだけど?』


「自分はラーメンですね」


「俺はラーメンと半チャーハンかな。餃子分けて食べようぜ?」


『いいね! そうしよ!』


「よしっ! すみませーん!」


 店員さんを呼んで注文する。


『ねぇ、今日ここで泊まる?』


「んー。近くにダンジョンあったら攻略したいから、ダンジョンあったらこの町に泊まるかぁ」


『屋台のも食べたいんだよね』


「わかりますぅ! 美味しそうでしたよね」


「そういえば、なんの祭りなんだろうな?」


「今週は桜まつりですよ! 丘の上の桜が綺麗でしょ?」


 頼んだ料理を運びながら女の子が答えてくれた。


「そうなんですね! 確かに綺麗でした! さっき登って見てきましたよ!」


 女の子は驚いたような顔をしている。


「あの急勾配の山登ってきたんですか?」


「そうですよ! トレーニングもかねてね」


「凄ぉーい! 鍛えてるんですか?」


「解放者だからね。何かある前に鍛えておかないと……」


 キメ顔で女の子に向かって言い放つ。

 すると、後ろで蘇芳が力こぶを作ったりしてアピールしている。


「ふふふっ。後ろの方も強そうですね? 大きいし!」


「お前……」


『僕元気な子好き!』


「お前、性別ないってこの前言ってたばっかりじゃねぇかよ」


『性別は関係ないよ!?』


「あぁ。なるほど」


「ふふふっ。じゃあ、ごゆっくり!」


 元気にお辞儀をして戻っていく。


 ラーメンとチャーハンがいい匂いさせている。


「いただきます!」


 ラーメンのスープを一口。

 口の中に醤油の風味と出汁の味が広がっていく。


 うめぇ。


 今度は麺を啜る。


 ちぢれ麺でスープが絡みついてくる。

 麺の味もしっかりしているがスープとの相性が抜群。


 チャーシューは?


 ホロッとほぐれる程に柔らかい。

 少し甘めの味付けだ。


 やばい。

 これ美味いぞ。


 啜り続ける。

 気付けば3人とも無言で食べている。


「なぁ、蘇芳、餃子食べたか?」


『まだ食べてない。一斗も一個食べてみたら?』


「食べたいです」


 ひとつ貰って食べる。

 ふっと目に止まった。


 うちは酢コショウで食べるのをオススメしています!の貼り紙。


 やらない訳にはいかねぇな。

 早速酢コショウを作り。

 少しつけてパクッと一口で食べる。


 最初に来るのは酢の酸味。

 ジューシーな肉汁。

 ニンニクがほのかに香り、ガツンとくるニラ。

 そこにコショウのピリッとくるのがいい。


 そこに炒飯をかき込む。

 醤油の香ばしい香りが口に広がりパラパラの米が踊る。


「あぁ。これ美味いわ」


『幸せだぁ』


「こんなに美味しいとは……」


「あっ。思わず口に出ちまった」


「ふふふっ。有難う御座います! お口にあって良かったです!」


 女の子が近づいてきてお礼を言ってくれる。


「すみません。聞こえちゃいました? 美味しくてつい……」


「良かったです! あっ! 伸びちゃいますよ?」


「ホントだ!」


 慌てて黙食。

 あっという間に食べ終わった。


「はぁー。美味かった。どれも最高」


『美味しかったねぇ』


「はぁぁぁ。おなかいっぱいです」


 みんな幸せな表情になる。


「ご馳走様でしたぁ」


 会計を済ませる。


「またお越しください!」


「いやー。美味しかったからまたすぐ来るかも」


「ふふふっ。有難う御座います! 旦那も喜びます!」


「あっ。作ってるのがご主人ですか?」


「そうなんですよ! 喜ぶと思います!」


「またきます!」


 そそくさと出ていくのは蘇芳であった。

 後に続いて出ていく。


「蘇芳大丈夫か?」


 天を見て突っ立っている蘇芳。

 背中が泣いていた。

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