47.美人若女将と宴会
殲滅に参加した解放者は総勢28人。
少ない人数なのは、それだけザ・王に与する者がいたという証拠である。
その少ないが協力してくれた解放者と気持ちを分かち合いたくなったのだ。
「みなさーん! 美人若女将のいる宿で宴会しませんか? あっ、もう朝が明けるんで今夜にしましょう!」
「「「「オッケー!」」」」
みんなに了承を貰うと宿に戻って宴会をして貰えるようにお願いしに行く。
「すみませーん」
受け付けで声をかけると。
「はぁーい」
出てきたのは何時もの着物姿ではなくワンピース姿であった。
その姿に少し目を奪われてしまう。
「……はっ!……若女将すみません! 今夜なんですけど、33人くらいで宴会をお願いしたいんですけど……」
「わかりました! 真仲さんの頼みなら、頑張っちゃいます!」
両手でガッツポーズをしながら頑張るアピールをしている。
両手でお山が押し上げられて主張している。
相変わらず可愛い。
「お願いします! では、俺達は少し寝ます」
「はい! ごゆっくりお休み下さい!」
◇◆◇
起きると昼を過ぎていた。
「ふあぁぁ。あんまり寝ると夜寝れなくなるよなぁ」
伸びをしながら起きる。
ラフな服に着替えて町を散策する。
あまりゆっくり見たりしなかったなぁと思いながらお土産屋さんを見たり屋台で買い食いしたり、ダラダラすごした。
なんか久しぶりにダラダラした気がするなぁ。
「おぉ! 翔真! 今日お前の奢りなんだろ!? 楽しみにしてるからな!」
「はい! 準備してもらってるんで遅れないでくださいよ!?」
「早めに行くわ! じゃ、またな!」
手を振って別れる。
『今の人誰? 知ってる人?』
「えっ? …………あれだよ……解放者の人だろ?」
『翔真知らない人に奢る気?』
「いや、だってよぉ。皆の顔まで覚えてないし、これから覚えればいいんだって!」
『全く……女の子の名前と顔はすぐ覚えるくせに』
「まぁ、翔真さんですから……」
『翔真だからね……』
「なんなの!? その連帯感!」
宿屋に戻ると宴会が待っている。
◇◆◇
宿に戻ると給仕さんと若女将がバタバタと準備していた。
「お帰りなさいませ! もう少しでも準備が出来ますので、お部屋で少々お待ちください!」
「はい! すみませんが、よろしくお願いします!」
「いえいえ! この町を救ってくれた方達をおもてなし出来てとても嬉しいです!」
にこやかな笑顔で答えてくれる。
その笑顔に癒されながら部屋で待つことにした。
少し待つと扉をノックする音が鳴る。
「失礼しまーす! 真仲さん! 準備出来ました! 解放者の方達も集まり始めてますので大広間にお越しください!」
「はぁーい!」
下に降りると解放者の人達がゾロゾロ来ていた。
「おぉ! ヒーローが来たぜ!」
「よっ! 正義のヒーロー!」
「俺達のヒーローのお出ましだ!」
解放者達から歓声が上がる。
「俺達がお前を労わなきゃなんねぇのに逆に宴会開いてもらってすまねぇな」
近づいてきて声を掛けてくれたのは大矢さんであった。
「そんな事ないですよ。俺が皆のこと知りたいと思ったんですよ。みんなにはこれからこの町を盛り上げてもらわないと行けませんし」
「ありがとな」
「流石は暁至町の英雄ね?」
振り返ると美晴さんが可愛い笑顔で立っていた。
「美晴さん、やめてくださいよぉ。そんなんじゃないですって!」
「桃野、後で詳しく教えろよ?」
大矢さんがニヤニヤしながら言う。
「さぁ、どうぞ! 中へ!」
若女将が案内してくれる。
「若女将有難う御座います! 無理言ってすみません!」
「いえ! 真仲さんのお願いですから! 張り切っちゃいました!」
これまたいい笑顔で微笑んでくる。
ジトォと見る視線を感じつつ大広間に行く。
『これは、修羅場かな?』
「ですかね? まぁ、楽しみですねぇ」
悪い笑みを浮かべている一斗。
大広間に入っていき各々好きな席につく。
俺はあまり目立たないように端っこに座ったのだが、それが良くなかった。
隣に美晴さんが座ったのだ。
えっ!?
これ、逃げ道ない?
向かい側には大矢さんが座る。
なんで!?
真ん中行けよ!
「ふふふっ。翔真さん? 楽しい宴会になりそうですね?」
首を傾け色気のある仕草でこちらを見つめてくる。
若女将が飲みの物の注文を取っている。
蘇芳の注文は一斗が注文している。
こちらをチラッとみるが、サムズアップして直ぐに目を逸らす。
あのヤロー!
俺を見捨てる気だなぁ。
「真仲さんは何飲みます? いつも通りビールでいいですか?」
「あっ、はい! いいです!」
「いつも通り? いつもここで飲んでるんですか?」
美晴さんが詰め寄ってくる。
どう答えたもんか悩んでいると。
「真仲さんはここをご贔屓にして下さってて、夕ご飯はここで食べることが多いんですよ? それで、いつもまずはビールをお飲みになりますので」
若女将は美晴さんに全面的に宣戦布告しているように見える。
美晴さんと若女将の睨み合っている間に火花が見える気がする。
「そうだ、翔真さん? 若女将の名前知ってるんですか?」
「ん? そういやぁ知らないな」
「私は下の名前で呼ばれてますから当然名前知ってますしぃ。若女将は若女将ですもんねぇ?」
「私は白井雪乃っていいます! 雪乃って呼んでくださいね! 翔真さん!」
若女将が詰め寄ってくる。
「雪乃です!」
雪乃さんが詰め寄ってくる。
「雪乃です!」
雪乃が詰め寄ってくる。
「そうです! 呼び捨てで呼んでください! ビール持ってきますね!」
あれ?
なんかさっき俺、口に出してないのに描写の方で呼び捨てにさせられた気が……
なんか恐いな。
「むーーー。私はさん付けですよね?」
いや、だから描写の方で呼び捨てにさせられたのをなんで分かるの?
「美晴……?」
「はい! これからもそう呼んでくださいね!」
『翔真、美晴さんだけなんでそんなに呼び捨てに抵抗があるの? 茜ちゃんは呼び捨てなのにね?』
「蘇芳さん、なんて言ったんですか?」
「なんでもないって! あっ! ビール来たぞ! 飲もう!」
対面で見ていた大矢さんが空気を読んで声を上げてくれた。
「みんな! 主役の翔真から一言もらおう!」
立ち上がってグラスを掲げる。
「えぇー。みんな! 今回はお疲れ様でした! これで、しばらく変なやつは現れないと思いますので、町を盛り上げていってください! 乾杯!」
「「「おおぉぉぉぉ! カンパーーーイ!」」」
グビッグビッと半分ぐらいビールを飲み干す。
他の皆が強者であった。
「「「おかわり!」」」
一気にジョッキを空けたのだ。
座って落ち着くと、隣で美晴さんがチビチビビールを飲みながら料理を食べている。
「悔しいけど美味しい……」
ブツブツいいながら料理を食べている。
「なぁ、さっき言ってた暁至の英雄ってのはどういう事なんだ?」
大矢さんが美晴さんに話を振る。
「あれですか? あれは暁至領でダンジョンが放置されてたことがあって、増えすぎてもう少しで大規模ダンジョンが発生する1歩手前だったんですよ」
「なんだと!? そんな自体になってたのか? それだとダンジョンの数も多いだろう?」
「はい。その時に他の解放者達と協力して大体一週間位で20ものダンジョンを攻略してくれたんです」
「……それ、ホントか? 話を聞く限り一個一個が中規模ダンジョンだったろう?」
「はい。だから英雄なんです。翔真さんは、単独で9個のダンジョンを攻略しました」
「お前……やっぱり凄いやつだったんだな」
こちらを見てきて感心するように頷いている。
「いやいや、そんな事ないですよ。あの時は必死でしたし……暁至が無事でよかったです」
遠くを見てあの時を思い出していた。
風香ちゃん、元気かなぁ。
見てると癒されるんだよなぁ。
「大変だったんだな」
物思いに耽っていると勘違いした大矢さんが感極まっている。
『この人また女の人のこと考えてましたよ!?』
「ん? 蘇芳だったか? どうした?」
「蘇芳、いいから飲もう! なっ!」
必死に誤魔化す。
これは、長くなるぞ。
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